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05/20 08:42
【野村の朝解説】NYダウは3日続伸、ドル離れの動きは継続(5/20)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 19日の米国株式市場で主要3指数はそろって上昇しました。先週末の引け後に米大手格付け会社が米国の信用格付け(無登録格付け)を引き下げたことで財政悪化への不安が広がり、米国10年国債利回りは一時4.56%台と、約1ヶ月ぶりの水準へと上昇しました。NYダウは序盤は売りが優勢となり、下げ幅は一時310ドルを超える場面もみられました。しかし、その後は金利上昇の動きが一服したことに伴い、午後にかけて持ち直し、3営業日続伸して取引を終了しています。一方、米ドル離れへの警戒感は根強く、為替市場では米ドルが主要通貨に対して下落し、ドル円は1米ドル=145円を割り込んでいます。 相場の注目点 米中の関税引き下げを受けてトランプ関税に対する警戒感がやや後退し、NYダウは2024年12月4日につけた史上最高値まであと5%と、持ち直しの動きが続いています。一方、先日の米国格下げなどから、市場の関心は通商政策に加えて米国の財政政策へと広がっており、トランプ大統領が掲げる減税策の行方が注目されています。 米下院指導部は5月12日に、減税策を盛り込んだ法案の概要を公表し、18日の採決で同案を可決しました。今後は本会議での採決に進むことになりますが、下院議長は翌週26日のメモリアルデー前後での可決を目標とする考えを示しています。法案には所得減税の恒久化や国防支出の拡大、国境・移民取り締まりのための予算増額などが盛り込まれており、責任ある連邦予算委員会(CRFB)は同案が2025~2034年度の10年間で政府債務を3.3兆~5.2兆ドル(約480兆~750兆円)悪化させるとの試算を公表しています。足元で米長期金利の上昇は一服し、市場は米国の格下げを冷静に消化したように見受けられます。しかし、減税法案の審議が本格化するなか、財政悪化懸念が金利上昇圧力に拍車をかける可能性には引き続き注意が必要です。 (野村證券 投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2025年5月20日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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05/19 16:00
【野村の夕解説】日経平均は続落 米国債の格下げが投資家心理に重石(5/19)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は、大手格付け会社による米国債の格下げが金融市場に影響を与えるとの懸念から、前営業日比181円安の37,572円で寄り付き、その後も終日軟調な値動きが続きました。午前中に中国が発表した4月小売売上高など一部の経済指標が市場予想を下回り、中国国内景気減速への懸念からアジア株が軟調に推移したことも相場全体の重石となりました。業種別では、海運業や石油石炭製品が下落する一方、医薬品や空運業が上昇し、相場を一定程度下支えしました。午後には一時前営業日比307円安となったものの、引けにかけては下げ渋り、終値は前営業日比255円安の37,498円と4営業日続落となりました。 個別企業では、第一三共が抗がん剤治療薬の改良に関する材料を手掛かりに前営業日比+7.06%となり、1銘柄で日経平均株価を24円押し上げました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日米国では米ジェファーソンFRB副議長が講演を行います。今週は複数のFRB高官による講演が予定されていますが、米国の経済指標(ハードデータ)を見る限り、FRB高官の政策スタンスが大きく転換する可能性は低いと考えられます。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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05/19 08:12
【野村の朝解説】S&P500は5営業日連続の上昇(5/19)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 16日の米国市場では5月ミシガン大消費者信頼感が市場予想に反して低下、期待インフレ率が上昇するなどスタグフレーション(景気減速下でのインフレ高進)リスクが依然として高いことを示唆しました。ただし、市場ではトランプ関税への懸念が緩和する流れが継続し、S&P500は5営業日連続で続伸、米国債利回りは上昇しました。引けにかけてはムーディーズが米国の格付けを最上位のAaaから1段階引き下げ「Aa1※」とすることを発表しました。格付け見通しに関しては「ネガティブ※」から「ステーブル(安定的)※」へ変更しました(※は全て無登録格付け)。これにより米国は大手格付け会社3社全てで最上位から転落することになります。 