新着
457件
-
05/24 12:00
【注目トピック】トランプ関税は2025年度業績に織り込まれたのか?
※画像はイメージです。 日本:2025年1-3月期決算レビュー 2025年度期初会社側見通しまとまる 2024年度の決算実績がほぼ出揃いました。2024年度はほぼ事前予想通りの着地となりましたが、市場の関心はトランプ政権の関税政策の影響が年度を通して表れる可能性が高い2025年度見通しに向けられていたと思われます。 また、不透明な先行きを理由に期初会社側見通しを非開示とする企業が多数にのぼることも危惧されていました。実際、東日本大震災の際には25%、コロナ禍の際には実に64%の会社が期初の見通しを非開示としたため、株式市場ではボラティリティーが顕著に上昇しました。今回は、結果的に非開示とした企業は、歴史的な平均よりもむしろ低い4%にとどまり、株式市場に安心感をもたらしたと見られます。 さて、2025年度の現時点での会社側見通しは前年度比-8.5%の経常減益となっています。トランプ政権の関税政策の影響がどの程度織り込まれているのか気になるところです。過去においては、リーマンショック、コロナ禍など期初時点では想定外の事象が起きた場合には実績値が期初見通しを下回っていますが、逆に期初時点で想定されていた事象についてはある程度織り込まれている、と考えてよいでしょう。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)赤線は、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の期初時点(各年5月末)での会社側経常増減益率見通し。会社側見通しが未発表/非公表の企業は、野村予想、あるいは東洋経済予想で補完している。直近値は2025年度で2025年5月19日時点。(注2)灰色線は各年度の実績経常増益率。2024年度以降の数値は2025年5月19日時点での野村證券市場戦略リサーチ部による推定・予想値。(出所)野村證券投資情報部作成 アナリスト予想は大幅下方修正 期初会社側見通しが減益予想だったこともあり、アナリストによる予想利益の下方修正が本格化しました。 下方修正の主な要因は、業績予想に際しての為替前提の変更(従来150円/米ドル⇒現在140円/米ドル)、および一部業種でのトランプ政権による関税政策の影響の織り込み、などが挙げられます。その結果、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の2025~2026年度予想経常利益は2025年3月時点の予想に比べて5兆円前後のかなり大きな下方修正となっています。 (注)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の予想経常利益額の推移。直近は2025年5月19日。(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成 一部でトランプ関税の織り込み始まる 2025年3月以降、アナリストによる2025年度予想経常利益は大きく下方修正されています。このうち、際立って下方修正額が大きい業種が、自動車、電機・精密です。いずれもトランプ政権による関税政策の影響を主に織り込んだ結果です。 一方、そのほかの業種の修正額は僅少です。トランプ政権の関税政策の直接的な影響は主に自動車、電機・精密など限定的な業種・企業にまず及びますが、その他の業種・企業への間接的な影響については現時点で業績予想に織り込む難易度が極めて高いため、修正額がわずかとなった、と考えられます。 仮に、今後、トランプ政権の関税政策が、(高い関税率の状態で)長期間に及んだ場合、影響は自動車、電機・精密に留まらず、鉄鋼や化学、海運などに間接的な影響となって顕在化する可能性があります。さらに、直接・間接的な影響が積み重なって、実体経済の減速にまでつながると現在は無関係と思われている、内需・非製造業の業種に影響が及ぶ可能性もないとはいえません。今後も、自動車、電機・精密以外の業種に影響が拡がることがないか、注視する必要があるでしょう。 (注)ラッセル野村Large Capを構成する19業種の、2025年3月3日~2025年5月19日の間の、2025年度予想経常利益修正額。(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成 RIが加速度的に悪化する可能性は低い 2025年3月以降、トランプ政権の関税政策の業績予想への織り込みが始まった結果、リビジョン・インデックス(RI)も急激に悪化しています。2025年5月19日の段階で、ラッセル野村Large Cap(除く金融)のRIは-44%と極めて大きなマイナスとなっています。2025年3月時点の+3.2%から劇的と言ってもよい悪化です。 少なくとも2012年度以降、RIがプラス圏から、いきなり-30%以下となったことはありません。なお、一旦、RIが-30%を下回ると、それ以上マイナス幅が拡がることはありませんでした。RIがプラスに復帰するには時間がかかる可能性がありますが、経験則上は更なる悪化の可能性は低いでしょう。 (注)赤線はラッセル野村Large Cap(除く金融)のリビジョン・インデックス(四半期)。灰色線は、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の予想経常増益率(前年度比)。2024年度および2025年度は2025年5月19日時点の集計値。(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ご投資にあたっての注意点
-
05/24 09:00
【オピニオン】トランプ2.0でドルの信認は揺らぐか?
