「日本株投資戦略(1月号) – 2016年型のバリュー相場は来るか」が発行されています。今回は「FINTOS!編集部が選んだ本日の野村レポート」の臨時増刊として、同レポートの冒頭部分を特別公開いたします(本文はプレミアム会員登録で読むことができるようになります)。

日本株投資戦略(1月号) – 2016年型のバリュー相場は来るか

発行日:2022年1月14日

中国景気回復は有望だが米金利からの追い風には限界

22年3月からの連続利上げに向けて米長期金利に上昇余地、銀行株に恩恵

 年明けの金融市場では、米10年金利が一時1.8%を上回るまでに急騰した。長期金利の向かうレベルとしてFRBが自ら提示している政策金利の「長期見通し」を参考にすると、米30年金利=2.5%が一つの目安となる(野村の10年金利予想は22年12月:2.00%)。米利上げ開始までは「FRBタカ派化」が市場のテーマであり続ける可能性が高く、銀行株は当面投資妙味があるとみる。

セクター戦略の軸は米実質金利から中国景気回復に変化、輸出・加工セクター優位へ

 22年前半の海外マクロ環境という点では、春先以降は中国景気持ち直しがより重要になると予想する。すでに中国製造業PMI(政府版)は11月・12月と2カ月連続で上昇したが、2月の北京五輪明けから11月の共産党大会に向けては景気テコ入れ姿勢が強まると考えられる。そこで、米実質金利(30年)と中国製造業PMIの2変数に対する日本株セクターの感応度を測定すると、前者に対しては鉄鋼・非鉄、銀行、自動車・輸送機、金融(除く銀行)という順、後者に対しては、電機・精密、機械、建設・資材、鉄鋼・非鉄、の順となった。過去の中国景気回復と比べ、ここからの局面では建設投資は抑制気味となる公算が大きい点を考慮し、加工・輸出セクターが有利と考えている。

2016年の「バリューラリー」は、前段階として厳しいリスクオフがあった

 日本株のバリュー/グロースの相対株価は、米実質金利との連動性が引き続き高く、「FRBのタカ派化=バリュー株有利」と考えてよさそうだ。2016年の「バリューラリー」の再現はあるか。当時を振り返ると、年前半は、1月に人民元ショック、6月に英国民投票での「EU離脱決定」という2つの大きな株安・金利低下の波を経験、さらに16年11月の米大統領選をめぐる不透明感も重しとなった。一方、水面下では中国景気が16年春先から急回復しており、これに米大統領選の決着(トランプ氏勝利)による不透明感の後退が合わさる形で世界的な株高・金利上昇・円安が進行。リスクオフからリスクオンへと急転したのが16年後半だった。これに対し、今次局面では金利上昇・円安などバリュー株に有利な環境変化はすでに緩やかに実現しており、伸びしろは大きくない。バリュー株優位の相場はすでに後半戦に入っており、その賞味期限は3~6月までとみている。

 本レポートではこの他、1章(2)「中小型株への試練は続くも年後半にチャンス」、3章「需給動向:レバレッジ型・インバース型投信動向/海外投資家が先物買い越しトレンドに」、4章に「クオンツ戦略:Q3決算発表では前四半期の会社予想リビジョン逆張りを推奨」、5章「トピック:FRBのバランスシート縮小(QT)による米国株への影響試算」を取り上げた。続きを読む

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