CPIが期間平均を上回る+PPI(生産者物価)>CPIとなる局面

 クオリティ銘柄はインフレ環境において生産者物価の上昇を消費者物価に転嫁する力があると言えるでしょうか。

(注1)CPIは米国CPIの対前年同月比、PPIは米国PPIの対前年同月比を使用。網掛けはPPIがCPIを上回り、かつ、CPIが期中平均(2.4%)を超えた月。
(注2)データは月次で、直近値は2022年7月時点。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

 上の図表は、2001年1月から2022年7月までの月次のデータで、赤い折れ線グラフはアメリカの消費者物価指数、CPIの前年同月比の数値です。この期間のCPIの期中平均値は2.4%で、青い水平線です。

 灰色の棒グラフは、アメリカの生産者物価指数、PPIの前年同期比の数値から、CPIの数値を引いた値で、この値がプラスの場合生産者が物価上昇分を消費者に転嫁できない傾向があることを示唆します。

 黄色の網掛けの部分は、CPIが期間平均の2.4%を上回り、かつ、PPIがCPIを上回る期間です。この期間は言い換えれば、全体的に見れば企業部門がインフレを消費者への販売価格に、十分に転嫁できていない局面といえます。

インフレで消費者物価に転嫁できていない局面の平均月次リターン

 インフレ環境かつPPIがCPIを上回る局面において、クオリティ株式はグロース株式やバリュー株式、世界株式全体をアウトパフォームしていることが確認できます。

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(注1)クオリティはMSCI ACWI クオリティ指数(配当込み、ドル)、バリューはMSCI ACWI バリュー指数(配当込み、ドル)、グロースはMSCI ACWI グロース指数(配当込み、ドル)、世界株式はMSCI ACWI指数(配当込み、ドル)。クオリティ指数は、クオリティ・グロースのリターン獲得を目的として、①負債/自己資本比率、 ②ROE(自己資本利益率)、③収益安定性の3つの財務指標を用いてクォリティ・スコアを算出し、銘柄を選定しています。
(注2) PPIがCPIを上回り、かつ、CPIが期中平均(2.4%)を超えた月の平均値。データは月次で、計算期間は2001年1月から2022年7月。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

 上の図表は、この、インフレかつ生産者物価の上昇を消費者物価に転嫁できていない局面の株価指数の平均月次リターンです。

 クオリティ指数は、負債対自己資本比率や自己資本利益率、収益安定性で選別された銘柄で構成されています。クオリティ指数の平均月次リターンは0.16%と正のリターンで、マイナスのリターンとなったバリュー指数、グロース指数、世界株式全体をアウトパフォームしました。

 クオリティ銘柄は相対的に、インフレ時に生産者物価の上昇を消費者物価に転嫁できていると見て取れます。

 ブランド価値が高く、プライシングパワーの強いクオリティ株は、2000年以降のデータでは相対的に良好なパフォーマンスでした。

ご投資にあたっての注意点