日経平均株価は横ばい圏の推移が続いています。しかし、意外と強いということがわかります。図1は、上の折れ線グラフが日経平均株価です。下の折れ線グラフは、リビジョン・インデックスと言います。リビジョン・インデックスとは、アナリストの業績修正の趨勢をみるもので、こちらのリビジョン・インデックスは、業績修正を行った件数を分母にし、分子は上方修正の件数から下方修正の件数を引いたもので計算します。

例えば、修正件数が10件、そのうち上方修正が4件、下方修正が6件とすると、分子は上方修正の4引く下方修正の6でマイナス2となり、それを全体の修正があった数の10で割りますから、答えはマイナス2割る10でマイナス20%となります。

つまり、最大100から最小マイナス100%のまでの値を取り、プラスであれば業績の上方修正が優位、マイナスであれば下方修正が優位となります。

2022年10-12月期決算発表が山場を迎えた2023年2月以降に、製造業を中心に業績下方修正が優位になりました。
その背景には、昨年、為替で1ドル=150円台まで進んだ円安が修正されたことや、中国のゼロコロナ政策解除直後に、サプライチェーンの混乱や景気悪化懸念があったためとみられます。

一方、業績下方修正が優勢な中でも、日経平均株価はさほど下落していません。むしろ、水準を維持した推移となっています。

図2は、2023年1月までの鉱工業生産の実績と2月、3月の生産予測です。製造業の生産活動を示すこの統計は、2023年1月に中国経済のゼロコロナ解除直後の混乱や、自動車を中心とする半導体不足による供給制約などから生産の減少に見舞われました。

しかし、2月、3月と生産は復調に転じるようです。日本の主力産業である自動車を含む輸送機械は、半導体不足が解消することによる増産に目途が付きそうです。また、半導体製造装置なども含まれる設備投資関連の生産用機械は、手控えられていた設備投資の積極化が予想され、生産の増加が見込まれています。製造業の活動の復調は、企業業績や株式市場のサポート要因になるとみられます。

(野村證券投資情報部 小髙 貴久)

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