16日(月)は、キング牧師誕生記念日の祝日で休場です。

①1月6日~1月13日の振り返り:経済指標でインフレ鎮静化の兆し

 先週最大の注目点は、12日(木)に発表された12月CPI(消費者物価指数)でした。12月CPIは前月比で小幅に低下し、前年同月比の上昇率の伸びも縮小しました。

 続いて13日(金)に発表されたミシガン大学調査による米消費者期待インフレ率は、5年先については3.0%と前回調査の2.9%を若干上回ったものの、1年先については前回調査の4.4%から4.0%に低下しました。

 これらの経済指標を経て、次回 1月31日(火)~2月1日(水) のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ幅は前回の0.50%ポイントから0.25%ポイントに縮小するとの見方が強まった模様です。

②今週の気になる金融政策:沈黙期間前のFRB高官発言

1月31日(火)~2月1日(水)のFOMCを前に、1月21日(土)からFRB(米連邦準備理事会)幹部は沈黙期間に入ります。今週は、沈黙期間直前のFRB高官による講演が複数予定されています。インフレ鈍化と利上げペース幅縮小を織り込むような先週の市場動向を受けたFRB高官の発言に市場の関心が集まります。野村の小清水ストラテジストは「ここ数ヶ月でいち早く景気配慮姿勢を示し始めたブレイナード副議長(1月19日(木)講演予定)と、対照的にFOMC全体のタカ派化に先行してきたウォラー理事 (1月20日(金)講演予定) の見解が注目される」と述べています。

 その他、経済指標でも重要な発表が相次ぎます。特に景気を見る観点からは、18日(水)の12月小売売上高や、19日(木)の12月住宅着工・建設許可件数が要チェックでしょう。

 

③今週の気になる決算:19日(金)のネットフリックス

※ここで取り上げる銘柄は、あくまで「今週決算発表がある企業およびその関連企業」のうち、「米国経済やセクター全体を見通す上でインプリケーションが多い」という観点で言及するものです。個別銘柄の勧誘・助言を目的とするものではありません。

 先週から、米国企業の2022年10-12月期決算発表がスタートしています。まずは金融機関の発表が相次いでおり、大手銀行は信用費用の増加やローンの貸倒率の上昇を見込むなど慎重姿勢を継続しつつも、売上高やEPS(一株当たり利益)は市場予想を上回る企業が多い模様です。

参考:【米国株決算速報】JPモルガン・チェース(JPM):株価は2.52%上昇、カード事業が堅調

 事業会社の決算はこれから本格化します。2023年12月期通期の見通しを初めて発表する企業も多く、これが保守的なものだと自ずとアナリストのEPS予想にも下押し圧力となります。昨年末からS&P500構成企業のリビジョン・インデックス(直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数で計算)も、1を割り込んだ状態が続いています。

メディア×広告の先を見通す決算、ネットフリックス

 19日(木)にネットフリックスの決算発表が予定されます。当社は2022年4-6月期の決算で発表した「世界での有料会員純減」が悲観され、大きく株価は下落しました。しかし、2022年後半に入り株価は復調傾向にあります。一因は、2022年10月に発表された「広告付きプラン」など利益率改善に貢献する施策でしょう。

 VOD(ビデオ・オン・デマンド)プラットフォーム業界を考える上でも、同年11月より各国で既に加入ができるようになっている同プランの動向は投資家の最大関心事です。同プランは、平均で3割程度の値下げとなるため、ARPU(1ユーザーあたりの平均売上高)を有意に押し上げるかに懐疑的な意見があります。一方で、対象はベーシックプラン(画質が比較的粗く、1端末でしか使えないプラン)であるため、プレミアムプランやスタンダードプランのユーザーには現時点で影響がなく、今後上位プランに広告を付けるオプションが導入されたとしても(広告販売の分だけ売上高が上昇し)ARPUにプラスとの見方もあります。

 競合であるウォルト・ディズニー(ディズニー・プラス)やコムキャスト(ピーコック)なども同様に会員数の伸び悩みに直面しており、VOD事業の収益改善が急務です。ARPUの上昇に繋がれば、業界にとって「広告付きプラン」の可能性を示すものとなるため、同施策の成否が業界の評価にも影響を与えそうです。

 また、ネットフリックスの決算は広告業の先行きを見るうえでも注目です。2022年7-9月期決算ではアルファベットやメタ・プラットフォームズ等の広告メディア株が、巣ごもり需要の反動の継続や広告需要そのものの鈍化に警鐘を鳴らしました。その意味では、会員数の純増・純減傾向等の他に、視聴時間、消費者のデジタルメディアに対する姿勢の変化に関する経営陣のコメントも投資のヒントになるでしょう。

当社以外も、金融のゴールドマン・サックス(GS)、素材のアルコア(AA)、消費財のP&G(PG)、エネルギーのシュルンベルジェ(SLB)など、各セクターの注目決算が始まります。月末から2月月初のGAFAM決算に備えセクター動向をよく確認して、投資に活かしたい局面です。

(FINTOS!米国株/小野﨑通昭)

ご投資にあたっての注意点