投資家の皆様から関心の高い質問を専門分野のリサーチャーに聞いてみました!

Q:3月「海外子会社からの配当で円高」は本当?

「3月に向けて、(日本企業の)海外子会社からの配当で円高が進む」と聞いたことがありますが、これは正しいのでしょうか。そもそも、なぜ企業はわざわざ外貨を円に換える必要があるのでしょうか。

A:資金還流のタイミングで必ずしも円買いが増加するとは限らない

日本の国際収支統計を見ると、日本企業がこれまで行ってきた直接投資から得られた収益(直接投資収益)のうち、日本へと還流(リパトリエーション)する部分の収益を示す「配当金・配分済支店収益」という項目が3月に増加する季節性があります。これは、年度末を前に円ベースでの評価を確定する目的もあり、年度末には会計上の理由で日本へと資金が還流されやすい可能性を示しています。

ただし、海外で保有されている収益は既に円転されている可能性がありますし、年度末の資金還流を見越して先んじて先物市場などで円買いが行われている可能性もあります。そのため、必ずしも資金還流の増加と同じタイミングで円買いも増加するとは限りません。

過去10年間を振り返ると、3月のドル円は平均で1.08%程度の円安ドル高となり、円高ドル安となったのは5年、円安ドル高となったのが5年と、3月の円高といった季節性は確認できません。

(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成

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