※画像はイメージです。 トランプ大統領は就任以来、貿易赤字の削減や製造業の国内回帰を掲げ、大型関税を相次いで導入してきました。為替についても、強すぎるドルを問題視する発言を繰り返しています。このため、市場の一部では「ドルに対する人々の信認が大幅に悪化するのではないか」といった声が聞かれます。 5月16日には米格付け会社大手のムーディーズ・レーティングスが米国債の長期信用格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」へ1段階引き下げたことを受けて、市場の「ドル離れ」懸念が高まっています。 ドルが基軸通貨の地位から転落するリスクが高まっているのでしょうか。基軸通貨を「貿易や資本取引など、国際的な経済取引における決済手段として最も選ばれる通貨である」と定義した場合、ドルが基軸通貨から転落する可能性は、現時点では非常に低いといえます。 IMFの調査によれば世界の輸出に占めるドル建ての割合は54%(1999~2009年平均)であり、同じくBIS(国際決済銀行)の調査では世界の為替取引におけるドルのシェアは44%(22年4月の1日当たりの平均)と、いずれも半分程度はドルを経由して行われています。 下記の図表は、主要国・地域の経常収支を見たものです。世界の経常赤字の過半は、米国の赤字であることがわかります。このことは、貿易や配当、利払いなどを通じて世界中にドルが供給され、世界中で流通していること、また米国にこれだけの赤字を計上できるだけの資金が還流していることを意味しています。この点から、基軸通貨としてのドルの地位を脅かす通貨が直ちに誕生する可能性は低いと言えます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)データは年次で、直近値は2023年。台湾は1984年以降、中国は1997年以降。(出所)IMF『World Economic Outlook April 2025』より野村證券投資情報部作成 一方で、米国では経常赤字に概ね匹敵するペースで対外純債務が積み上がっているという見方もできます。このため、米国政府は経常赤字の削減や、米国が海外に所有している資産の価値を上げる目的で、ドルを切り下げるのではないか、との市場の懸念につながりやすい面があります。 実際、ドルに関しては、ニクソンショックやプラザ合意として知られるように、戦後だけでも2回の通貨切り下げが行われました。トランプ大統領の掲げる政策が、市場のドル切り下げ懸念を高めているようです。 ただし、ドルの切り下げは副作用も大きく、それだけでは経常赤字問題を解決できないことは歴史の教える通りです。現時点では、起こると影響が大きいけれどめったに起きない「テールリスク」であると言えます。 ご投資にあたっての注意点
-
05/24 07:00
【来週の予定】米議会では予算審議が活発化
来週の注目点:米国の予算審議、通商協議、日米の物価動向 トランプ政権の政策や、景気動向、インフレを巡る不透明感が再び強まっています。世界的な株価の大幅反発をもたらした米中の関税率引き下げは、90日間の暫定措置です。第1次トランプ政権時には米中協議が合意に達するまでに1年半を要しており、今政権下でも交渉が長期化する可能性があります。中国以外の主要国と米国との通商協議も相次いで行われており、目が離せない状況が続きそうです。 また、米議会では予算審議が活発化しつつあります。今後は、法人税減税や、個人所得税減税の延長、連邦法定債務上限引き上げなど、政策の重心が財政政策へとシフトすると予想されます。いずれも議会での可決が必要ですが、共和党内でも意見が対立するなど、政策の実現は容易ではないと見られています。仮に実現した場合には景気を下支えする効果が期待される一方、財政赤字の増加懸念が米長期金利を押し上げ、株式市場の上値を抑える可能性があります。 米国の経済指標では、5月27日(火)に4月耐久財受注、5月消費者信頼感指数(コンファレンスボード)、28日(水)に5月FOMC議事要旨、30日(金)に4月個人消費支出・所得統計、5月シカゴ購買部協会PMIの発表が予定されています。中でも注目は、FRBが物価動向の指標として重視する個人消費支出・所得統計のPCE(個人消費支出)コア価格指数です。4月CPIでは明確な証左はなかったものの、関税引き上げの影響が注目されます。 日本では、30日(金)に5月東京都区部消費者物価指数が発表されます。コアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)は、春の引っ越しシーズンにおける家賃の引き上げなどを受けて加速したと野村では予想します。また、同日に発表される4月鉱工業生産では、トランプ関税への懸念が生産を下押し、前月比でマイナスに転じると見ています。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年5月23日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
