リスクシナリオはロシアの核攻撃

2月24日に、ロシア軍がウクライナに軍事侵攻を行ってから1年が経過します。ウクライナ紛争の最悪のシナリオは、ロシアがウクライナに対して小型核兵器を投下し、ウクライナが敗北、ゼレンスキー政権が降伏するというものです。金融市場への影響としては、株安、債券高、円や金への資本逃避などのリスク回避の動きが進むとともに、西側諸国による対ロシア制裁の拡大が予想されます。

中国やインドはロシアからエネルギーの調達が困難になり、インフレと景気下振れのリスクに直面します。ウクライナ産の穀物(小麦、大麦)は放射能汚染により長期間輸出が不可能になり、食料品価格の高騰のリスクも考えられます。

政治的には人道上の問題の他、核兵器使用で外国を侵略出来るという実績を築くという問題が生じます。核武装を正当化する国が増え、世界的に核拡散が進みかねません。

このため、米国はロシアに対し核兵器使用時の報復を示唆しているとされます。プーチン大統領が合理的な判断を下す限りは核兵器使用の可能性は高くはないものの、戦況によっては可能性がゼロとは言えません。特に、2024年3月のロシア大統領選挙が近づく中で、ロシア軍が後退する場合には注意が必要でしょう。

西側諸国の今後の対応

西側諸国による経済制裁については、ロシア産の原油、石油製品に対する価格上限設定措置の発動後、新たな制裁として、中国に対する2次制裁に注意が必要です。実際に、中国が武器支援を行っているとの証拠を米国が把握しているのかは明確ではありませんが、兵器製造に使用する軍事転用可能な民生品(デュアルユース品)についても、米国は警戒していると見られます。

米国はこれまでも、イランや北朝鮮に対し、軍事開発や人権抑圧に利用される恐れのある製品、資材の輸出を行う中国の企業、団体、個人に対して、制裁を行ってきました。ロシアに関する取引でも、同種の制裁を行う可能性は考えられます。

(FINTOS!編集部)

要約編集元アナリストレポート「政治レポート – ウクライナ紛争:2年目に突入、長期化の見込み(2月21日配信)」(プレミアム会員限定配信)

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