2021年8月(8月2日~27日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、海外投資家や事業法人などが買い越した。売り越したのは個人投資家、投資信託などであった。

 海外投資家は現物と先物の合計で3,702億円を買い越し、4カ月ぶりに買い越しに転じた。買い越しの中心は先物で、5,095億円を買い越した。現物は1,393億円の売り越しと4カ月連続の売り越しとなったが、売り越し額は6月(4,115億円)、7月(2,474億円)と比べて縮小した。海外投資家の売り越し要因の一つである空売りについては、8月月間の空売り比率は43.0%と依然として高水準である。しかし、7月第1週の47.0%をピークに低下傾向である。

 事業法人は現物と先物の合計で3,210億円の買い越しと3カ月連続で買い越した。21年8月の自己株式取得枠設定額は6,699億円となった。企業業績が改善していることや、企業が自社の株価を割高感があると見ていないこと、保有する現預金が高水準であることを背景に、企業が自社株買いに積極的になっている。

 個人投資家は現物と先物の合計で3カ月ぶりに売り越し(3,342億円)に転じた。TOPIX(東証株価指数)が上昇した週に売り越しており、利益確定売りを行ったとみられる。投資信託も現物と先物の合計で2カ月ぶりに売り越し(1,931億円)に転じた。21年8月に国内株式に投資する追加型公募株式投信(上場投資信託を除く)から853億円の資金純流出があったと推計する。

(藤 直也)

※野村週報2021年9月13日号「株式需給」より

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