2021年12月(11月29日~12月30日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、投資信託、信託銀行などが買い越した。一方で、個人投資家、海外投資家などが売り越した。

 海外投資家は現物と先物の合計で4,984億円を売り越した。現物を7,033億円売り越したが先物を2,049億円買い越した。中国経済持ち直しへの期待が影響している可能性がある。海外投資家の先物売買動向と政府版の中国製造業PMI(購買担当者指数)は連動性が高く、海外投資家の先物取引は中国景気動向に影響されやすいと見られる。同PMI は11月に50.1と8カ月ぶりに前月比上昇に転じ、12月も50.3と2カ月連続で上昇した。

 信託銀行は5,040億円買い越した。11月末時点のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の国内株式ウェイトは23.7%と、基本ポートフォリオの中央値である25%を1.3%ポイント下回っていたと試算され、リバランス目的の買いの可能性がある。

 投資信託は1兆41億円を買い越した。現物売買は9月第5週以降買い越し基調となった。TOPIX(東証株価指数)が9月14日に2,118.87のピークをつけた後下落に転じており、最終投資家が日本株の押し目買いに動き始めていると見られる。

 個人投資家は6,311億円を売り越した。株価が回復した12月第2週から第5週にかけて売り越しており、利益確定売りを行ったと見られる。年末に向けて節税目的の損益通算売りが出やすいことも影響したと見られる。

(市場戦略リサーチ部 藤 直也)

※野村週報 2022年1月17日号「株式需給」より

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