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日本の為替介入

 日本の為替介入の多くは、円高に歯止めをかけるために円売り・米ドル買いの為替介入が行われてきました。ただし、為替市場への影響としては、G7(先進7ヶ国)財務相中央銀行総裁会議による国際通貨当局の意思表明の影響の方が大きく、そのタイミングが市場の動きの加速や、反転したりする機会となりました。円安にブレーキをかけるための円買い・米ドル売り介入は、1997年のタイの通貨危機以降、ロシアの対外債務支払い停止までのいわゆるアジア通貨危機時に円安が急伸したことを受けて行われた時が最後でした。円売り・米ドル買い介入を含めると、為替介入は2011年11月を最後に行われていませんでした。主要先進国は、変動相場制を採用しており、特に米国は近年、人為的な為替介入に否定的です。

2022年9月以降の円買い介入の効果は

 政府は新型コロナの感染状況を見極めつつ、訪日外国人の制限を緩める水際対策の緩和を進めてきました。10月11日には1日当たり5万人の入国者数の上限が撤廃され、米国などから観光で訪れる短期滞在者のビザ免除が再開されました。円安の追い風もあって、訪日外国人は増える可能性があります。また、国内旅行者に対する全国旅行支援についても10月11日から実施されました。空港を利用する旅客数は、新型コロナ感染拡2022年に急激に円安が進む中、2022年9月22日に1米ドル=145円を超えた水準、10月21日に同152円に迫る水準で円買い・米ドル売り介入が行われたようです。それぞれ、為替介入によって当日は5円以上、円高に戻す場面もありましたが、その後、円安圧力が続いています。経済ファンダメンタルズ(基礎的条件)が変わらない状況では、円買い介入は円安のスピード調整になっても、それだけでは円安を反転させる力に乏しいようです。

(野村證券投資情報部 小髙 貴久)

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