特集
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昨日 08:14
【野村の朝解説】トランプ関税に翻弄される展開継続(6/2)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 30日の米国株式市場はトランプ大統領の関税政策に翻弄される展開となりました。トランプ大統領が「中国は米国との合意に違反している」とSNSに投稿、鉄鋼・アルミニウム関税の50%への引き上げに言及したことが嫌気され、午前は総じて軟調に推移しました。午後に入りトランプ大統領が、中国の習近平国家主席と会談する見通しだと述べたことに反応し、主要3指数は本日の下落分をほぼ埋める形で引けました。米ドル円相場は1米ドル=144円を挟んでの推移となっています。 相場の注目点 6月17日(火)-18日(水)にFOMCを控えて、FRBは今週末に金融政策に関する公式発言を自粛するブラックアウト期間に入ります。これまでのFRB高官の発言を踏まえれば、トランプ政権の政策不確実性を背景に、当面は金融政策の据え置きがFRB内のコンセンサスとなっているようです。今週の米国では月初の重要統計の発表が多数予定されていることから、政策判断への影響が注目されます。景気に先行性のあるセンチメント指標としては、2日(月)の5月ISM製造業、4日(水)の同サービス業景気指数が注目されます。既報の5月のPMI(速報値)では、製造業、サービス業ともに改善しました。実際の経済活動を示したハードデータでは6日(金)の5月雇用統計が注目されます。労働需給緩和の動きがみられるようだと、市場の利下げ観測が前倒しされる可能性があります。 本日のイベント 本日(日本時間9:00)、ウォラーFRB理事が経済見通しについて講演する予定です。同氏はこれまでFRB内の議論に先行する傾向にあるうえ、足元で最もハト派(利下げに積極的)と見られるため、注目されます。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2025年6月2日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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06/01 12:00
【6月の投資戦略】テクノロジー分野を軸に、株価が過剰調整した企業の再評価に期待
(注)画像はイメージです。 関税政策の影響を受けにくいテクノロジー分野が引き続き注目 米国トランプ政権の厳しい関税政策は、一時的な猶予や一部撤回が行われ、各国・地域との交渉を中心とする期間に入りました。我々は、厳しい関税政策は持続可能性に乏しく、譲歩や着地点を探る動きが進むとみてきました。現在、各国との交渉の他にも、一部の主要製品に対する関税の検討が続いています。当面、株式市場に不透明さは残るものの、今後は、関税の影響を受けにくいテクノロジー分野を中心に、企業業績の拡大や株式市場の信頼感の回復が進むとみます。主要国・地域の景気後退の可能性は、大きく低下したとみられます。 中東歴訪でAI関連ビジネスに大きな機会 米国トランプ政権の関税政策は、各国・地域との交渉局面に入り、英国や中国との通商合意が成立しました。しかし、全てが合意に至ったわけではなく、事実上、全ての国・地域に対する協議は継続中です。第一次トランプ政権下の2019年の日本との貿易交渉を振り返っても、貿易赤字が十分削減可能な合意を様々な国・地域と90日間でまとめることは困難とみられます。1985年のプラザ合意のような、米ドル安を目指す国際協調の可能性も低いでしょう。他方、トランプ政権は中東歴訪で様々なディール(取り引き)を行いましたが、特にAI関連の大規模なテクノロジー投資は、関連企業に大きなビジネス機会をもたらすとみられます。 テクノロジー関連企業の業績は堅調 米国経済は底堅く、関税政策のインフレや景気への影響を見極めるための時間的な余裕があることから、FRBは当面、政策金利の据え置きを続けるとみられます。2025年1-3月期決算は、大手テクノロジー企業を中心に上振れて着地しています。先行きは、関税の影響やエネルギー価格下落の影響を受けやすいセクターは、厳しい見通しとなっています。関税の影響を受けにくいテクノロジーサービス関連企業の業績は、堅調に推移するとみられます。 中国からのデフレ輸出懸念 ユーロ圏経済は、ドイツで新政権の誕生による緊縮財政からの転換が図られつつありますが、米国の関税政策の影響は不確かです。