令和5年度税制改正大綱で少額投資非課税制度(NISA)の恒久化が示されたことにより、「貯蓄から投資へ」の機運が高まりつつある。人生100年時代を迎え、現役世代には来るべきセカンドライフに備えた早い時期からの資産形成が望まれるが、「時間」という目には見えない貴重な資産の活用のためにも、いち早く行動できるかが成功の鍵となろう。NISA 制度の恒久化がその後押しとなることが期待される。

 資産形成のためのマネープランとしては、現在や将来に必要な「準備資金」と、リスクをとりながら資産を育てる「投資資金」に色分けをすることが資金管理を容易にする一つの手段となろう。

 ここでは、その内の「投資資金」の代表的な投資方法である「コア・サテライト投資」を紹介したい(下図)。コア・サテライトには、惑星とその周りを回っている衛星のイメージが当てはまる。コアとは、長期的に投資を行い、安定運用を目指す資金で、例えば積立投資を活用する方法が考えられる。積立投資には、時間分散による購入価格の平準化の他、運用益も再投資する複利効果を享受するために長期投資が欠かせない。一方のサテライトは、高いリターンを得るために積極的にリスクをとる資金である。

 子供の教育資金や住宅ローンなどの大きな支出が必要となる現役世代は、余裕資金が比較的少ないことが想定される。そのため、まずはコア資産を積立投資で構築しながら、資金にゆとりが出来た段階でサテライト投資を選択肢に加えて資産所得の拡大を目指す手法が考えられよう。

 2024年からの新しいNISA 制度を上手に使いこなすかどうかで、人生100年時代に向けた準備に差がつく可能性がある。希望あふれる未来を支えるための資産形成に一人でも多くの方が取り組まれることを期待したい。

(投資情報部 山口 菜穂)

※野村週報 2023年2月6日号「投資の参考」より

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