2023年1月(1月4日~1月27日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、海外投資家や事業法人などが買い越した。売り越したのは信託銀行や個人投資家などであった。

 海外投資家は現物と先物の合計で1兆2,640億円を買い越した。当月は海外投資家の先物売買の変化が目立った。1月第1~2週にかけては日本銀行の金融政策の修正への観測から先物を合計で6,211億円売り越した。しかし、1月17~18日の金融政策決定会合ではイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)における10年金利上限のさらなる引き上げがなかった。第3週には3,573億円の買い越しに転じ、第4週には1兆188億円を買い越した。

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 事業法人は3,737億円を買い越した。事業法人の買い越しは20カ月連続であった。引き続き企業が自社株買いを積極的に行っている。23年1月の自社株買い実施額は7,553億円であった(全上場企業、普通株ベース)。年度初来の実施額は7兆7,678億円となり、1月の段階で年度ベースの過去最高額を上回った。

 信託銀行は7,681億円を売り越した。株高を受けて年金基金がリバランス(投資分配比率の調整)売りをしたと見られる。

 個人投資家は6,761億円を売り越し、2カ月ぶりに売り越しに転じた。TOPIX(東証株価指数)が前週比2.9%上昇した第4週の売り越し額が6,765億円と特に大きかった。株価上昇を受けた利益確定売りが行われたと見られる。

(市場戦略リサーチ部 藤  直也)

※野村週報 2023年2月13日号「株式需給」より

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