特集
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08:10
【野村の朝解説】トランプ関税に再び違法判決、米国株続落(9/3)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 9月2日の米国株式市場では、主要3指数が揃って続落しました。米国の関税政策を巡る不透明感や財政悪化懸念、それらを受けた米国債利回りの上昇が米国株の重石になりました。米連邦巡回区控訴裁判所は8月29日、トランプ米政権が4月に発動した相互関税などを憲法違反とした一審判決を支持しました。トランプ大統領は9月2日の会見で、判決が確定すれば既に徴収した関税を返還しなければならなくなるとしたうえで、3日にも上訴する方針を示しました。また、朝方に、米政府が中国本土への半導体関連機器出荷に関して台湾のTSMCに付与していた特例措置を撤回したと伝わり、半導体セクターの中国事業への懸念が株価の重石となりました。 相場の注目点 9月の米国株は過去のデータから年間で最も下がりやすい月として知られています。ジンクス通りとなり、日本株の下押し圧力となるか否かは、一つに、AIに対する期待が継続するかがカギになりそうです。足元では米国のAIインフラ企業の25年5-7月期決算において需要の鈍化が懸念されたことを契機にハイテク株は調整局面を迎えています。4日発表のブロードコムの25年5-7月期決算と、その後のハイテク株の動向に注目です。二つに、米国の利下げが市場の思惑通りに進むかです。米雇用統計での雇用の減速を市場は織り込んだ上で、各市場は相場を形成しているとみられます。仮に利下げ期待が巻き戻された場合には米株には調整圧力がかかるとみられます。5日の8月雇用統計など、今週の米国では雇用や景況感の重要統計が相次いで発表されます。日本の国内要因では、日銀の動向や自民党の両院議員総会を受けた政局に注目です。足元では財政拡張懸念や日銀の氷見野副総裁講演を受けた早期利上げ観測の後退が円安圧力につながっています。 (野村證券 投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2025年9月3日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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昨日 16:31
【野村の夕解説】日経平均・TOPIXそろって3日ぶりに反発 円安が追い風(9/2)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 2日の日経平均株価は、円安が進行したことを追い風に上昇した一方で、ハイテク関連株の下落が重石となり方向感に欠ける展開でしたが、TOPIXは終日プラス圏での推移となりました。1日の米国株式市場が休場となる中、欧州株がそろって上昇したことを下支えに、日経平均株価は反発して寄り付きました。10:30に日本銀行の氷見野副総裁の講演内容が公開され、日銀の経済・物価見通しが実現していけば引き続き利上げを行うことが適切との見解が示されたものの、追加の利上げ時期を示唆するような発言がなかったことから、外国為替市場では円安が進行し、株価の上昇に寄与しました。後場に入り、AI・半導体関連株の一角の下落幅が拡大したことで、日経平均株価は前日比マイナス圏となる場面もありましたが、商社や海運など相対的に配当利回りが高い銘柄の上昇が追い風となり、日経平均株価・TOPIXそろって反発し取引を終了しました。個別銘柄では、1日引け後に発表された8月の大手百貨店売上高速報が堅調であったことを受けて、高島屋が前日比+3.26%、J.フロント リテイリングが同+4.27%となるなど百貨店株が軒並み上昇しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 2日、米国で8月ISM製造業指数が発表されます。8月の関税率引き上げ後の景況感やインフレ圧力の強さに注目が集まります。 (野村證券投資情報部 松田 知紗) ご投資にあたっての注意点
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昨日 09:30
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(8月第5週)
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2025年8月第5週(2025年8月22日~8月29日) 2025年8月月間(2025年7月31日~8月29日) 2025年年間(2024年12月31日~2025年8月29日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2025年8月29日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2025年8月第5週(2025年8月22日~8月29日) 2025年8月月間(2025年7月31日~8月29日) 2025年年間(2024年12月31日~2025年8月29日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2025年8月29日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2025年8月29日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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昨日 08:09
