PBRは株価が1株当たり純資産の何倍になっているかを示す指標で、現在の株価が、企業の資産価値に対して割高か割安かを判断する指標の1つです。

上の図は、日本と欧米、世界全体の株式市場におけるPBR水準別の分布です。欧米および世界全体においてはPBR1倍割れの銘柄は3割にも満たないのに対し、日本は、TOPIX採用銘柄の半分以上がPBR1倍割れになっています。一般的に、日本では、経営者の資本効率や株価への意識が低いなどの理由から、極端に割安な水準となっていると考えられています。

上の図は、想定される、PBR1倍割れの理由と、改善へのトリガー、考えられる対応策の例です。PBRは経営の効率性(ROE)と企業の成長期待(PER)から構成され、PBR=ROE✕PERで表せます。PBRを上げるためには、短期的な収益性をあげるだけではなく、中長期的な価値創造に対する市場の期待を上げることが必要です。

資本効率の向上を目指す自発的な動きから、株主など外部圧力をトリガーにして、M&Aなどを通じた成長戦略を描くこともできれば、自社株買いなどの株主還元を強化することで、ROEを上げることができそうです。東証や政府が主導する資本効率改善の動きは、日本企業が企業価値向上を目指すきっかけとなり、株価上昇の追い風となると考えられます。

(野村證券投資情報部 東 英憲、竹綱 宏行)

筆者紹介:営業歴30年の投資情報部長、東英憲の「個人投資家」目線

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