05/23 16:45
【野村の夕解説】日経平均株価は反発し174円高(5/23)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 寄り付き前に日本の4月CPI(消費者物価指数)が発表され、生鮮食品を除くコアCPIは前年同月比+3.5%と市場予想を上回りました。CPIの結果は日本の長期金利上昇を押し上げるものでしたが、22日の米国長期金利の低下(価格は上昇)を受け、日本の10年国債利回りは1日を通しやや低下(価格は上昇)しました。 22日の米国ハイテク株高を受け、日経平均株価は前日比175円高の37,161円で寄り付き、その後は値がさの半導体株が上昇し相場をけん引しました。午後には石破首相がトランプ大統領と電話会談を行ったと報じられ、関税を巡る日米協議などについて幅広く意見交換を行ったとされましたが、市場の反応は限定的でした。その後は日本時間の24日に予定されている日米関税交渉を控え、リスク回避が優先される中徐々に上げ幅を縮小させ、大引けは前日比174円高の37,160円と小幅反発となりました。個別株では、利益成長の期待からゲーム関連の株が上昇し、任天堂の終値は前日比+5.35%、コナミグループは同+2.78%、バンダイナムコは同+2.59%となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 日本時間24日に、日米関税交渉の3回目の協議が予定されています。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
-
05/23 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価、短期的過熱感から押し、22日に37,000円を割り込む
※画像はイメージです。 ※2025年5月22日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日経平均株価、25日平均線が下支えとなるか注目 今週の日経平均株価は、金利上昇に加え、それに伴う円高進行を嫌気して軟調でした。22日は、約2週間ぶりに3万7,000円台を割り込みました。 これまでの動きをチャートから振り返ってみましょう。日経平均株価は、米国と英国及び中国との関税交渉進展を受けて上昇し、5月13日に一時38,494円をつけました(図1)。 しかし、昨年10月から今年2月にかけて長期間保ち合ったレンジ(37,700~40,300円)に入り、戻り待ちの売り圧力が強まりやすい状況となったことや、各種テクニカル指標が短期的な過熱感を示唆したことから、5月13日の高値(38,494円)形成後に押しを入れています。 22日には75日線(5月22日:36,893円)まで下落しており、この先、上向きの25日線(同:36,262円)が下支えとなるか注目されます。仮に同線を割り込んだ場合、今年4月安値に対する二番底形成へ向けた動きとなるとみられます。その場合、まず4月以降の上昇幅に対する38.2%押し(35,551円)や、半値押し(34,643円)の水準が下値メドとして挙げられます。 一方で、調整一巡後に上昇に転じる場合、再び200日移動平均線(5月22日:37,810円)を超えて、5月13日高値(38,494円)を突破することができるかが注目点です。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2025年5月22日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 為替の歴史から学ぶ ニクソンショック、その時相場は? トランプ政権は具体的な通貨政策を示していないものの、市場では第二のプラザ合意の可能性が懸念されています。米ドルは戦後、1971年のニクソンショックと1985年のプラザ合意で二度の大幅な通貨切り下げを経験しました。本稿ではニクソンショックの相場動向を振り返ります(図2)。 