ECBの利下げ局面は、しばらく続くとみます。中国は米国と通商合意に至りましたが、8月12日を期限とする24%の上乗せ関税回避に向けた交渉が続きます。中国の過剰生産能力は解消されておらず、デフレの海外輸出が続く懸念があります。 日本企業業績予想の減益への下方修正は保守的な予想 日本に対してもトランプ政権の関税政策の影響が懸念されますが、現時点で生産や在庫に変調はみられません。賃上げ率は高いものの、食料品を中心にインフレ率が加速しており、実質賃金は低迷しています。日本銀行は、実質金利が大幅なマイナス圏にあることから、利上げ姿勢を維持していますが、関税政策を見極めるまでは金融政策の現状維持が続くとみられます。米ドル円相場は、政策や米日の金利の方向性の差から、米ドル高・円安に向かいにくくなっています。6月の東京都議会議員選挙や7月とみられる参議院選挙に向け、米国との関税交渉は加速が見込まれます。主要企業の業績は、関税の影響や為替前提の変更により、2025年度は減益予想に下方修正されましたが、保守的な予想とみます。歴史的な自社株買いが株価を下支えするとみられ、野村證券は2025年末の日経平均株価を39,500円と予想します。 投資戦略については、トランプ政権の政策判断により、国内外の株式市場のボラティリティー(変動率)が高まる局面はまだあるとみます。しかし、関税の影響を受けにくいテクノロジーやサービスなどの業種を基軸とする見方は変えず、実力以上に株価の調整が進んだ企業は、株式市場の安定化と共に再評価の余地も大きいとみます。 ※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 6月号」(発行日:2025年5月26日)「投資戦略の概要」より 野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト 小髙 貴久 1999年野村総合研究所入社、2004年に野村證券転籍。日本の経済・財政・金融動向、内外資本フローなどの経済・為替に関する調査を経て、2009年より投資情報部で各国経済や為替、金利などをオール・ラウンドに調査。現在は日本株に軸足を置いた分析を行う。2013年よりNomura21Global編集長を務める。 Nomura21Global参考銘柄について ご投資にあたっての注意点
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06/01 09:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅤ:第5回 実際に引いてみよう③:「保ち合い相場」編
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 今回は、保ち合い相場の時のトレンドラインの基本的な引き方と活用法について、説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
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05/31 12:00
【注目トピック】米ドルの切り下げは実現するのか?プラザ合意の背景と教訓
※画像はイメージです。 根強い米ドル切り下げ観測 トランプ政権は発足直後から、貿易赤字削減と米国への製造業の回帰を目的に、全世界に対して相互関税を課すなど、様々な通商政策を打ち出しています。トランプ大統領は貿易赤字の削減手段として、米ドル高の調整にもたびたび言及しています。このため市場では、トランプ政権が1985年9月の「プラザ合意」時のように、米ドル安誘導のための国際協調(プラザ合意2.0、マールアラーゴ合意などと呼ばれる)を要求するのではないか、との憶測が高まっています。 プラザ合意とは、1985年9月に発表されたG5(日・米・英・独・仏の主要先進5ヶ国)の協調行動に関する合意です。会議の開催場所となったニューヨークのプラザホテルにちなんでプラザ合意と呼ばれています。具体的な合意内容として「基軸通貨である米ドルに対して、参加国の通貨を切り上げ、そのための方法として参加各国は外国為替市場で協調介入を行う」というものであり、各国が米ドル高是正に向けて為替政策で協調することで一致しました。調整幅として一律10~12%程度が想定されていたようです。 プラザ合意が成立した時代背景 1980年代前半の米国は、巨額の貿易赤字と財政赤字という双子の赤字を抱える状況にありました。