いよいよ日本時間の14日早朝、年内最後のビッグイベント「12月FOMC(米連邦公開市場委員会)」の結果が発表されます。0.50%ポイントの利上げは市場で確実視されていますが、3ヶ月に一度のFOMC参加者による経済見通しや政策金利の長期的な見通し(いわゆる「ドッツ」)も発表されます。見通しが予想から上振れ/下振れした場合、重要なターニングポイントになりそうです。

前回の「ドッツ」と新しい野村予想の比較

 前回(3ヶ月に一度の発表であるため、9月)FOMCにて発表されたドッツと照らし合わせながら、14日付で発表された野村の米国マクロチームの新しい見通しを確認していきましょう。

 上図(9月FOMC)の通り、ドッツには政策金利の見通しが各年末の値で示されます。12月FOMCで予想が引き上がれば「引き締め強化」で金利上昇→株価にはマイナス、予想が引き下がれば「引き締め緩和」で金利低下→株価にはプラス、の影響が想定されます。以下、「政策金利の中央値」(赤線・赤文字)を参照しながら解説します。

2022年末

 前回のドッツでは、2022年末の米政策金利は「4.375%」と予想されていました。現在の政策金利は「3.875%」ですので、市場や野村の予想通り12月に0.50%ポイント利上げとなれば、前回のドッツと一致し、サプライズなしとなります。

2023年末

 前回のドッツでは、2023年末の米政策金利は「4.625%」と予想されていました。これは2022年末から0.25%ポイントの追加利上げとなることを示しています。

 野村の米国マクロチームでは、12月14日付で2023年の利上げペースに関する見通しを大きく引き下げました。政策金利の到達点(最も高くなる地点)を5.625%から4.875%へ下方修正しています(なお、利下げは9月から開始し、0.25%×3回となる予想を変更していません)。結果として、2023年末の野村予想は「4.125%」と、9月ドッツより0.50%も低い位置を予想しています。

 これは、インフレのピークアウトに加え、景気後退への懸念が反映されています。金融政策の目線がインフレ鎮静化から、景気サポートに移っていくという想定と考えられるでしょう。

 もし、この想定通りだとすれば、株式市場を見る上で何を考えればよいのでしょうか?

株価はEPS×PER、とすれば?

 株価は、EPS(一株当たり利益)予想×PER(株価収益率)で計算されます。EPSは企業業績ですので実体経済(景気)に、PERは米金利に反比例(金利が低下すると、PERは上昇)するとされています。

 

 上図から分かる通り、足元でPER低下(≒金利上昇、金融引き締め)は前年比で緩やかになりつつあります。野村予想通りに、金利が低下していくのであれば、PERを起点とした株価下落は起こりづらくなります。

 一方で、EPSは低下に歯止めがかかる兆しは見えていません。野村の米国マクロチーム予想通りに景気は悪化し、来年の後半に利下げが見えてくるのであれば、「景気後退×金利低下」の銘柄選びや、金融政策による景気サポート効果を見越した「景気回復×金利低下」の銘柄選びが必要となりそうです。

(注)左図は、GDP(増加/減少)と金利(上昇/低下)の4局面別の、①S&P500平均リターン、②その滞留期間、③S&P500をアウトパフォームする確率の高い業種、を示したもの。分析期間は1995年第2四半期~2014年第1四半期。業種は同期間におけるGICS(世界産業分類基準)による10セクター。
(出所)野村證券投資情報部作成

 まずは、投資家としてFOMC結果発表を見守る早朝となります。なお、金融政策をより詳細に見るためには本稿で解説をした2023年末の見通しに限らず、2024年末や長期均衡水準の見通しも重要です。FINTOS!有料会員向けのレポートでは、それらの解説もお届けしています(無料期間1ヶ月)。今後もFINTOS!を、金利・株式に関する投資判断の参考にご活用いただければ幸いです。

(FINTOS!米国株/小野﨑通昭)

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