いよいよ今週、5月FOMCの結果が発表されます。金融政策の方向性が株価を左右しうるため、市場の注目が集まっています。

野村では、5月FOMCを0.25%ポイント利上げと予想

足元の経済指標や金融政策当局者からの最近のコメントを受けて、次回5月2日(火)~3日(水)のFOMC(連邦公開市場委員会)において、政策金利が0.25%ポイント引き上げられる可能性が高まったと野村では判断しています。

銀行預金の流出は落ち着きを取り戻している

天候に起因する攪乱もあって経済指標はまちまちですが、米国経済は底堅さを保っています。FRB(連邦準備理事会)が週次で公表する商業銀行およびFRBのバランスシートに関する統計によると、銀行預金の流出は落ち着きを取り戻し、銀行の資金調達を巡るひっ迫はある程度緩和されています。

FOMC参加者は「実績のインフレ率」を重視か

FRBの政策反応関数(経済・金融データに対してどのように金融政策を運営するか)という点では、ほとんどのFOMC参加者はシリコンバレー銀行(SVB)破綻前と同じ反応関数を支持しており、金融政策を実績のインフレ率に関連づけています。つまり、米国の銀行部門の金融不安を受けた信用環境ひっ迫の影響を巡る不確実性が高まっているにも関わらず、インフレや成長の鈍化見通しよりも、実績のインフレ率が重視されているということです。

FOMCは景気後退でも高い政策金利を維持

さらに、3月FOMCの議事録や(3月FOMCで更新された)FOMC参加者の経済見通しによると、大半のFOMC参加者が政策金利の到達点が5%を上回るとの予想を維持しているにも関わらず、FRBは既に2023年後半に緩やかな景気後退に陥ると予想している可能性があります。

5月利上げ&6月利上げ停止が基本シナリオ

全体として野村では、5月のFOMCで0.25%ポイントの追加利上げを予想しています。6月以降については、FRBは家賃を除くコアサービス・インフレに注目しており、同指標は賃金の伸びと密接に関連していることから、賃金インフレが加速するか堅調に推移すれば、6月FOMCでの追加利上げの可能性は高まると考えます。しかし、これは現在のところ野村の基本シナリオではありません。

追加利上げは過度な引き締めのリスクに

中期的には、銀行の信用供給の制限や緩やかな信用収縮による信用環境の引き締まりが経済活動を圧迫し、ディスインフレ(インフレ減速)圧力を生じる可能性が高いとみられ、5月の利上げは過度な引き締めのリスクを高めかねないと考えています。また、利下げ開始は2024年3月からと予想しています。

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