黒田総裁最後の決定会合、大規模緩和が維持される

日本銀行は3月9~10日に金融政策決定会合を開催し、大方の事前予想通り金融政策の据え置きを決定しました。今後の政策運営方針であるフォワードガイダンスや各種オペの運用についても修正はありませんでした。黒田東彦総裁にとっては任期中最後の定例会合となりました。3月10日には植田和男元審議委員を次期総裁に、内田真一理事と氷見野良三前金融庁長官を次期副総裁に充てる国会人事案が参院本会議で賛成多数で可決されました。植田総裁が率いる新体制は内閣の任命を経て4月9日に発足する予定です。例年通りであれば就任直後に就任会見が行われ、新総裁、副総裁の政策スタンスを確認することができます。

植田新体制、イールドカーブ・コントロールの修正は6月会合か

植田新体制で初めての決定会合は4月27~28日に開催の予定です。2月に行われた所信聴取を見る限り植田氏が金融政策の早期修正を意図している様子は見受けられないことから、臨時会合を開催して政策を修正する可能性はほとんどないと思われます。ブルームバーグがエコノミスト49人を対象に行った調査(2月24日~3月1日)では、年内中に緩和修正を予想するとの見方が8割以上あり、このうち4月会合での実施予想は20%にとどまり、6月会合が41%で最多でした。野村證券では4月会合でフォワードガイダンスを新型コロナウイルス感染症の影響から物価や経済動向へと紐づける形で修正した後、6月会合で政策対象とする長期金利を現行の10年から、2年あるいは5年に変更すると予想しています。

(野村證券投資情報部 尾畑秀一)

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