1970年代の第二次オイルショックにおけるインフレに対応した強力な金融引き締め政策と、それに続く財政拡張策により高金利が維持されたため、海外資金の米国への流入を招き、米ドル高となりました。また、財政拡張策は財政赤字の拡大と、景気刺激効果を通じて経常収支赤字を拡大させました。米ドル高の進展により、米国工業製品の国際競争力が弱まり、1985年の米国は、名目GDP比で約3%に達する貿易赤字と経常収支赤字を計上しました。 米国の双子の赤字(経常収支・財政収支) 図表1 (注)データは四半期で、直近値は財政収支が2025年1-3月期、経常収支は2024年10-12月期。財政収支は原系列、経常収支は季節調整済み。見やすさを優先して縦軸を制限している。(出所)米商務省、米財務省資料より野村證券投資情報部作成 当時の米レーガン政権は、米国議会で高まる保護主義的な動きを抑制するために、日本に対して市場開放や内需拡大を迫るなど、政策対応に追われていました。プラザ合意の狙いは、過大評価されている米ドルのソフトランディング(軟着陸)、国際収支不均衡の是正、国内で高まる保護主義的圧力の回避、にありました。 プラザ合意の教訓 プラザ合意の教訓としては、1)為替のコントロールは容易ではない点、2)通貨安は国際収支不均衡の特効薬ではない点が挙げられます。米ドル安を誘導するため各国が協調介入を行った結果、為替市場では急激な米ドル安が進行しました。プラザ合意前に1米ドル=240円台だった米ドル円相場は、1986年には同150円台へ下落しました。G5会合の想定に比べ、過度に米ドル安が進行する一方で、米国の貿易赤字は減らず、問題の解決には至りませんでした。 そのため、G5にカナダとイタリアを加えたG7は、1987年2月にルーブル合意を成立させ、今度は過度な米ドル安の進行を抑止する介入を行いました。しかし、米ドル安は容易に歯止めが掛からず、主要国は1987年12月、米ドル安定のための緊急声明を発表しました(クリスマス合意)。その翌年の1988年11月に、米ドル円相場は、同121円台前半をつけ、ようやく、米ドル安の流れは一服しました。 国際的な通貨政策と米ドル円相場の推移 図表2 (注)データは月次。FF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標は上限金利で、1971年1月以降。ニクソンショックはニクソン大統領(当時)による米ドルの金兌換の停止の発表。クリスマス合意はG7による為替レート安定化に関する緊急声明。(出所)FRB、LSEGより野村證券投資情報部作成 注意すべきは米ドルに対する信認低下 米国と主要国間で、米ドル切り下げの協調合意が成立する可能性は非常に低いと見られます。1985年当時、米国の貿易赤字は過半を対日本及び(旧)西ドイツが占めており、G5の枠内での協調が可能でした。 主要国・地域の経常収支の推移 図表3 (注)データは年次で、1980~1995年。(出所)IMF『World Economic Outlook April 2025』より野村證券投資情報部作成 現在は中国やメキシコなど貿易赤字相手には先進国から新興国まで分散しており、協調合意の実現はかなり難しい状況です。 また、通貨安は「米ドル離れ」などの副作用のリスクも伴います。対GDP比で見た現在の米国の「双子の赤字」は、プラザ合意直前よりも拡大しており、状況は悪化しています(図表1)。一方で、これだけの経常収支赤字を許容できるだけ、米国が世界から資金を集めることができているとの見方も可能です。米国が通貨安政策を採用し、資金が米国から流出する事態が生じれば、米国経済は厳しい経済環境に陥ることが予想されます。このため、トランプ政権で為替問題を担当しているベッセント財務長官は、米ドル安政策に否定的です。 米国の経常収支と対外債務残高の変化 図表4 (注)データは四半期で、直近値は2024年10-12月期。(出所)米商務省、米財務省資料より野村證券投資情報部作成 リスクとしては米国政策当局の意思に反して、米ドル安が進行する事態が挙げられます。第1次トランプ政権下でも、大統領選直後に118円台まで上昇した米ドルは、米中貿易戦争が激化する中で104円台まで下落する局面もありました。トランプ大統領がFRBに利下げや議長の解任を迫るといった事態は、米ドルに対する信認を低下させかねないため、注意が必要です。 野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト尾畑 秀一 1997年に野村総合研究所入社後、一貫してエコノミストとして日本、米国、欧州のマクロ経済や国際資本フローの調査・分析に従事、6年間にわたり為替市場分析にも携わった。これらの経験を活用し、国内外の景気動向や政策分析、国際資本フローの動向を踏まえ、グローバルな投資戦略に関する情報を発信している。簡潔かつ平易な解説には定評がある。ストックボイス、ラジオNIKKEIに出演中 野村證券投資情報部 ストラテジスト澤田 麻希 記者向け場況レクチャーやマスメディアにおける市況解説などメディアを通じた情報発信を行っている。日経CNBC、ラジオNIKKEIに出演中 ご投資にあたっての注意点
