米中間選挙は現職大統領の信任投票

 2022年には米国で中間選挙が実施されます。中間選挙は、4年に一度の米国大統領選から2年後に実施される米連邦議会選挙です。現職大統領にとって任期後半への折り返しを前に行われる選挙であり、2年間の政策に対する信任投票の意味合いも持っているとされます。任期6年の上院は定数100議席の約3分の1、任期2年の下院は全435議席がそれぞれ改選の対象となります。投票日は大統領選と同様に、11月の第1月曜日の次の火曜日となっています。

 過去の中間選挙の結果を見ると、現職大統領の所属政党が上下両院で議席を増やすことは珍しく、2000年以降の中間選挙では、共和党のブッシュ(子)大統領の1期目の任期中に実施された2002年だけとなっています。

バイデン大統領の支持率は低迷

 現在、現職のバイデン大統領が所属する民主党は、下院で221議席と過半数をわずか3議席上回っているに過ぎず、上院では50議席とギリギリの過半数となっています(上院で賛否同数の場合は議長であるハリス副大統領が投票する)。

 足元、バイデン米大統領の支持率は、民主党内の対立や新型コロナウイルスの拡大などもあり、40%前後となっています。そのため、中間選挙では、民主党が上下院のいずれか、ないしは上下院とも過半数を失い、ねじれ議会になるリスクもあると考えられます。

ねじれ議会シナリオのポイント

 ねじれ議会となった場合、バイデン政権が提出する予算案(歳出法案、税制改正法案)や法案が共和党の反対により否決されやすくなり、政権がレイムダック(死に体)化する可能性があります。その場合、バイデン政権の政治的実績は、就任直後の新型コロナウイルス対策やインフラ投資計画の実現に留まることになり、バイデン氏が再選を目指す2024年の大統領選にも影響を与える可能性があります。

支持率回復の手段は?

 中間選挙に向けて、バイデン政権は支持率回復を目指す必要があります。しかし、民主党内の対立によって、追加的な財政出動は難しくなっています。また、米国内の雇用を重視する民主党リベラル派の影響により、新たな通商協定の実現の見込みも薄くなっています。さらに、民主党リベラル派が大統領選挙時にも主張していた金融機関やIT企業といった大手企業への規制や監督強化を主張するリスクもあります。

 中間選挙は、次回の大統領選挙の行方にも大きな影響を与える重要な選挙であり、バイデン大統領の支持率動向などに引き続き注目が必要となるでしょう。

(注)2021年12月27日時点の情報を基に作成

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