2023年3月(2月27日~3月31日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、証券自己や信託銀行などが買い越した。売り越した投資部門は海外投資家などであった。

海外投資家は現物と先物の合計で2兆4,005億円を売り越した。うち、現物の売り越し額は2兆2,503億円であった。海外投資家の現物株売買動向は日本企業業績と連動しやすい傾向がある。米金融不安をきっかけに景気が悪化し、業績に影響することを懸念した可能性がある。3月最終週に向けて海外投資家が現物株を売り越しやすいという季節性も影響したと見られる。

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信託銀行は7,160億円を買い越した。第5週の買い越し額が9,537億円と大きかった。同週には3月期決算銘柄の配当権利落ち日が属しており、権利落ちにかかるパッシブファンドによる先物買いが背景と見られる。

事業法人は3,030億円を買い越した。自社株買いが積極的に行われた。なお、第5週に現物市場で売り越しに転じたが、同週は日本取引所自主規制法人が自己株式の買付けにおける相場操縦行為の有無について注視する期間にあたる。企業が自社株買いを控えるという季節要因が影響したと見られ、自社株買いに対する積極姿勢の後退を示すものではない。

証券自己は9,128億円を買い越した。現物の買い越しが2兆346億円と大規模だった。海外投資家による現物売り越しに相対した結果と見られる。また、日本銀行は3月13日と14日にETF(上場投資信託)を701億円ずつ買い入れた。

(野村證券市場戦略リサーチ部 藤 直也)

※野村週報 2023年4月17日号「株式需給」より

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