アドバンス・レジデンス投資法人(3269) 不動産投資信託

22.1期には稼働率が96.2%まで回復
伊藤忠グループがスポンサーで主な投資対象は居住用不動産。新型コロナ影響により2020.7期以降ポートフォリオ全体の月次稼働率は低下基調を辿ったが、22.1期には期中平均稼働率が96.2%まで回復している。他方、入居者の入れ替えに伴うポートフォリオ全体の月額賃料変動率は22.1期に-0.6%とマイナス圏に。東京23区に所在するシングルタイプ(単身者向け住戸)における同月額賃料変動率のマイナス幅拡大が主因であった。21年8月以降、東京23区における転入超過数は前年同月比でプラス化していることに加え、シングルタイプでは相対的に賃料単価の高い入居者の入れ替えが一定程度進捗している模様である。
築15年を目処に大規模修繕工事方針
当社では、22.7期中に「レジディア文京小石川」を含む4物件を計56.7億円で取得予定。22.1期末時点で、当社パイプラインとして認識できる伊藤忠グループの賃貸住宅開発案件は計31物件、想定規模で約558億円(うち竣工済が約436億円)であり、潤沢なパイプラインを有していると考えられる。一方、22.1期末時点でのポートフォリオ全体の加重平均築年数は15.4年となる。当社では、築15年を目処に物件競争力の維持・向上を企図した大規模修繕工事を実施する方針であり、22.1期の減価償却費に占める修繕費及び資本的支出合計の割合は約75%であった。こうした中、経年に対する取組みの効果も確認できる。




(エクイティ・リサーチ部 大村 恒平)
日本電産(6594) 電気機器

永守重信会長がCEO 職に復帰
4月21日に、永守重信会長が、CEO(最高経営責任者)に復帰することを発表した。関潤社長は、COO(最高執行責任者)兼車載事業本部長に就任する。
当社の強みは、重要な経営課題の解決策を即断即決し、素早く実行に移せる経営体制にある。永守会長がCEO に復帰することによって、第1に、喫緊の経営課題である資材費高騰への対応が進むことが予想される。特に、EV(電気自動車)モータでは、マグネットや電磁鋼板といった部材が大幅な値上げとなっており、当社はモータ価格の是正を急ぐと見られる。価格是正が進めば、今(2023.3期)下期から来上期に、EVモータの黒字化が見えて来よう。
関潤社長はEVモータに注力
第2に、M&A(企業合併・買収)の加速である。当社は、景気減速時に、将来の有望分野の事業拡大につながる企業買収を積極的に実施する。例えば、2010年代初頭は、車載、産業機械と家電向けのモータ企業を複数社買収し、現在の中型モータ事業の基礎を作った。永守CEO によれば、工作機械の分野などで、企業買収を通じて事業の土台を築く余地が大きい模様である。
関COOは、世界のEV市場の中心である中国での業務経験が長く、実績も豊富である。EVモータの市場シェア向上と収益化を牽引することで、次世代の当社のリーダーとして再び頭角を現すことが期待される。




(エクイティ・リサーチ部 秋月 学)
沖縄セルラー電話(9436) 情報・通信

今期に22年連続増配を計画
今期(2023.3期)の営業利益は前期比1.7%増益の154.8億円が予想され、配当は172円と22年連続増配、自己株式取得は最大30億円を前提とする。割安な料金で提供されるUQ モバイルの構成比上昇で携帯ARPU(1アカウント当たりの月額通信収入)は低下が続くが、一方UQ モバイル契約数増で、今期携帯契約純増数は0.8万と前期1.18万に引き続き高水準を見込む。
また、今期は3G(第3世代移動体通信)関連の販促費・減価償却費が減少し、ローミング収入減収影響との相殺後で4億円前後の営業増益効果があろう。さらに、前期に竣工した賃貸用オフィスビル関連の不動産取得税2億円も剥落見込みである。
au では5Gデータ無制限プランに注目
21年10月末に開始した「au 応援割(U30)」では、auデータ無制限プラン加入の30歳以下顧客に対し6カ月間に渡り月額料金を3,580円割引している。このため、au では5G 顧客の7割弱が料金の高いデータ無制限プランを契約している。今後は同割引が消滅する顧客が増加するが、データ使用量が拡大した顧客は契約を継続する比率も高いと考えられ、auブランド単独でのARPU 下支えが見込めよう。
一方、FTTH(加入者向けの光ファイバー)事業は市場シェアが高い自社携帯とのセット契約で通信料金の割引を享受できるため、沖縄県内の契約シェアが継続的に上昇すると予想される。




(エクイティ・リサーチ部 増野 大作)
※野村週報2022年5月16日号「銘柄研究」より