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05/31 09:00
【オピニオン】東証REIT指数、「負けパターン」脱却へ
※画像はイメージです。 2025年5月12日に開催された米中貿易協議でのサプライズ合意によって、両国間の無益な関税引き上げ競争には一旦歯止めが掛かりました。世界の株式市場は大幅上昇となり、米国をはじめ多くの市場では、4月前半に急落した株価下落分を取り戻しています。こうした中で、米中合意以降、やや上値の重い動きとなっているのが、東証REIT指数です。 もともと、東証REIT指数はコロナ・ショックによる急落後のリカバーが一巡した2021年7月以降、金利先高観が重石となり、中長期的な下落基調が続いていました。株式市場での生成AI関連株ブームを横目に見ながら、ここ数年は完全に相場の蚊帳の外に置かれてきた格好です。しかし、トランプ大統領の再登板と強権的な政策運営によって、金融市場で物価上昇と景気後退が同時進行する「スタグフレーション」懸念が強まったことで、2025年に入ってからはその業績面でのディフェンシブ性や相対的にインフレに強い特徴などに見直しの動きが出てきたようです。 東証REIT指数の値動きをチャート面から見てみましょう。下図は2021年1月以降の週足チャートです。前述したように、2021年7月高値形成後は、高値と安値を段階的に切り下げる教科書的な下降トレンドを形成してきました。下降トレンドを形成中は一時的な上昇局面が何度か見られましたが、いずれも下向きの52週移動平均線か、それを一旦上回っても52週線の少し上を通る下降トレンドラインに上値を押さえられてきたことが分かります。 東証REIT指数:週足(2021年~) (注1)直近値は2025年5月27日。天底の数値は日次終値ベース。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)JPX総研より野村證券投資情報部作成 しかし、足元では、この「負けパターン」から抜け出したかに見えます。トランプ関税ショック後の上昇で、これまで上値を押さえられてきた52週線を上放れし、さらに2021年7月高値から続く下降トレンドラインを上抜けてきました。これまで4年近く続いてきた中長期下落相場が転換した可能性が考えられます。 より長期的な値動きを振り返ると、2024年12月安値は、2021年7月高値から3年半が経過しており、2003年以降の主な下落局面の中で過去最長となっています。日柄面から見ても同安値で大底を形成した可能性は高いと言えます。この先、2024年8月高値(1,791ポイント)を超えて大底形成のシグナルの一つである逆三尊型のチャートパターンが完成すれば、2024年12月安値をボトムとした中長期の上昇トレンドに移行する展開が期待されます。足元のチャートが示唆するシグナルが、この先の大きな変化に繋がっていくか注目です。 テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ご投資にあたっての注意点
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05/31 07:00
【来週の予定】米国、月初に重要統計の発表相次ぐ 政策判断への影響に注目
