2022年12月3週間(12月5日~12月23日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、海外投資家や信託銀行などが売り越した。買い越した投資部門は個人投資家や投資信託などであった。以下、12月3週間を暫定的に12月の月間値として論じる。

 海外投資家は現物と先物の合計で9,344億円を売り越した。12月第3週の売り越し額が1兆83億円と大きかった。12月20日に日本銀行がイールドカーブ・コントール(長短金利操作)の運用を見直し、10年金利の変動幅を±0.25%程度から±0.5%程度に拡大することを発表したことが背景と見られる。

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 信託銀行は6,678億円を売り越した。12月第1週の売り越し額が6,429億円と特に大きかった。12月9日のSQ(特別清算指数)算出日に向けた先物のポジション調整が行われた可能性に加えて、11月下旬にかけて株価が上昇していたことから、年金基金がリバランス(投資配分比率の調整)売りを行った可能性が考えられる。

 個人投資家は6,942億円を買い越した。株価下落を受けて押し目買いを行ったとみられる。

 投資信託は6,405億円を買い越した。12月第3週の先物買い越し額が4,007億円と大きかった。レバレッジ型(現指数の変動率に一定の倍率を乗じた運用成果を目指す)投資信託への資金純流入、インバース型(現指数の変動率に一定のマイナス倍率を乗じた運用成果を目指す)投資信託からの資金純流出が背景と見られる。

(市場戦略リサーチ部 藤 直也)

※野村週報 2023年1月16日号「株式需給」より


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