26週線を大きく割り込み、2022年10月高値で天井形成へ

 2022年のドル円相場は米国の金利上昇を受け、日米金利差拡大から円安・ドル高となり、10月に一時1ドル=150円台をつけました。ただ、米長期金利にピークアウト感がみられ、10月以降は円高・ドル安傾向となりました。そして12月20日に日銀が長期金利の許容変動幅を拡大し上限を0.5%に引き上げると発表、大方の市場参加者の予想外となる緩和修正となり、円高・ドル安の動きが加速しました。

ドル円相場:月足チャート(1998年~)

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 (注1)直近値は2022年12月23日。 数値は日銀公表値で東京市場、取引時間中ベース。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端含み。
 (出所)日本銀行、日本相互証券、FRB、Wall Street Journalより野村證券投資情報部作成

 チャート面からは、2023年も引き続き円高・ドル安方向への動きに警戒が必要と考えられます。まず前回の2015年6月サイクル高値から約7年半が経過し、2022年10月高値を形成しました(図1)。次に、10月高値までの上昇局面で大きく割り込むことのなかった26週移動平均線を11月に割り込んだことで、8年サイクル高値を2022年10月に形成した可能性が高まりました(図2)。そのため2023年は、これまで2年弱上昇してきた中長期上昇トレンドに対する反動に留意が必要だと考えられます。

(注1)直近値は2022年12月23日。 数値は日銀公表値で東京市場、取引時間中ベース。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本銀行、各種資料より野村證券投資情報部作成

 ただ短期的には2022年10月高値からの下落(円高・ドル安)が急角度だったため、フシの13週線や26週線に向けて戻しを試す可能性も考えられます。

 また中長期トレンドを内包する超長期トレンドは、これまでの2007年や2015年の円安ピークである125円を2022年に大幅に上回り、一時150円をつけたことで上向き(円安・ドル高)に転じたと考えられます(図1)。よって仮に目先円高・ドル安傾向が続いた場合も、その到達点は限定的になると考えられます。

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