来週の注目点:米ISM景気指数、雇用統計、ECB金融政策理事会 6月17日(火)-18日(水)にFOMCを控えて、FRBは今週末に金融政策に関する公式発言を自粛するブラックアウト期間に入ります。これまでのFRB高官の発言を踏まえれば、トランプ政権の政策不確実性を背景に、当面は金融政策の据え置きがFRB内のコンセンサスとなっているようです。 今週の米国では月初の重要統計の発表が多数予定されていることから、政策判断への影響が注目されます。景気に先行性のあるセンチメント指標としては、2日(月)の5月ISM製造業、4日(水)の同サービス業景気指数が注目されます。既報の5月のPMI(速報値)では、製造業、サービス業ともに改善しました。実際の経済活動を補足したハードデータでは3日(火)の4月雇用動態調査(JOLTS)、4日(水)の5月ADP全米雇用レポート、6日(金)の5月雇用統計が注目されます。労働需給緩和の動きがみられるようだと、市場の利下げ観測が前倒しされる可能性があります。 日本では3日(火)の植田日銀総裁講演、2日(月)の1-3月期法人企業統計季報、5日(木)の4月毎月勤労統計が注目されます。植田日銀総裁は、FRB同様に、様子見姿勢を示すと予想されます。日銀は国債保有額の削減ペースに関する中間評価を控えていますので、この点に関して言及があれば市場の関心を集めそうです。経済指標については、法人企業統計では企業の設備投資動向と在庫状況が、毎月勤労統計ではインフレ分を除いた実質賃金と基本給に当たる所定内給与の動向が注目点です。 今週は4日(水)にカナダ、5日(木)にユーロ圏、6日(金)にインドとロシアで金融政策会合が開催されます。ECBは24年6月以降、7回の利下げを実施してきましたが、野村證券では今会合でも0.25%ポイントの利下げを予想しています。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年5月30日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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05/30 16:23
【野村の夕解説】関税差し止め一時停止と円高進行で、日経平均467円安(5/30)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 米トランプ政権による関税政策の大部分を違法として関税差し止めを命じた米国際貿易裁判所の判決に対し、同政権は29日、連邦高裁へ控訴し、連邦高裁は関税差し止め命令の一時効力停止を命じました。関税差し止めによる世界的な景気減速への警戒緩和から前日に大幅高となった日経平均株価は、30日、その反動で寄り付きから大きく下落しました。また、日米で発表された経済指標を受けて、急速に円高が進んだことも日経平均株価を押し下げました。米国では29日、個人消費の減速と雇用悪化を示す経済指標を受けて長期金利が低下しました。一方で30日の日本市場寄り前に発表された5月東京都区部CPIが市場予想を上回りました。これらを受けて、米ドル円は29日15:30時点の145円60銭台から30日10時過ぎには143円40銭台へ、2円以上円高が進みました。その後、関税政策への警戒再燃に伴って国内長短金利が低下し、円高進行が一服したことを背景に、日経平均株価も下げ幅を縮小しました。しかし、寄与度の大きい値がさ株の下落が重石となって戻りは鈍く、終値は前日比467円安の37,965円となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 30日、米国で4月個人消費支出・所得統計が発表されます。その中でも、FRBが物価動向の指標として重視するPCEコアデフレーターが、どの程度関税引き上げの影響を受けているのか、注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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05/30 12:00
日経平均株価、29日に38,000円台回復、この先上昇ペースが緩やかになる可能性も
※画像はイメージです。 ※2025年5月29日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日経平均株価、戻り待ちの売りが出やすい水準に 今週の日経平均株価は、トランプ政権の強硬的な関税政策に対する懸念の後退や円安進行を好感し、堅調に推移しました(5月29日時点)。 これまでの動きをチャートから振り返ってみましょう。日経平均株価は、5月13日高値(38,494円)形成後に、短期的な過熱感や円高・ドル安が進展したことから押しを入れました。 ただ、5月22日に37,000円を割り込んだ後で反発に転じ、29日には再び200日移動平均線(5月29日:37,795円)を回復し、13日戻り高値に接近しています。この先、5月13日高値を上放れとなれば、心理的フシの40,000円や昨年12月高値(ザラバベース:40,398円)の水準が次の上値メドとして挙げられます(図1)。 