岸田政権は「新しい資本主義」という経済政策を掲げ、「成長と分配の好循環」の実現に向けて、令和4年、2022年11月に「資産所得倍増プラン」を制定しました。

中間層と言われる方々が気軽に投資できる環境を整備して、家計のお金が企業の成長投資の元手となり、企業の成長が促進され、企業価値が拡大すれば、それとともに家計の金融資産所得拡大につながることになります。

その資産所得倍増プランの目標として、第一に、投資経験者の倍増を目指します。具体的には、5年間で、少額投資非課税制度、NISAの 総口座数を現在の1,700 万口座から3,400 万口座へと倍増させることを目指して、制度整備を図ることとしました。

第二に、投資の倍増を目指します。具体的には、5年間で、NISA 買付額を現在の28 兆円から56 兆円へと倍増させ、その後、家計による投資額の倍増を目指します。

そして、これらの目標の達成を通じて、中間層を中心とする層の安定的な資産形成を実現するために、長期的な目標としては、資産運用収入そのものの倍増も見据えて政策対応を図ることとしています。

この資産所得倍増プランの実現に向けて、与党の令和5年度税制改正大綱では、NISA制度の恒久化とともに、非課税で投資できる期間を無期限にして、最大で年360万円と投資枠も広げ、生涯投資枠1,800万円の範囲内で利用できるようにすることが盛り込まれました。

今後、新しいNISA制度の詳細が明らかになるとともに、その活用への期待が高まることになるでしょう。

(注)グラフのNISA口座数・買付額は年末の数値で、2022年のみ6月末。また2022年と目標の口座数と買付額は一般とつみたての合計数。記載事項は全て当資料作成時点の情報に基づくものであり、将来、制定される制度の内容が変更になる、または一旦制定された制度が変更・廃止になる可能性等がありますのでご留意ください。
(出所)内閣官房、自由民主党・公明党資料より野村證券投資情報部作成

(野村證券投資情報部 井上 政則)

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