参院選は2022年7月を予定

 来年の注目イベントの一つとして日本の参議院議員選挙が挙げられます。参議院議員は、任期は6年で、3年ごとにその半数が改選されます。参議院は、衆議院のように任期中の解散がないため、選挙は3年ごとに必ず実施されます。今回、改選される参議院議員の任期満了日は、2022年7月25日となっており、公職選挙法では、選挙は議員の任期が終わる日の前30日以内に行うとしています。なお、改選される議席数は、選挙区74、比例代表50、神奈川県の非改選の欠員補充1を含む、全125議席となっています。

岸田政権の勝敗ラインは?

 選挙については、岸田政権が掲げる勝敗ラインに注目が集まります。野村證券では、岸田政権は与党で過半数維持を目標にすると予想しています。まず、政権与党が過半数を維持する場合について考えてみましょう。

 与党が過半数を維持すれば、岸田首相の求心力は一層高まります。選挙後は、首相が自ら衆議院を解散しない限り、次の国政選挙が行われるまで約3年余りの時間を確保できることになります。岸田政権が長期政権化する可能性が高まり、株式市場では政権の安定性が好感されそうです。

金融所得課税はどうなる?

 与党過半数の場合、求心力を高めた岸田政権は政策の独自色を従来よりも高める可能性があります。特に市場の注目度が高いのは、金融所得課税率の引き上げです。野村證券は、税率引き上げの実施については2022年10-12月期の日本株の動向に左右されると予想しています。仮に引き上げの場合、NISA(少額投資非課税制度)やiDeco(個人型確定拠出年金)の拡充といった補完措置の導入の有無がその後の株価変動リスクを軽減するカギとなるでしょう。

 2023年4月に任期満了となる黒田日銀総裁の後任人事も注目です。岸田首相は、自民党総裁選挙の際、日銀の金融政策について中立的な姿勢を示しています。野村證券では、リフレ派の経済学者等というよりも、従来通り日銀出身者や財務省出身者から選ばれる可能性の方が高いと予想しています。この場合、金融政策の基本スタンスに大きく変更を加えるような総裁・副総裁の任命が行われる可能性は低いと考えられます。

ねじれ国会シナリオのポイント

 与党が過半数を割り込む場合は、衆参で多数を占める政党が異なる「ねじれ国会」となります。衆参の議決が異なった際、予算案や条約、首相指名に関しては、衆院の議決が優越します。一方で、政府提出法案などは、野党の賛成がなければ参院で可決できなくなります。

 衆院の3分の2以上の賛成があれば参院で否決された法案を再可決することもできますが、先の衆院選で自公の議席数は3分の2を下回っています。岸田政権は、厳しい国会運営を強いられることになり、政権の基盤が揺らぎかねないでしょう。市場では、政治的な不透明感を織り込みに行く可能性が考えられます。

 また、日銀総裁人事は、衆院と参院がそれぞれで可決しないと発令できない重要ポストです。黒田総裁の後任人事案が政治的理由から否決される場合、日銀の金融政策の見通しが不透明になる可能性もあるため注意が必要となるでしょう。

(注)2021年12月27日時点の情報を基に作成

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