デンソー(6902) 輸送用機器

多様な製品を持つ自動車部品国内首位

 日本最大の自動車部品メーカー。トヨタ自動車向けの売上高比率は2021.3期で約51%であったが、その他の日系・米系・欧州系と幅広い顧客を持つ。エアコン、エレクトロニクス・半導体、エンジン関連等製品群が広範で、先進分野にも強みがある。

 21年7~9月期は自動車の減産が業績面で向かい風だったが、今後は半導体不足の改善に伴う完成車メーカーの生産回復により当社業績も回復しよう。23.3期は顧客の挽回生産に加え、ADAS(先進運転支援システム)関連製品のトヨタ外への拡販やソフト開発効率の改善による経費抑制を背景に、営業利益は6,153億円と大幅増益を予想する。

電動化と自動運転の恩恵が大きい

 インバーターやモータージェネレーター等、電動車関連製品において、小型化・高出力化等を実現した競争力のある製品を投入している。EV(電気自動車)の増加に伴い、電動車関連製品の拡販効果がエンジン関連製品の売上減の影響を上回ると見込み、電動化は当社にポジティブと考える。

 また、今後もより快適な運転を求め、ADAS や自動運転の流れが続くと考える。カメラやミリ波レーダー、LiDAR等、幅広いセンサー群とそれらを統合制御するソフトウェアを統合し、運転支援システムとして提供できる点が強みで、現在はトヨタ向けが主だが、他社への拡販も進み、収益性の大幅な改善を予想する。

(エクイティ・リサーチ部 石本 渉)

ケネディクス・オフィス投資法人(8972) 不動産投資信託

低稼働物件の早期稼働回復を目指す

 国内独立系不動産運用会社であるケネディクスがスポンサーで主要投資対象は中規模オフィスビル。新型コロナ禍で契約面積見直しに伴う退去が先行した一方、移転需要を着実に取り込み2021.10期の期末稼働率は97.6%と、21.4期の同96.7%から上昇した。また、テナント入替時における賃料増加件数の約60%において従前賃料水準を上回り、賃料単価の上昇も継続している。ただし、ポートフォリオ保有物件の中には、「KDX 御茶ノ水ビル」や「KDX 新橋駅前ビル」等、低稼働物件が一部で存在するため、当社では不動産市況を的確に捉え、機動的かつ柔軟なリーシング戦略を実践し、早期稼働回復を目指すとしている。

保守的な財務運営を志向

 当社は、21年12月に「KDX虎ノ門一丁目ビル」の土地一部を譲渡した。本譲渡によって、22.4期に不動産等売却益が約7.6億円発生する見込みであり、当社では売却益の一部は圧縮積立金に繰入れをし、当面の配当安定化に全額活用する方針としている。

 一方、財務状況に関しては、21.10期末時点のLTV(総資産有利子負債比率)は43.6%となっている。 少なくとも、19.10期以降、LTVは40%前半で推移しており、保守的な財務運営を当社では志向している。有利子負債平均金利についても、21.4期末時点の0.94%から21年11月末に0.86%まで低下しており、金利コストの削減に努めている。

(エクイティ・リサーチ部  大村 恒平)

ミスミグループ本社(9962) 卸売業

幅広い商品を短納期で顧客へ届ける

 当社はメーカー事業である「FA(ファクトリー・オートメーション)事業」、「金型部品事業」と、生産・自動化の現場で使用する副資材や消耗品まで幅広い商品を販売する流通事業の「VONA 事業」を併せ持つ。これらの多種の商品をインターネット上のカタログを通じて短納期で販売する。

 当社の強みは、細かい寸法や形状の商品を、1個から受注して最短2日で納入することにある。顧客にとって利便性が高い。

 一方、生産の仕組みは標準化している。半製品をベトナムで集中生産してコストを下げ、顧客の消費地で仕上げ加工して納入する。2022.3期予想の総利益率が46%と高く、営業利益率は14%を見込む。

高成長、高収益の両立に注目

 当社が成長と高収益を両立すると予想される点に注目する。まず、成長への打ち手が続く。新事業の「meviy」では、顧客が部品のCAD データをアップロードすれば、価格と納期を表示、最短1日で出荷する。また、中国では拡大する中価格帯市場向けに専用カタログを発刊し、強化する。

 次に、当社は「成長投資の原資には高収益体質が必要」とし、販管費を抑制し(例えば本社スペースの削減)、販売価格を見直し、低利益率商品の扱いを中止する。

 22.3期は売上回復と利益率上昇により、営業利益が前期比95%増の530億円と前回ピークの18.3期を5割上回ろう。利益の中期成長が投資魅力と見る。

(エクイティ・リサーチ部  齋藤 克史)

※野村週報2022年1月17日号「銘柄研究」より

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