
米ドルは主要通貨に対して20年ぶりの高水準で推移
米ドル円レートは2021年1月6日の103円04銭から4割近く下落し、足元では一時150円台と約32年ぶりの円安・米ドル高水準で推移しています。同じく、ブルームバーグが公表しているドル指数(主要通貨に対する米ドルの名目実効為替レート)は2021年1月6日の89.53を底に反発し、2022年9月27日には114.11と約20年ぶりの高値を付けました。

米ドルからみたトータルリターンで円は世界ワースト2位
この間、主要通貨のほとんどが米ドルに対して下落しました。ただし、運用通貨として米ドルが最も魅力的だった訳ではありません。米ドルを持っている投資家が米ドルを含む42通貨で運用した場合のトータルリターンを比較したものが、上記の図表です。運用期間は2021年1月6日から2022年10月12日とし、運用先は3ヶ月預金と想定し、累積利子と為替リターンを比較しました。トータルリターンのトップはロシアルーブル、これにアルゼンチンペソが続いています。いずれもそれまでの下落が大きかった通貨です。日本円はトルコリラに続いてワースト2位に入っています。
ここから得られるインプリケーションは、円の現預金に偏重した資産配分は非常に効率が悪いという事です。確かに円高局面では円建てで試算した外貨の価値は目減りしますが、各国で講じられた利上げによる金利上昇の効果も加味すると、資産の中に外貨を組み入れておくことの有用性が高まっていると言えます。
(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)