一方で、昨年10月から今年2月にかけて長期間続いた保ち合いレンジ(37,700~40,300円)に入っており、5月13日の戻り高値更新後は戻り待ちの売りが出やすいとみられます。このため、上昇のペースが緩やかになることも考えられます。 再度押しを入れる場合は、上向きの25日移動平均線(5月29日:36,942円)が下支えとなるか注目されます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2025年5月29日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 為替の歴史から学ぶ プラザ合意、その時相場は? トランプ政権は具体的な通貨政策を示していないものの、市場では第二のプラザ合意の可能性が懸念されています。米ドルは戦後、1971年のニクソンショックと1985年のプラザ合意で二度の大幅な通貨切り下げを経験しました。本稿ではプラザ合意時の相場動向を振り返ります(図2)。 プラザ合意は、1985年9月22日に米国、日本、西ドイツ、フランス、英国の主要5か国が、過度な米ドル高を是正するために協調してドル安を目指すことを決めた国際的な取り決めです。背景には、米国が深刻な貿易赤字を抱えていたことがありました。この合意以降、大幅なドル安が進行しました。しかし、当初想定していた以上にドル安が進行したため1987年にはパリでルーブル合意が結ばれ、行き過ぎたドル安を是正するための対応が講じられました。 プラザ合意後、大幅な円高が進行したことで日本の輸出競争力が低下し、円高不況に陥りましたが、株価への影響は限定的でした。日本銀行は円高不況からの脱却と為替相場の安定のために、公定歩合の引き下げを次々に実施しました。これにより、いわゆる「超低金利」の環境が生まれます。この環境下で株価や不動産価格が急騰し、結果的に昭和末期のバブル経済へとつながりました。株価の上昇は1989年12月まで続き、日経平均株価は歴史的高値の38,915円をつけました。 なお、1985年と2025年では経済環境が大きく異なり、単純比較は困難です。ただ、過去の事例が現在を理解する一助になれば幸いです。 (注1)出来事はすべてを網羅している訳ではない。赤い点線丸印はプラザ合意時。下落率は直前の高値から計算。(出所)ブルームバーグ、各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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05/30 08:15
【野村の朝解説】エヌビディア決算を好感、関税は引き続き有効(5/30)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 29日の米国株式市場で主要3指数は揃って小幅に反発しました。前日引け後に決算を発表したエヌビディアが3%上昇したことが好感されました。昨日、米国際貿易裁判所がトランプ関税のうち国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税を停止する判決を下したことも好感され、米国株は高く寄り付きました。一方でトランプ政権は、連邦高裁に対しこの判決に対する正式な控訴手続きを行う間の一時的な効力停止を要請し、これを連邦高裁が認めました。関税が引き続き有効となったことで、米国株は上値の重い展開でした。政権は6月9日までに正式な控訴手続きを行う必要があります。 相場の注目点 来週米国では、5月ISM製造業景況感指数(2日)、4月JOLTS(米雇用動態調査)求人件数(3日)、5月ISMサービス業景況感指数(4日)、5月雇用統計(6日)などが発表されます。4月初旬のトランプ政権による相互関税の実施とその後の延期などを受け、S&P500は急落した後、現在は今年2月の史上最高値まで約3%の水準まで回復しました。今後の景気や企業業績の方向性を予測する上で、米国の景況感(ソフトデータ)や経済指標の実績値(ハードデータ)の推移が注目されます。 本日のイベント 米国では4月個人消費支出・所得統計が発表されます。個人消費支出は前月比+0.2%、個人所得は同+0.3%が予想されており、インフレ率が高止まりする中で所得の増加による消費の継続性が注目されます。 (野村證券 投資情報部 竹綱 宏行) (注)データは日本時間2025年5月30日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点