1971年8月15日、ニクソン大統領が米ドルと金の交換停止を発表し、金と各国通貨の固定レートを維持する「ブレトンウッズ体制」が崩壊しました。これにより為替市場は変動相場制へ進む流れとなり、円も1ドル=360円の固定レートを離れ、大幅な円高・ドル安に移行しました。同年12月にはスミソニアン協定で1ドル=308円が設定されましたが、この水準は長続きせず、1973年2月には再び変動相場制に移行しました。 ニクソンショック直後、日経平均株価は直前の高値から20%以上の大幅下落を記録。円高ドル安による輸出企業への打撃を懸念した政府と日本銀行は、積極的な財政・金融政策を実施しました。その結果、株価は回復に転じるとともに、景気過熱とインフレの加速を招きます。さらに、1972年には田中角栄氏の「日本列島改造論」が発表され、全国的な土地投機ブームが発生。その影響で日経平均株価は1971年8月の安値から1973年1月の高値まで約2.5倍に急上昇しました。 なお、1971年と2025年では経済環境が大きく異なり、単純比較は困難です。ただ、過去の事例が現在を理解する一助になれば幸いです。 (注1)出来事はすべてを網羅している訳ではない。赤い点線丸印はニクソンショック時。下落率は直前の高値から計算。(出所)ブルームバーグ、各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
05/23 08:34
【野村の朝解説】米減税法案が下院を通過(5/23)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 5月22日の米国株式市場では、NYダウとS&P500は小幅安、ナスダック総合は小幅高となりました。トランプ政権の減税法案が下院を通過し、財政赤字の増加が懸念され10年国債利回りは一時4.62%台へ上昇したものの、その後4.53%程度に低下しました。米国株は金利上昇を受け下落し、その後金利低下を受け反発したものの上値の重い展開でした。法案に再生可能エネルギー控除の早期の縮小が盛り込まれたため関連株は軟調でした。野村では、法案は上院で州・地方税控除やメディケイド、再生可能エネルギーなどに関する修正を経た上で7月上旬までに成立する可能性が高まったとみています。 相場の注目点 来週26日月曜日は、米国市場はメモリアルデー、英国市場はスプリング・バンクホリデーで休場です。 28日に、AI用半導体大手のエヌビディアが決算発表を予定しています。トランプ政策の不透明性が企業のAI設備投資にに悪影響を与えると懸念されていましたが、顧客であるメタ・プラットフォームズが4月の決算発表時に25年の設備投資額見通しを引き上げ、アルファベットは従来の計画を維持しました。また、トランプ大統領の訪問に合わせて、サウジアラビアの政府AI企業と提携し、最大110億ドル相当の製品を納入すると発表していました。これらに加え、中国向けの販売の詳細などが、グローバルのAI業界の現状を知る上で注目されます。 本日のイベント 米国では、4月新築住宅販売件数が発表されます。予想は年率69.4万件と、3月の72.4万件から減少するとみられています。4月の株価の下落による資産効果の低下など、消費者の動向に変化があったかが注目されます。 (野村證券 投資情報部 竹綱 宏行) (注)データは日本時間2025年5月23日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
-
05/22 16:23
【野村の夕解説】日経平均は313円安 円高と弱い経済指標が重石(5/22)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 22日寄り前に、米財務省から、日米財務相会合では為替に関する議論は行われなかったと発表されました。これを受けて、米ドル円は143円50銭台から一時144円30銭台へと円安方向に進みました。しかし、市場ではあらかじめ想定されていた内容だったことから、その後は急速に円高方向に回帰しました。寄り前に発表された2025年4-6月期機械受注見通しにおいては前期比-2.1%と3四半期ぶりの減少見通しとなりました。また、5月のPMI速報値は製造業・サービス業ともに前月から悪化しました。21日の米国株安に加え、円高と弱い経済指標を受けて、22日の日経平均株価は前日比367円安の36,931円で寄り付きました。10:00頃、金融政策に対してハト派的とされる日銀の野口審議委員が講演で、米国の関税政策の影響に留意しつつも、利上げ継続の姿勢を示したことで、米ドル円は143円10銭台と更に円高方向に進み、日経平均株価の重石となりました。材料不足の中、37,000円付近で上値が重く、終値は前日比313円安の36,985円となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 22日、米国で5月S&PグローバルPMI速報値が発表されます。米中が相互に関税引き下げで合意したことで、企業の景況感に変化がみられるか、注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
