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Q:話題のChatGPT、ビジネスになるのか?

マイクロソフトがチャットボットの「ChatGPT」を手がける米新興企業のオープンAIに出資したことが話題となりました。ChatGPTは果たしてどのようなビジネスに繋がるのでしょうか。

A:短期的にはマイクロソフト提供アプリの商品力向上に貢献か

マイクロソフトがChatGPTの開発元であるOpenAIに追加投資してまで、AIビジネスを積極化している背景には以下の2点が考えられます。

①マイクロソフトが提供するアプリケーションをAIによってますます使いやすい(賢い)ものにしていく

②AIを使った全く新しいビジネスを展開する

今回の出資については、短期的には主に①が期待されていると見られます。ChatGPTをマイクロソフトのアプリケーションに使うとすれば、以下のような想定がされます。

(1)検索エンジンBingにChatGPTを組み込み、検索エンジンのシェアを高める(検索結果として個々のWebサイトを表示するのではなく、AIが1枚でまとめてくれる)。

(2)WordやPower pointで「お勧めの日本株について、1ページで分かりやすくまとめてみて」と入力したら、1枚物の投資参考資料ができる。

(3)Excelの機能を拡張することができるプログラミング言語(VBA)を書いてくれる。

(1)では、短期的に広告収益を取り込むことは難しいかもしれませんが、Googleの検索シェアを少しでも奪取できる可能性があります。(2)(3)では、Microsoft 365(Office製品)の利便性を高めることで、サブスクリプション会員数を増やすことや、ARPU(1ユーザー当たりの平均収益)の増加を期待できます。これらの収益に対してマイクロソフトに追加的に掛かるコストはChatGPTの利用料ですが、オープンAIに出資することで、結果的に第三者よりも安いコストで利用できるのもマイクロソフトにとって魅力的です。

なお、オープンAIは、言葉に限らず様々なAIのアルゴリズム(計算方法や処理のことです)を開発しています。テキストを入力すると、テキストのイメージに沿った画像を出力するDALLE・2も展開しています。こちらとChatGPTを活用すれば、Power pointを使った資料作成も(半)自動で出来る可能性も期待されます。

(出所)野村證券フロンティア・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

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