
株価と密接な関係があるRI(リビジョン・インデックス)とは
株価は企業業績と密接な関係があり、特に業績の修正動向は重要な情報です。RI(リビジョン・インデックス)は、アナリストの業績修正の方向を示す指標で、作成機関により作り方は様々ですが、野村證券が集計するRIはゼロを境目に上方修正が優位であれば、値がプラスとなる指標です。四半期ごとの決算発表時に、会社から業績の情報が出ると、アナリストの業績修正が活発化してトレンドが形成され易くなります。一方、決算発表の谷間は、一般的に業績修正数は限定的ですが、この間の業績への見方を修正するアナリストの趨勢が反映されます。
(図)アナリストの業績修正動向を示すリビジョン・インデックスと日経平均株価

(注)RI(リビジョン・インデックス)は、2023.3期の業績に関するアナリストの業績修正に関する指標。対象企業は、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の約260社。3の倍数月の月初を起点に、3-5月、6-8月、9-11月、12-2月のその四半期が終わるまでの期間中のアナリストの(上方修正件数―下方修正件数)/(修正件数の合計)の比率。分母の修正件数の合計が少ない3の倍数月の月初の10日間は除いている。データは日次で、直近の値は2022年6月22日。RIの図表右側の数字は、直近の値。
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成
製造業の業績下方修正は織り込み一巡で次の局面へ
日経平均株価は2022年入り後、おおよそ27,000円を中心にレンジ相場が続いてきました。この間、2023.3期の業績を対象としたRIの推移をみると、ウクライナ紛争や資源価格の上昇、中国のロックダウン(都市封鎖)、サプライチェーン(供給網)の混乱などがあり、特に製造業で、これらの悪材料を織り込むように下方修正優位が続いてきました。足元では、製造業の業績下方修正の織り込みは一巡し、上方修正優位に転じています。業績修正数が少ないため、RIは今後大きく変化し得ますが、製造業の挽回生産や国内外のサプライチェーンの混乱解消が進めば、業績の好転が着実に進み、RIから業績上方修正優位が明確になるでしょう。
(野村證券投資情報部 小髙 貴久)