東証による要請を契機に「経営の変化」が重要テーマに

3月31日に東京証券取引所(東証)は上場企業に対して、資本コストや市場の評価を意識するよう要請する案を示しました。日本企業の経営の変化を促そうとする東証の取り組みに対する投資家の関心は高く、特にPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業への影響が注目されています。2015年のコーポレートガバナンス改革以来、再び「経営の変化」が重要テーマに浮上しています。

同テーマを前向きに見る理由の一つに、企業の自社株買いへの積極姿勢があります。2022年度の全上場企業の自社株買いの実施額は9.7兆円と、2019年度の7.3兆円を上回り過去最高を更新しました。自社株買いの増加は、株主還元への積極姿勢だけでなく、株価を意識した経営への変化も示唆しています。

次の注目点は通期決算発表シーズンに更新が相次ぐと見られる中期経営計画(中計)の内容です。2023年に入ってから発表された中計では、経営の変化を象徴する事例も見られます。ROE(自己資本利益率)10%を目標に掲げて、PBR1倍超の早期実現を目指すとした大日本印刷(7912)などが代表例です。中計では、特にPBR1倍割れの企業が東証の要請を受けてどういった策を打ち出すかに注目が集まりそうです。

各社が投資家の期待に応える中計を打ち出せるかどうかも重要となります。過去3年間に自己株式取得枠を設定した企業は、新計画の発表後にTOPIXをアウトパフォームする傾向がありました。この観点では、過去に自社株買いの実施履歴がある銘柄が参考になるでしょう。

2022年度通期決算発表シーズンに中期経営計画を発表すると見られる銘柄

要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – “中計”に注目、経営の変化が重要テーマに(4月7日配信)」では、2022年度通期決算発表シーズンに中期経営計画を発表すると見られる銘柄を紹介しています。リストでは、「PBR1倍割れ」、「2020年以降に自己株式取得枠を設定」の2条件に関しても明示しています。「PBR1倍割れ」銘柄を中心に経営の変化を印象付ける経営計画が発表されるか注目です。

(FINTOS!編集部)

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