日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査」(2022年1月)によると、投資信託を保有する個人投資家のうち約17%がJ-REIT(不動産投資信託)を保有している。また、JAPAN-REIT.COM「2021年版J-REIT 個人投資家アンケート調査結果」によれば、「今後J-REITの投資額を金融資産全体の20~40%にしたい」と答えた個人投資家は43%と、J-REITに対して一定の需要があることが窺える。

 J-REITの株価動向を振り返ると、コロナショックの20年2~3月に東証REIT 指数(配当込み、以下同)は急落し、20年の年間パフォーマンスは-13.4%となった。セクター別では工業が18.1%上昇した一方、ホテル&リゾートが-31.5%、オフィスは-20.8%と下落幅が大きかった。

 21年は前年の大幅下落の反動などから東証REIT 指数は20.0%上昇、コロナショックの影響が相対的に軽微であったヘルスケア、工業、住宅を筆頭に全セクターで上昇した。

 22年に入り、新型コロナウイルス(オミクロン株)感染拡大とFRB(米連邦準備理事会)による金融引き締めペースの加速懸念、さらにウクライナ情勢の緊迫化などからリスクオフ(リスク回避)となり、東証REIT 指数は5月末までに1.3%下落した。セクター別ではホテル&リゾートが13.1%上昇した一方、工業は12.0%下落した。

 20年や22年のようなJ-REIT の株価下落局面では、セクター間によるパフォーマンスの差が見られたことからも、今後J-REITへの投資を検討する際には、投資先セクターも勘案する必要があると考える。

(野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング 吉田 葵)

※野村週報 2022年6月27日号「資産運用」より

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