先週のドル円相場は荒い値動きとなった。9日に131円35銭と20年来の高値を更新後、円安の勢いは鈍化、12日には一時128円割れまで調整した。5月FOMCはパウエル議長が75bp利上げに慎重姿勢を見せるなど、ややハト派的だったが、市場では米引締めへの警戒感が根強い。注目された米CPIが市場予想を上振れ、インフレピークアウト・シナリオの確度が高まらなかったことも市場心理の重石になっていよう。米金利低下を背景に、リスクオフによる円高圧力がドル円にも波及しやすくなっており、目先は一段の円高リスクが警戒される

 金融市場の不安定感が高まる中、今週は18日(水)G7財務相・中銀総裁会議が予定されており、当局者発言が注目を集めよう。17日(火)パウエル議長講演も予定されている。もっとも、パウエル議長は12日のインタビューで50bp利上げ路線の継続を示唆しており、引き締め懸念が市場心理の重石となる状況に変化はなさそうだ。一方、ドル円は調整したとはいえ、対ユーロなどではドル高が継続、ドル指数も高値更新が続いている。仏連銀ビルロワドガロー総裁がユーロ安に懸念を示し、新興国でも通貨防衛の動きが一部で強まる中、為替市場に関する議論が活発化するか注目される

 今週は日本の経済指標も注目を集めそうだ。20日(金)全国CPIが特に重要となる。先行して公表された4月東京CPIが上振れたことを受け、インフレ加速への期待が一段と高まっていよう。市場は前年比+2.0%への加速を見込んでいるが、当社エコノミストは同+2.2%への上振れリスクを見ている。仮に市場予想上振れとなれば、年後半に向けた日銀正常化への期待が高まりそうだ19日(木)貿易収支については、市場では原油価格上昇の影響もあり、赤字幅拡大が予想されている。18日(水)GDPでは前期比マイナス成長が予想されるが、市場の注目は4-6月期以降の回復ペースにあり、相場の反応は限定的だろう。

 米国では引き続きFRB高官発言が多く予定され、市場の注目を集めよう。また、17日(火)小売統計などの経済指標で米引締めに対する経済の耐性がどの程度あるかを確認したい。

※2022年5月16日発行「国際金融為替ウィークリー」より一部抜粋(レポート本文はプレミアムプラン限定)

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