拡大するEUV露光装置市場

 最先端の露光技術であるEUVL(Extreme Ultraviolet Lithography)への関心が高まっています。「露光」とは半導体製造工程の内、回路をシリコンウェーハ(半導体の基板材料)に焼き付ける工程であり、EUVLでは、極端紫外線と呼ばれる非常に短い波長の光を用いることで、従来よりも微細な半導体回路の加工を可能としています。

 半導体メーカーがEUVLを導入すると、半導体回路のデザインの自由度向上による集積度の上昇や、歩留まりの改善といった恩恵があります。EUV露光装置は1台150~200億円と高価格ですが、導入メリットは大きいと考えられます。

 EUV露光装置の出荷台数は、2017年以降、増加トレンドに入っています。2020年のEUV露光装置の出荷実績は31台でしたが、目下、生産能力を大きく上回る引き合いがあるため、露光装置大手のASMLは生産能力を引上げ、2022年は55台に、2023年は60台以上に拡張する予定です。

 EUV露光装置は、ASMLが独占で供給していますが、EUVLの周辺市場では日本企業の存在感も大きくなっています。日本は、フォトレジスト(感光材)、マスクブランクス(フォトマスクの原版)、マスクブランクス用検査装置では世界シェア100%となっています。その他、外販用フォトマスク(回路パターンの原板)、ペリクル(フォトマスクの保護膜)、パターン付フォトマスク検査装置、EUVL用シリコンウェーハなどでも有力となっています。

周辺市場では日本企業の存在感も大きい

 EUVL用のフォトレジストでは東京応化工業(4186)JSR(4185)信越化学工業(4063)住友化学(4005)などが現時点で圧倒的な市場シェアを誇っています。

 EUVL 用のマスクブランクスはHOYA(7741)AGC(5201)で販売実績があります。

 EUVL 用マスク及びマスクブランクス検査装置はレーザーテック(6920)が開発しています。

 EUVL 用のフォトマスクは主には半導体メーカーが内製していますが、大日本印刷(7912)凸版印刷(7911)なども開発しています。

 EUVL 用ペリクルでは三井化学(4183)がASMLから製造・販売の独占ライセンスを取得しています。

 EUVLを活用した微細化が進展すると、シリコンウェーハではより高い平坦度や洗浄度が求められますが、信越化学工業やSUMCO(3436)が高い技術競争力を持っています。

(注)2021年12月27日時点の情報を基に作成

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