相場の注目点 過去の2回の例(S&P(2011年8月)、フィッチ(2023年8月))では、米国の格下げが米国債への懸念を喚起して、相場のトレンド転換につながるようなことはありませんでした。ただし、米国株は下落し、いずれのケースでも底入れまでに60営業日程度を要しています。今回の格下げはトランプ政権の政策を巡る不透明感から「ドル離れ」が警戒されるタイミングであることから、ドル安圧力となる可能性には注意が必要です。 本日のイベント 今週は20日(火)から22日(木)の日程で、カナダでG7財務相・中央銀行総裁会議が開催されます。加藤財務相は、この場を活用し米国のベッセント財務長官と為替について協議する意向を示しています。具体的な論点は明らかにされていませんが、ベッセント財務長官は日米貿易協議において「為替レートの具体的な目標を追求するつもりはない」と言及していることから、ドル高是正といったサプライズが起こる可能性は低いと見受けられます。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2025年5月19日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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05/18 09:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅤ:第3回 実際に引いてみよう①「上昇トレンド」編
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 今回は、上昇トレンドの時のトレンドラインの基本的な引き方について、説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
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05/17 09:00
【オピニオン】トランプ「相互関税ショック」の正体
※画像はイメージです。 2025年4月2日にトランプ大統領が発表した、相互関税は、事前の観測を大きく上回る規模、税率水準であったことから、全世界の金融市場に大きな動揺をもたらしました。特に米国においては、通貨、債券、株価のトリプル安が進行しました。わが国もその例外ではなく、発表前の4月1日から4月7日まで(4営業日)のTOPIXの下落率は14%に達しました。その後、追加関税の執行猶予などが発表された結果、株価は底打ちし5月14日時点でTOPIXは、相互関税発表前の水準を上回っています。果たして、トランプ政権による関税政策は株価に織り込まれたのか、物色動向から探ってみることにしましょう。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 ※注記は③の表の下に集約 【リスク・ファクター】‥相互関税発表直後の下落過程で際立ってパフォーマンスが悪化したのが、高β(注2)株や、流動性の乏しい中小型株でした。価格変動や、流動性のリスクが大きい銘柄が敬遠されるのは、市場がパニック的な状況の際の典型的な現象です。 ※注記は③の表の下に集約 【バリュー・ファクター】‥リスク・ファクターに続き、低PER・PBR(注2)銘柄もパフォーマンスが悪化しました。今回のケースでは、相互関税の影響を推し量ることが困難だったこともあり予想EPSやBPSの変化は僅少でした。低バリュエーション銘柄は、割安と捉えられることが多い反面、リスクが高く割引率が大きいともいえ、今回はこの属性が問題視された可能性もあります。 (注1)TOPIXの推移と、主要ファクターの2025年3月31日以降の日次累積リターン。直近の値は2025年5月14日。いずれもファクタースコアの高い上位20%と下位20%の銘柄群のリターン・スプレッド。例えば予想ROEでは、ROEの高い20%と低い20%の銘柄群のリターン・スプレッドとなっている。分析の母集団はラッセル野村Large Cap。(注2)PERは株価収益率、PBRは株価純資産倍率、EPSは1株当たり利益、BPSは1株当たり純資産。βは過去60ヶ月間の株価で算出している。β値(ベータ値)とは、特定の資産やポートフォリオの価格変動が市場全体に対してどの程度連動するかを示す指標。(出所)JPX総研、野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成 【グロース・ファクター】‥今回の下落局面で最も相対的に優れた結果を残したのは、ROEやアナリストによる業績修正などのグロース・ファクターでした。 【その後】‥興味深いのは、今回指摘した初期の下落過程で生じたリスク/バリュー/グロース・ファクターの累積リターン・スプレッドは、(β値を除けば)足元でTOPIXが相互関税発表前の水準を回復したにもかかわらず、依然温存されたままです。 以上より、市場はトランプ政権の政策発動による警戒感を完全に解いたわけではないことがまず指摘できるでしょう。また、政権の今後の動き次第で再びリスク/バリュー性の高い銘柄を中心に変動率の高い展開になる可能性は念頭に置いておいた方が良いかもしれません。逆に、今回の調整局面では、ROEや業績モメンタムが良好な銘柄が物色される動きも顕著でした。ある程度の期間、ボラティリティーの大きさに耐える覚悟があれば、クォリティーの高い銘柄の物色の良い機会かもしれません。 ご投資にあたっての注意点
