2023年2月(1月30日~2月24日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、海外投資家や事業法人などが買い越し、信託銀行や投資信託などが売り越した。

海外投資家は現物と先物の合計で1兆2,758億円を買い越した。先物の買い越し額が1兆893億円と大きかった。先物を売買する海外投資家は、グローバル製造業サイクルに影響が大きい中国の製造業景況感を重視していると見られる。ゼロコロナ政策の転換によって、中国製造業PMI(購買担当者景気指数)は23年2月に52.6まで上昇した。中国経済底打ちを材料に海外投資家は先物を買い越したと見られる。

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事業法人は3,281億円を買い越した。23年2月の自社株買い実施額(全上場企業、普通株ベース)は6,881億円と、2月としてはデータ取得可能な06年以降で最大であった。他方、現物のグロスの売り金額も7,624億円と大きかった。保有株売却を積極的に行った可能性がある。

信託銀行は7,427億円を売り越した。年初からの売り越し額は1兆5,108億円となった。1月までの株高を受けて、年金基金が引き続きリバランス(投資分配比率の調整)売りを行ったと見られる。

投資信託は4,500億円を売り越した。レバレッジ型(現指数の変動率に一定の倍率を乗じた運用成果を目指す)投資信託からの資金純流出およびインバース型投資信託(現指数の変動率に一定のマイナス倍率を乗じた運用成果を目指す)への資金純流入が背景にあったと見られる。

(市場戦略リサーチ部 藤 直也)

※野村週報 2023年3月13日号「株式需給」より

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