先週金曜日のドル円は急落し、113円30銭台で取引を終えた。南アフリカで報告された新型コロナ変異株「オミクロン株」への警戒が急速に高まり、世界的な株安とともに持ち高調整に伴う円高が進んだと見られる。米利上げ期待も後退し、ドル円相場との相関の高い米日5年金利差も縮小している。為替市場では円安期待が高まっていたところであり、初期反応として円高となったことに違和感はない。オミクロン株に対するワクチンの有効性検証には2週間程度かかる見通しだが、為替相場はオミクロン株の感染力や重症化率などの新たな情報に敏感な展開となりそうだ。

 今週は3日(金)雇用統計を筆頭に、米国で重要指標の発表が予定される。市場では50万人程度の順調な雇用増が予想され、1日(水)ISM製造業景況指数でも企業景況感の強さが確認される見込みだ。失業率や労働参加率、賃金といった指標も引き続き重要となるが、大きな下振れがない場合、12月FOMCに向けたテーパリング加速期待は維持されよう。30日(火)パウエル議長議会証言などFRB高官からの発言も多く予定され、ブラックアウト(発言自粛)期間入り前にテーパリング加速に向けたより明確なメッセージが見られるかが注目される。また、オミクロン株に対するFRB高官の反応も重要だ。

 日本では目立ったイベントが予定されていないが、29日(月)黒田総裁講演を中心にとした当局者の発言が重要となる。もっとも、現時点では当局者の姿勢が大きく変化する可能性は低いだろう。

 23日には米国を中心とした石油消費国が備蓄放出で協調したが、原油価格高止まりが続いている。2日(木)OPEC+会合では予定されていた原油増産の一時停止が議論される可能性があり、原油価格および資源国通貨にとって重要度が高い。

※2021年11月29日発行「国際金融為替ウィークリー」より一部抜粋
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ご投資にあたっての注意点