低PBR天国・日本

米国では5%程度、欧州でも2割強程度に留まるPBR1倍割れ銘柄の構成比率は、我が国においては50%前後にも達しています。東証プライム市場がスタートして1年が経過したことを契機に、東京証券取引所では資本コストおよび資本収益性を十分意識した経営への意識改革を促そうとしています。具体的には、資本コスト・資本収益性を重視した投資の実行、事業ポートフォリオの見直し、資本構成の見直し、などを求めるとしています。

JPXプライム150、2023年7月スタート

さらに2023年3月30日、JPXは推定エクイティスプレッドとPBR(株価純資産倍率)を選定基準とした『JPXプライム150指数』の算出・提供を2023年7月3日から開始する、と発表しました。エクイティスプレッドとは、ROE(株主資本利益率)と、株主資本コストの差分として定義されます。投資者(株主)の期待リターンである株主資本コストに対して、事業活動の結果得られたリターンであるROEが顕著に上回れば高い評価(高PBR)を市場から得ることが可能になります。単に低PBR企業の底上げにとどまらず、高ROE/PBR1倍超企業でもより大きいエクイティスプレッドを目指した動きが期待されます。

(野村證券投資情報部 伊藤 高志)

ご投資にあたっての注意点