自動車の完全自動運転に向けて、車両開発や実証実験が進められている。

現在、国内では自動運転レベル3のサービスが開始されている。2022年に改正道路交通法が成立し、23年4月からは自動運転レベル4の公道走行が可能となる。

自動運転のレベルは0~5の6段階に分けて定義されている。レベル0~2では運行主体が「人」であるのに対し、レベル3からは運行主体が「システム」となる。

レベル3は条件付自動運転、レベル4は特定条件下における完全自動運転、レベル5は完全自動運転と定義されている。レベル4では、システムが自動運転の主体として緊急時にも責任を有する。

自動運転レベル3では、20年11月にホンダが世界で初めて「レジェンド」で型式指定を取得した。また、福井県永平寺町では、21年3月からレベル3車両による移動サービスを開始している。

海外完成車メーカーでは、22年5月からMercedes-Benz Groupが、ドイツで「Sクラス」とEV(電気自動車)の「EQS」でレベル3対応車両の受注を開始、米国2州でも23年の販売を計画する。

自動運転レベル4については、自動車完成車メーカーに加え、ベンチャー企業なども参画して開発が進められている。国内ではレベル4について、特定ルートを走行するバスなど商用車での実用化が先行する見通しである。

政府は、エリア・車両を限定した移動サービスで、遠隔監視のみでの自動運転レベル4の早期実現を目指している。レベル4の無人移動サービスでは、25年度までに40カ所以上での実用化、25年度以降に高速道路でのレベル4自動運転トラックやトラック隊列走行の実現を目標とする。

永平寺町では、レベル3での運行実績を踏まえ、レベル4への移行を計画する。また、22年12月からレベル2での定常運行を開始した北海道上士幌町では、23年度中にレベル4の無人移動サービスへの移行を目指している。

完全自動運転に向けた課題は多いが、自動運転は交通事故削減や高齢者などの移動手段の確保、運転手不足の解消など社会課題の解決への寄与が期待される。国内自動車関連産業の国際競争力向上に向けても、重要分野の一つと見られる。

(フロンティア・リサーチ部 田崎 僚)

※野村週報 2023年4月3日号「新産業の潮流」より

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