ドル円相場は依然として110円前後でのレンジ相場が続いている。8月雇用統計の失望後も、NY連銀ウィリアムズ総裁が年内テーパリング開始の可能性を示すなど、FRBの姿勢に大きな変化は生じていないが、9月FOMCに向けて市場の期待感は高まりにくい。今週はFRBがブラックアウト(発言自粛)期間に入ることもあり、ドル円相場の膠着が続きやすいだろう。

 米国では14日(火)CPIや地区連銀製造業景況感指数、17日(金)ミシガン大消費者信頼感指数といった経済指標発表が予定されている。市場ではコアインフレ率の前年比+4.3%での高止まりが予想されており、FRBのインフレ警戒姿勢は維持されそうだ。一方、8月には地区連銀製造業景況感指数が軒並み7月から低下し、消費者心理も悪化したことが米経済の回復ペース鈍化への懸念を高めた。米国での新型コロナ新規感染者数にピークアウトの兆しが見られる中、センチメントの安定が見られるかどうかが注目される。

 日本では17日(金)自民党総裁選告示に向け、立候補者の顔ぶれが確定に向かう。首相交代への期待は日本株上昇のきっかけとなったと見られるが、為替相場の反応は鈍い。高市元総務相が勝利するシナリオ以外では、マクロ経済政策の変化は限定的になるとの思惑が、円相場の反応を限定していよう。年度上期末を控え、輸出入企業の取引が活発化する可能性もあり、16日(木)貿易統計では足元の需給の偏りを確認したい。

※2021年9月13日発行「国際金融為替ウィークリー」より一部抜粋
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