投資家の皆様から関心の高い質問を専門分野のリサーチャーに聞いてみました!

Q:究極のエネルギー源「核融合発電」は実現するのか?

「核融合発電」は温室効果ガスや放射性廃棄物を出さず、半永久的にエネルギーを供給するとされていて、究極のエネルギー源とされています。果たして、実現性はあるのでしょうか?また、実現した場合、既存の再生可能エネルギーと比較して、どのような立ち位置となるのでしょうか?

A:実現は2040年代になる可能性が高い

核融合発電には、(1)核融合反応を起こす、(2)核融合で発生した熱エネルギーを電気エネルギーに変換する、という2つのプロセスが必要です。現在は、(1)の核融合を発生させ、投入エネルギー以上のエネルギーを取り出すことは実証されていますが、(2)の発電プロセスがまだ実証されていない、という状況です。近年、高温超伝導や高出力レーザー、AIなどの新技術により、核融合発電の実現性が高まっています。2030年代初頭の商用化を目指すスタートアップも登場していますが、より現実的には2040年代になる可能性が高いと思われます。

現時点で国際エネルギー機関(IEA)は、2050年にカーボンゼロを達成するには、2050年の世界の全発電量のうち、再生可能エネルギーが88%、原子力発電が8%を占めると想定してます。再生可能エネルギーの主流である太陽光発電と風力発電は、CO2を出さない、安価で国産のエネルギー源になるという利点があり、世界中で再生可能エネルギーの導入が今後も加速していくことが予想されます。そのため、原子力発電は再生可能エネルギーを補完する電源になることが期待されています。

現在原子力発電の中に核融合発電が含まれていません。核融合発電の商用化が成功すれば、大半の新規の原子力発電は核融合発電で代替される可能性があると考えられます。

(出所)野村證券フロンティア・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

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