投資家の皆様から関心の高い質問を専門分野のリサーチャーに聞いてみました!

Q:業界特有のサイクルにはどの様なものがある?

「機械サイクル」のような業界特有のサイクルは他の業界にもあるのですか?代表的な例があれば教えてください。

A:減価償却の対象となっているものには何らかのサイクルが存在する

まずサイクルの定義ですが、『季節性ではない、1年以上の期間ごとに起こる循環的な現象』としてお答えさせていただきます。

「機械サイクル」は工場設備で使われる機械類の多くで、減価償却耐用年数が10年前後に設定されていることに起因すると言われています。同様に、耐用年数が20~50年程度の建築物にもサイクルが存在すると言われています。このように会計上、減価償却の対象となっているものには何らかのサイクルが存在すると考えられます。

減価償却制度が適用されない個人が所有する耐久財でも、車や家電製品などでサイクルの存在が意識されています。日本ではいずれも(製品の寿命と考えられる)10年程度が目安とされています。

また、技術革新の速い半導体にもサイクルが存在します。ただ半導体は特に近年、技術革新のおこる頻度が不定期になっており、サイクルの周期を見極める難易度は上がっています。また、半導体と密接に関係するコンピューター(PC)の世界でもサイクルが存在します。例えばマイクロソフトは、新機能の搭載やセキュリティーの強化のため、おおむね3~5年のサイクルで新世代のOSを投入しています。

最後に、質問から逸脱しますが、なぜサイクルが発生するのかという視点も重要です。減価償却対象資産の場合、①景気対策などの一環で税制上の優遇や補助金により需要が増加、②耐用年数が過ぎたころに一斉に設備の入れ替えが行われる、というサイクルが発生しがちです。個人の場合でも、エコカー補助金などで一時的に販売台数が増加すると、一定期間後に買い替え需要が発生すると考えられます。

(野村證券投資情報部 伊藤 高志)

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