南アフリカなどで新型コロナウイルスの変異型である「オミクロン型」が見つかりました。感染拡大への懸念から26日の日経平均株価は29,000円台を割り込み、週末のドル円相場は113円台まで円高に進行しました。野村證券の池田チーフ・エクイティ・ストラテジストと後藤チーフ・為替・ストラテジストは、オミクロン型変異種の株式と為替市場への影響についてそれぞれレポートで解説しています。今回は各レポートの冒頭部分を特別公開いたします。(レポート本編はプレミアムプラン限定で公開しています。)

「オミクロン型」変異種と目先の注目点 – 日本株の耐性は比較的高いとみる

執筆者:池田 雄之輔 チーフ・エクイティ・ストラテジスト
発行日:11月29日

オミクロン型に過度の悲観は禁物

 26日の世界的な株価急落は、 (1) 新型コロナウイルスの「新変異型」(オミクロン型)の台頭がきっかけだが、(2) FRBタカ派化への警戒、(3) 中国景気の不透明感、(4) 年末を控えての持ち高調整圧力、という要因も底流にあっただろう。

 オミクロン型については、米製薬会社によるワクチン耐性の検証結果(2週間程度で判明とされる)および、南アフリカでの感染状況が重要となる。現時点で南アの国立伝染病研究所は「従来と異なる症状は報告されていない」「ワクチンは重症化・死亡を防ぐのに十分有効」としている。過度の悲観は禁物である。

米中マクロ情勢には要注意

 一方、FRBのタカ派化と中国景気の軟化という組み合わせの悪さには注意を要する。前者に関しては…続きを読む

国際金融為替フラッシュ – 「オミクロン株」懸念による円急騰と今後の見通し

執筆者:後藤 祐二朗 チーフ・為替・ストラテジスト
発行日:11月29日

新型コロナとドル円の関係、FRBの対応、円需給への影響を確認

 先週金曜日のドル円相場は「オミクロン株」への懸念から急落し、113円30銭台で取引を終えた。大手製薬会社の多くがワクチンの有効性検証及びオミクロン株に対する追加接種用ワクチンの開発に動くなど、素早い対応が見られているが、有効性検証には2週間程度かかる見通しである。短期的には不透明感の高い状況が続きそうだ。

 為替市場では円安期待が高まっていたところであり、初期反応としてポジション調整に伴う円高となったことに違和感はない。少なくとも今後2週間程度はオミクロン株及び新型コロナ感染への注目を高めざるをないが、中長期的なドル円相場への影響を考える上で、1)新型コロナ感染とドル円相場の関係、2)米国を中心とした金融政策への影響、3)需給面での影響、の3点について考え方をまとめた。

 ドル円相場は新型コロナによる新規感染者数の動向よりも…続きを読む

ご投資にあたっての注意点