そーせいグループ(4565) 医薬品

GPCRに作用する低分子医薬品の開発

 創薬が困難であるGPCR(Gタンパク質共役受容体)領域に注目し、受容体に作用する新規治療薬の開発を進めている。

 2021年1~6月期は、研究活動の進捗に伴い創薬提携先からマイルストンを受領し、売上高は31.2億円(前年同期比24.1%増)となった。一方、研究開発費は新たな戦略的技術提携に伴う、① PharmEnable 社とのAI(人工知能)創薬、②Metrion Biosciences社とのイオンチャネル、③Captor 社との標的タンパク質分解誘導薬などの共同研究開始や、ムスカリン作動薬への投資強化によって26.0億円(同53.7%増)へ増加し、営業損失は18.5億円(同7.1億円の悪化)となった。

鈍化していた研究活動は回復基調

 新型コロナの影響で鈍化していた研究活動は、バイオテック各企業のパイプライン進捗や共同研究先からのマイルストン受領などで、回復基調にあるのが確認できる。

 当社がPfizer社と共同開発を進めているPF-07258669(拒食症におけるMC4受容体拮抗薬)の臨床試験が21年5月に開始したことで5百万米ドルのマイルストン、Genentech 社への複数のStaR タンパク質提供で6百万米ドルのマイルストン、Biohaven社とのTL0022562(CGRP受容体拮抗薬)のP(フェーズ)1 試験開始に伴うマイルストン(金額は非開示)を受領するなど、順調に研究開発が進捗しているといえよう。

(松原 弘幸)

コマツ(6301) 機械

営業利益は22.3期6割増と大幅回復へ

 日本でトップ、世界で第2位の建設・鉱山機械メーカー。1921年に石川県小松市にて設立され、今年100周年を迎えた。

 世界展開が進み、売上構成は日本12%、米州37%、アジア・オセアニア21%、欧州・CIS 17%、中近東・アフリカ7%、中国6%と幅広い(2021年4~6月期)。

 業績は22.3期に大幅回復が予想される。建設機械需要は中国のみ減少が予想されるが、北米、欧州、アジアなど他地域では、前年度の減少から回復へ転じよう。また、銅や石炭などの鉱物価格が高水準で、鉱山機械売上が世界で増加しよう。増収による効果が大きく、営業利益は22.3期に前期比58%増の2,650億円が予想される。

建設・鉱山現場の自動化、脱炭素化

 日本では労働力不足、世界では気候変動などの社会課題がある。当社は本業を通じて社会課題を解決し、持続的な成長を目指す。代表例が、建設・鉱山現場の自動化、脱炭素化の推進である。

 15年に始めた「スマート・コンストラクション」は、ドローンによる測量などデジタル技術を活用し、施工を効率化する。最近は、「モノ」である建機の機能向上だけでなく、「コト」である現場の全業務を最適化するソリューションへと進化している。

 鉱山現場では当社製の「無人ダンプトラック」の納入が増えている。また、ダンプトラックの動力源について、脱炭素化製品の開発を進めている。

(齋藤 克史)

SCREENホールディングス(7735) 電気機器

世界トップの洗浄装置メーカー

 半導体製造装置、液晶製造装置、製版用機材を取り扱う。半導体製造用の洗浄装置と液晶製造用のコータ・デベロッパでは世界トップシェアを誇る。

 1990年代は殆どの主力製品のシェアが低水準に留まり、収益性が大きく悪化して、財務体質は大きく毀損された。

 しかし、2000年を境に当社は復活を遂げた。90年代は20%弱だった半導体製造用洗浄装置のシェアは60%に迫り、液晶製造用コータ・デベロッパは、98年に0%に低下したシェアを80%に伸ばした。

 加えて、不採算事業となっていた、ブラウン管用シャドーマスクから撤退し、刷版用機材も黒字化に成功した。

市場は活況で収益性も改善

 半導体製造装置市場は、空前の活況を呈している。20年は過去最高を更新、21年は前年比で40%を上回る成長が予想され、22年もさらなる市場拡大が期待される。

 半導体の製造受託を行うファウンドリで世界最大のTSMC は、Apple、AMD、Intel、自動車メーカーなどからの大量注文を受け、日米の熱心な工場誘致もあり、設備投資に積極的になっている。

 当社はTSMCとの関係が良好であり、今後も売上は高水準で推移しよう。

 注力してきた半導体製造装置の収益性改善についても、生産効率を高めた新工場の稼働と操業度の上昇により、成果が表れつつある。

(和田木 哲哉)

※野村週報2021年10月18日号「銘柄研究」より

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