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世界一となることが予想される中間所得層の消費額
インドの総人口は約14億人で、2023年前後に中国を抜き、世界1位になる見通しです。また、インドは、生産年齢人口(15～64歳)が、その他の世代の人口の2倍以上となる人口ボーナス期に入っているとみられ、人口構造も良好です。人口の増加とともに、購買力が高いとされる中間所得者層も増加しており、OECD(経済協力開発機構)は、インドの中間所得層の消費が2050年に世界の約3割を占めるまでに成長すると予想しています。今後も、消費財産業などの力強い伸びが期待できます。
(注)中間所得層の定義は1日当たりの所得が10～100米ドル。2005年購買力平価ベース。
(出所)OECD Development Centre Working Paper No.285「The Emerging Middle Class In Developing Countries」 より野村證券投資情報部作成
インド市場参入に欠かせない現地化
インドは日本の約9倍に及ぶ広大な国土面積を有しており、多様な人種、文化、宗教、気候が混在しています。そのため、海外企業がインドで事業を展開するためには、住環境や生活文化を考慮し、徹底して現地化した商品を投入する必要があります。家電製品では、消費者ニーズに沿った低価格製品を提供する海外企業がシェアを伸ばすケースもみられます。モディ首相は、「メーク・イン・インディア」を掲げ、インド国内に進出する外資企業を積極的に呼び込んでいます。生産拠点をインドに移転する海外企業の動きも活発化しています。
(注)全てを網羅しているわけではない。
(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成
日本企業によるインド進出
1980年代にスズキや関西ペイントなどが現地企業との合弁会社を設立し、当時自動車の市場規模が小さいインドで需要に合った製品を販売し、高いシェアを獲得することに成功しています。今後もインドに地盤を築き、成長が見込まれる消費を取り込むことで、企業価値を高めていく日本企業の増加が期待されます。
ご参考： インド関連銘柄の一例
インド進出日本企業
・関西ペイント(4613)
6割を超える海外売上高のうち、約3割がインド事業(2022.3期)。インドの自動車用塗料ではシェアトップとなっている。
・ブリヂストン(5108)
インドで合弁会社を設立し、1998年に量産を開始した。その後、モデルショップ「タイヤプラザ」を開設し、有力商品を投入するなどしてインドでの販売を伸長させてきた。
・ダイキン工業(6367)
2000年にインドでエアコンの販売をはじめ、2009年にニムラナ工場を設立した。インド南部での新工場設立など今後3年間で約350億円投資し、2025年度のインド事業の売上高を2021年度比2倍に拡大することを計画している。
・スズキ(7269)
2021年度のインド四輪車販売台数のうち、43.4％を占め、シェアトップとなっている。
・ユニ・チャーム(8113)
インドでの普及率が低い、ベビーケア用品や生理用品の販売促進に取り組んでいる。
インド進出海外企業
・ボーダフォン・グループ(A2812/VOD US)
英国の通信キャリア大手。モバイル通信の比重が高く、ドイツ、イタリア、インドなどが主要市場である。インドの携帯市場ではトップクラスのシェアとなっている。
・ユニリーバ(A0855/UL US)
世界有数の日用品・食品メーカー。インド子会社ヒンドゥスタン・ユニリーバは、美容や洗剤など多様な事業を展開している。高成長が続くインドで高いシェアを有している。
インド国内企業
・インフォシス ADR(A3800/INFY US)
インドのバンガロールに拠点を置く世界有数のITコンサルティング企業で、顧客は金融や製造業、小売、エネルギーなどほぼ全業種にわたる。
・ICICI バンク ADR(A4676/IBN US)
世界銀行とインド政府の主導で1955年に設立された「開発金融機関」を母体とする銀行。個人や企業向けの銀行業務、為替、デリバティブなどのサービスを手掛けている。
・ドクター・レディーズ・ラボラトリーズ ADR(A4697/RDY US)
ジェネリック医薬品を手掛けるインド主要医薬品メーカーである。ジェネリック医薬品だけではなく新薬開発の臨床試験なども実施されている。
・HDFCバンク ADR(A4961/HDB US)
インドの商業銀行で中・高所得層の個人と企業を対象に幅広い銀行業務と金融サービスを提供している。
(注1)全てを網羅しているわけではない。
(注2)外国株式のコードは、野村コード/ブルームバーグコード。
(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成
（野村證券投資情報部 澤田 麻希）