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05/17 07:00
【来週の予定】トランプ関税を巡る不透明感は一服も、依然予断を許さぬ状況
来週の注目点:FRB高官発言、5月PMI速報値、日米財務相会合 予想を上回る米中貿易協議の進展を受けて、市場のリスクセンチメントは大幅に改善、世界的に株価が反発しました。米中は相互の関税率を90日間引き下げることで合意しましたが、第1次トランプ政権当時は、米中協議が合意に達するまでに1年半もの時間を要しました。今後は、半導体や医薬品など品目別関税が導入される可能性もあります。トランプ関税を巡る不確実性は一息ついたとは言え、まだまだ安心できない状況が続きそうです。 米国では今週も多くのFRB高官の講演が予定されています。5月FOMC以降のFRB高官の発言を確認すると、トランプ政権の関税政策を巡る不確実性が高い中で、政策変更を急ぐ必要はないとの見方がコンセンサスのようです。現時点では駆け込み輸入を除き、実際の経済活動を補足したハードデータに関税の悪影響が確認できないことから、FRB高官の政策スタンスが大きく転換する可能性は低いと見受けられます。 経済指標では22日(木)の5月PMI速報値に加え、同日と23日(金)の4月の住宅販売関連統計が注目されそうです。 日本では22日(木)に野口日銀審議委員の講演が予定されています。野口委員は日銀内ではややハト派(金融緩和重視)と位置付けられることから、利上げに前向きな内容であった場合は、市場にとってはサプライズになりそうです。 経済指標では、22日(木)に5月PMI速報値、23日(金)に4月全国消費者物価指数が発表されます。前者では、トランプ関税に対する企業の不安心理の緩和が確認できれば、市場のリスクセンチメント改善に寄与することが期待されます。 20日(火)から22日(木)にかけて、G7財務相・中央銀行総裁会議が開催されます。加藤財務相は、この場を活用し、米国のベッセント財務長官と為替について協議する意向を示しています。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年5月16日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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05/16 16:39
【野村の夕解説】日経平均横ばい 日銀政策委員発言で長期金利低下(5/16)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 15日に米国で発表された4月小売売上高、4月生産者物価指数の結果を受けて、インフレ抑制への見方が強まり、米国長期金利が低下し、円高米ドル安が進みました。また、寄り前に発表された日本の2025年1-3月期実質GDP速報値は、民間最終消費支出が前期比横ばいとなったほか、財・サービスの輸入急増により、前期比年率-0.7%と4四半期ぶりのマイナス成長となりました。これらを受けて16日の日経平均株価は寄り付きから下落し、一時、前日終値比-276円まで下げました。しかし、10時過ぎに、加藤財務相がベッセント財務長官との日米貿易交渉を来週にも設け、為替についても協議する考えを示したことを背景に、円高進行が一服し、日経平均株価は下げ止まりました。また、日銀の中村審議委員が13時からの講演で、金融政策は当面現状維持が適当との考えを示しました。これにより、日銀の追加利上げ観測が後退したことから、日経平均株価は下げ幅を縮小し、終値は前日比1円安の37,753円となりました。ただし、金利上昇による業績拡大への期待が高まっていた銀行業は中村審議委員の発言をきっかけに下げ圧力が強まりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 16日に米国では5月ミシガン大学消費者信頼感指数および期待インフレ率が発表されます。米トランプ政権の政策により、景況感やインフレ見通しの悪化が進んでいるかどうか、注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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05/16 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価、一時200日移動平均線回復も、その後押しを入れる