-
05/22 08:16
【野村の朝解説】減税による財政悪化懸念で米株は大幅安(5/22)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 5月21日の米国株式市場では、主要3指数が大幅に下落しました。トランプ政権の減税案が通過した場合の財政赤字の増加が懸念され、米国債が売られて長期金利が4.6%台へ急上昇したことが株式市場の重石となりました。また、朝方発表された小売りのターゲットの25年2-4月期決算では、売上高や収益見通しが市場予想を下回りました。関税引き上げや金利の上昇が消費を下押しするとの懸念が広がりました。外国為替市場では、米長期金利の急上昇を受けたリスク回避的な動きや、現在開催中のG7財務相・中央銀行総裁会議に合わせて行われる日米の財務相会談でドル高の是正が求められるのではとの思惑から、一時1ドル=143円台前半まで円高ドル安が進みました。 相場の注目点 トランプ政権の政策や、景気動向、インフレを巡る不透明感が再び強まっています。世界的な株価の大幅反発をもたらした米中の相互関税率引き下げは、90日間の暫定措置です。第1次トランプ政権時には米中協議が合意に達するまでに1年半を要しました。中国を含む主要国と米国との通商協議には目が離せない状況が続きそうです。また、米議会で予算審議が活発化する中、法人税減税や、個人所得税減税の延長、連邦法定債務上限の成立など、政策の重心が財政政策へと次第にシフトすると予想されます。いずれも議会での可決が必要なことから、政策の実現は容易ではないと見られています。 本日のイベント 主要国で5月PMI速報値が発表され、米関税政策による景況感の変化を確認できます。ハト派(金融緩和重視)と目される野口日銀審議委員の講演では、景気や物価、最近の長期金利の上昇に対する見解が注目されます。 (野村證券 投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2025年5月22日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
-
05/21 16:36
【野村の夕解説】地政学リスクが高まり円高進行 日経平均は安値引け(5/21)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 21日寄り付き前に一部報道機関が、イスラエルがイランの核施設への攻撃を準備していると報じました。地政学リスクの高まりにより、リスク回避の動きがみられ、外国為替市場では21日朝9時台に1米ドル=144.25円台だった水準が、15:30頃には一時143.53円台と円高米ドル安へ進行しました。朝に江藤農水相が辞表提出との報道があったものの、日経平均株価は前日比66円高37,590円で始まりましたが、その後は下げに転じ、円高進行と足並みを揃え下げ幅を拡大させました。また、20日の日本の20年国債の入札が記録的な低調に終わったことや、20日の米長期金利上昇などの流れが続き、日本の10年債利回りは一時1.530%と、20日の15:30から0.015%ポイント上昇(価格は下落)し、特に超長期の年限の国債利回りの上昇が目立ちました。業種では、イスラエルの攻撃準備報道を受け、資源関連や防衛関連株が上昇したほか、金利高を背景に銀行株も上昇しました。午後には日本時間の24日に予定されている日米財務相会談を控え、リスク回避が優先される中で、大引けは前日比230円安の37,298円と安値引けとなりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 22日に野口日銀審議委員の講演が予定されています。野口委員は日銀内ではややハト派(金融緩和重視)と位置付けられることから、利上げに前向きな内容であった場合は、市場にとってはサプライズとなりそうです。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点