6日の日経平均株価は前日比844.29円安の28,487.87円と大幅安になりました。FOMC議事録の公表後に米長期金利が上昇したことを受けて、米株式市場が大きく下落したことなどが嫌気されました。日本国内を含め、世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることも相場の重石となりました。

FRBのタカ派化が嫌気される

 5日に公表された12月のFOMC議事録では、FRBのタカ派化(積極的な緩和解除寄り)が確認され、米金利上昇・米株安での反応となりました。議事録ではペースの速い早期利上げの可能性が示されたことに加えて、バランスシートの縮小についても、前回のサイクルと比較して早期かつ速いペースでの縮小の可能性が議論されていることが判明しました。金融市場では米利上げ期待が一段と高まっており、今年3月の利上げ開始がメインシナリオになりつつあります。

 議事録の公表を受け、米長期金利は一時1.7%台を回復し、米国株はバリュエーションの高いハイテク銘柄を中心に大幅安となりました。株安は日本株市場にも波及し、ファーストリテイリング(9983)や東京エレクトロン(8035)、リクルートHD(6098)といった高バリュエーションの銘柄を中心に大きく下落しました。その他、グロース株を中心に構成される東証マザーズ指数も5%近い下落となりました。

野村證券はどう見る?

 野村證券では、今回のFOMC議事録については、全体として野村の金融政策見通し(2022年3月利上げ開始、2022年中に4回利上げ、2022年7月にバランスシートの縮小を発表)と整合的な内容だと考えていますが、利上げ開始後、すぐにバランスシート縮小を開始すべきだと主張するFOMC参加者がいたことから、野村の想定に比べて、バランスシートの縮小の開始時期が早まるリスクは高まったと判断しています。米国の金融政策の正常化は今年の株式市場の一大テーマであり、引き続き注視する必要があるでしょう。

 なお、投資戦略については、金利上昇による一時的な株価調整があったとしても、足元で日米の景気は加速しており、業績相場の下で株価は最終的に業績の拡大に沿って推移すると野村證券はみています。

新型コロナの感染拡大も重石に

 本日は世界的な新型コロナウイルスの感染拡大も相場の重石となりました。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、4日の新規感染者数は全世界で約260万人となりました。国内では5日の空港検疫を含む全国の新規感染者数が2,638人となり、こちらも急増しています。新規感染者数が2,000人を超えるのは、感染第5波が続いていた2021年9月以来となりました。さらに、沖縄県と広島県は6日、「まん延防止等重点措置」の適用を政府に要請することを決めています。その他、広島県に隣接する山口県にも重点措置の要請を検討する動きがあります。

 感染拡大によって移動や経済活動が再び制限されれば、景気の下振れリスクが高まります。本日の東証33業種では、内需企業が中心となるサービス業の下落が目立ちました。引き続き、感染状況にも注意が必要と思われます。

ご投資にあたっての注意点