※画像はイメージです。 ※2025年5月15日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 まずは75日線が下支えとなるか注目 今週(5月12日~)の日経平均株価は、米中関税交渉の進展を受けて約1ヶ月半ぶりに3万8,000円台を回復しましたが、その後は短期的な過熱感などが意識され、上値の重い展開となりました。 これまでの動きをチャートから振り返ってみましょう。日経平均株価は、4月7日に一時30,792円まで下落しましたが、その後、米国の関税政策の一部修正を受けて大幅に反発しました。5月13日には、200日移動平均線(5月15日:37,868円)を上回り、一時38,494円を回復しました(図1)。 しかし、昨年10月から今年2月にかけて長期間保ち合ったレンジ(37,700~40,300円)の中に戻ったため、戻り待ちの売り圧力が強まりやすい状況となりました。さらに、25日線からの乖離率やRSIが短期的な過熱感を示唆していることから、5月13日の高値(38,494円)形成後に押しを入れています。今後、まず75日線(5月15日:37,038円)が下支えとなるか注目されます。もしこの75日線を割り込むと、上向きに転じた25日線(同:35,456円)での反発が期待されるでしょう。 一方で、調整が一巡した後にさらなる上昇が見込まれた場合、心理的な節目である40,000円や、昨年12月27日の高値(40,398円)が次の上値メドとして挙げられます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2025年5月15日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 東証REIT指数、4年弱の下落トレンドからの脱却へ 5月12日に米中貿易協議で両国が大幅に関税を引き下げることで合意し、世界の株価は大幅上昇となりました。株価が大幅上昇する中で、やや上値が重い動きとなっているのが、東証REIT指数です。しかし、週足や月足チャートにおける大きな相場の流れに着目すれば、これまでの下落トレンドが変化してきたと考えられます。 東証REIT指数の昨年12月安値は、2021年7月高値から3年半となり、2003年以降の主な下落局面の中で過去最長となっており、同安値で大底を形成したと考えられます(図2) 。 (注1)直近値は2025年5月13日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 そして今春に、これまで概ね上値を抑えられてきた52週移動平均線(5月13日:1,701pt)を上抜けし、さらに2021年7月高値から続く下降トレンドライン(1,710pt前後)を上回りました。これまで4年近く続いてきた中長期下落相場が転換した可能性が考えられます(図3)。 この先、昨年8月高値(1,791pt)を超えて、大底形成のシグナルの一つである逆三尊が完成すれば、昨年12月安値をボトムとして、2~3年規模の中長期上昇トレンドに入っている可能性が高いとみられます。今春に見られた変化が、この先の大きな変化に繋がっていくか注目されます。 (注1)直近値は2025年5月13日。天底の数値は日次終値ベース。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。(出所)日本経済新聞社データ、各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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05/16 08:19
【野村の朝解説】高まる利下げ観測が米国株をサポート(5/16)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 15日の米国株式市場では、経済指標が景気減速リスクの高まりを示唆したことが嫌気された一方、利下げ観測が強まったことでサポートされる展開となりました。S&P500指数は4営業日連続で続伸する中、過去1ヶ月間にアンダーパフォームしてきた高配当のディフェンシブ銘柄が先行される展開となり、大型テクノロジー株の大半が下落しました。米国債利回りは大幅に低下、為替市場では米ドルがスイスフランや円などリスク回避先と目される通貨に対して下落、米ドル円相場は一時145円台前半を付けました。 相場の注目点 4月のPPI(生産者物価)は前月比-0.5%と約5年ぶり大幅な落ち込みとなりました。主因は航空機や宿泊料金の低下であり、トランプ政権による政策がサービス需要の低迷を引き起こしていることを示唆しました。4月の小売売上高は同+0.1%と3月の同+1.7%から失速し、関税引き上げ前の駆け込み需要が一巡し、消費者が財布の紐を引き締めている姿を示唆しています。今後、トランプ政権の関税政策は各国との個別交渉と、品目別関税へと重心が移行すると見込まれます。現時点でトランプ政権は、10%の一律関税と鉄鋼・アルミニウム製品など、品目別関税は維持する方針のようです。このことは、仮に各国との貿易交渉が進展した場合でも、米国の実効関税率が10%台で高止まりする可能性が高いことを意味しています。米国小売業にとって最も重要なクリスマス商戦に絡んだ輸入は、例年年前半から夏場までがピークとなります。株式市場では貿易交渉の進展を歓迎するムードが高まり、4月2日の相互関税発表後の下落分を概ね取り戻していますが、景気下振れリスクへの警戒が怠れない状況が続きそうです。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2025年5月16日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点