住友電気工業(5802) 非鉄金属

20年10~12月期営業利益は過去最高
世界大手の電線メーカー。自動車用ワイヤーハーネス(組み電線)で世界シェア首位。光ファイバ関連、高圧電力ケーブル、超硬工具などでも世界の有力企業である。
2月3日発表された2020年10~12月期決算では営業利益は624億円となり、四半期としては過去最高益となった。自動車用のワイヤーハーネスの販売が好調に推移したほか、エレクトロニクスや情報通信事業でも堅調な業績推移であった。
野村では、自動車、情報通信部門を中心に業績の好調は続き、22.3期には営業利益で前期比75%増益の1,700億円となり、18.3期の過去最高益1,731億円に近づくと予想する。
次世代のインフラを支える
当社では主力の自動車用ワイヤーハーネスにおいて、世界の自動車生産台数があまり増えなくても、23.3期に20.3期比で3割の受注数量増を計画している。アルミハーネス、高圧ハーネス等の技術力やグローバルな生産管理技術での優位性により、シェア拡大が続くと予想する。
中長期的には再生可能エネルギー向けの送電ケーブルの成長性も評価している。海底ケーブルや地中送電ケーブルでは、ドイツなど欧州で長距離の高圧送電ケーブルを受注するなど、世界的に実績がある。日本では洋上風力向けやそれ以外の送電網の強化のために、送電ケーブルの需要拡大が期待できる。




(松本 裕司)
ヤマトホールディングス(9064) 陸運

宅配便の代表企業
1919年にトラック会社として創業、76年に当時社長の小倉昌男氏が主導し、個人宅配サービス「宅急便」を始めた。サービスの充実で利用者を増やし、宅配便シェアは2019年度に40%強(野村推定)と運輸業界の代表企業となった。また、新型コロナによるEC(電子商取引)の利用増により、宅配便の市場成長率は高まっている。
当社は20年1月に発表した経営構造改革プランで23年度に営業利益1,200億円以上、営業利益率6%を目標とした。需要予測に人工知能を活用、従業員1名当たりの生産性を重視し、EC 関連の荷物は委託業者に任せ、自社社員は配送品質を求める商品の配送に集中する方針を示した。
新型コロナ禍で宅配便が急増
20年度は新型コロナ禍でのEC の利用拡大に伴い宅急便の個数が急拡大している。20年4~12月期の宅配便個数は前年同期比15%増、営業利益は同79%増益の897億円となり、20年度の営業利益計画が820億円と従来の680億円から上方修正された。
以前から費用管理が課題となっていたが、従業員の増加を抑え、配送効率の改善により個数の増加に対応したことが大幅増益につながった。
野村では21年度の営業利益を905億円と予想している。新型コロナ禍の一巡で宅急便の個数の伸びが鈍化するとみるが、20年度に発生した一時費用の剥落により、増益は可能とみている。




(廣兼 賢治)
沖縄セルラー電話(9436) 情報・通信

会社は今期営業利益を145億円と計画
沖縄県で通信事業を営み、携帯ではauとUQ モバイルブランドの展開で高い市場シェアを有する他、FTTH(加入者向けの光ファイバー)事業では自社携帯とのセット契約で通信料金割引を享受でき、契約シェア拡大が続いている。また、電力再販事業である「au でんき」の契約数増が続き、携帯契約の解約防止に寄与している。
新型コロナ禍で携帯音声通話が増え、携帯大容量データプランへの移行も進展し、au通信ARPA(auブランドの一アカウント当たりの月額通信収入)が上昇している。このため、会社は2021年1月27日に今期(21.3期)営業利益計画を期初計画の140億円から145億円へ上方修正した。
今期は20年連続増配と自己株式取得を計画
今期から配当性向40%超を新たな配当政策に掲げ、今期の配当は154円/株と20年連続増配を計画している。加えて、今期は当社初の自己株式取得を上限20億円で実施している。
21年2月、3月には当社を含む携帯大手3社が複数のブランドで低廉な新料金を開始する。今後はNTT ドコモにはない価格帯を提供するUQ モバイルがどこまで純増数を伸ばせるかを見守ってゆきたい。
また、非通信事業では、前期末に竣工した九州と沖縄を結ぶ海底ケーブル事業が今期からの利益貢献が見込まれる。加えてデータセンターを併設するオフィスビルを建設中である。




(増野 大作)
※野村週報2021年2月22日号「銘柄研究」より