【野村の朝解説】米国市場は休場で動意薄、欧州株は上昇(9/2)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 9月1日は欧州株式市場が軒並み上昇しました。ロシアのウクライナ侵攻を巡り、欧州委員会のフォンデアライエン委員長がウクライナへの部隊派遣計画に言及したとの報道を受け、防衛関連株を中心に買いが広がりました。もっとも、米国市場がレイバーデーの祝日で休場となる中、為替市場ではドル円相場の膠着感が続き、1米ドル=147円台前半で推移しています。 相場の注目点 米国では9月16-17日にFOMCが開催されます。市場はすでに9月の利下げ再開の可能性をほぼ織り込んでいますが、大幅利下げへの思惑がくすぶる一方、関税引き上げによる影響への警戒も維持され、その後の見通しは依然不透明といえます。引き続きデータを精査する必要があるとみられる中、今週は6日のブラックアウト期間(金融政策に関する発言を自粛する期間)入りを前に、2日(火)の8月ISM製造業景気指数や4日(木)の8月ISMサービス業景気指数、5日(金)の8月雇用統計が関心を集めるほか、4日(木)のウィリアムズNY連銀総裁の講演など、FRB高官による情報発信も注目されます。 他方、フランスでは2026年緊縮予算案を巡る与野党の隔たりが大きく、9月8日(月)の信任投票でバイル内閣は総辞職に追い込まれる公算が大きいとみられます。昨年12月にもバルニエ首相(当時)による2025年緊縮予算案に野党が反発したことで内閣不信任決議が可決されましたが、フランスの政局不安からユーロ安圧力が強まる可能性には注意が必要です。 本日のイベント 本日は氷見野日銀副総裁の講演が予定されます。執行部内ではややタカ派色が強いとされますが、10月会合での利上げの可能性を示唆するか注目されます。 (野村證券 投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2025年9月2日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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09/01 16:29
【野村の夕解説】半導体関連株が大幅下落 日経平均株価529円安(9/1)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 1日は、中国のアリババ集団が新しいAI向け半導体を開発したとの報道を受けて、米国市場と同様にAI・半導体関連株が下落し、日経平均株価は大幅安となりました。財務省が寄り前に公表した2025年4-6月期法人企業統計では、全産業(金融・保険を除く)設備投資額が前年同期比+7.6%となり、2四半期連続の増加となりました。製造業が2桁の伸びを記録したほかデータセンター向けが堅調で、景気が穏やかに回復している結果が示されました。しかし、ソフトバンクグループや半導体製造装置関連株、電線株など、AI関連銘柄が大幅安となる中、日経平均株価は前営業日から一時883円の下落となりました。後場は、ガスや医薬品などの内需セクターが下支えとなり、下落幅を縮める場面もありましたが、大引けは前営業日比-529円の42,188円と続落しました。個別銘柄では、アドバンテストが前営業日比-7.92%、ソフトバンクグループが同-4.8%、東京エレクトロンが同-1.83%となり、3銘柄で日経平均株価を446円押し下げました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 1日、米国市場はレイバーデーの祝日で休場です。2日、国内では自民党両院議員総会で、参院選総括が実施されます。 (野村證券投資情報部 松田 知紗) ご投資にあたっての注意点
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09/01 08:02
【野村の朝解説】米国株反落、AIインフラ株の下落が重石に(9/1)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 8月29日の米国株式市場では、主要3指数が揃って反落しました。特に情報技術セクターが下落し、ハイテク株中心のナスダック総合は1.15%安となりました。寄り付き前に中国のアリババ・グループ・ホールディングが従来よりも幅広い用途で使用できるAIチップを自社で開発したと伝わったことで、AI半導体の競争が激化するとの懸念が広がりました。代替品が中国企業によって供給されるとの懸念も手伝ってエヌビディアは3日続落となりました。また、AI向け半導体を手掛けるマーベル・テクノロジーが前日引け後に発表した25年5-7月期決算で売上高見通しが市場予想を下回り、同社株は大幅安となりました。さらに、同じく前日引け後に決算を発表したデル・テクノロジーズは、AI向けサーバーの受注が鈍化し、業績見通しが市場予想を下回ったことなどを受けて、株価が下落しました。 相場の注目点 米国株をけん引してきたAIの需要に対する懸念がくすぶる中で、今週もAI関連企業の決算に注目が集まります。4日にはブロードコムが5-7月期決算を発表します。また、今後の金融政策を占う上では、5日発表の8月雇用統計など経済指標も市場の注目を集めそうです。ジャクソンホール会議のパウエルFRB議長講演では2025年9月FOMCでの利下げの可能性を示唆したものの、関税によりインフレには上振れのリスクがあるとして警戒感を示しました。また、今後の利下げの道筋はデータ次第であるとの従来からの姿勢を維持しています。米国では2日に8月ISM製造業景気指数を皮切りに、月初の重要統計の発表が続きます。9月の米国株は年間の中でもパフォーマンスが悪化し、日本株にも下押し圧力になるのではと見る向きもあります。今年もそのジンクス通りとなるのか、あるいは異なる展開となるのか注目です。 (野村證券 投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2025年9月1日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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08/31 12:00
【9月の投資戦略】史上最高値圏の株式市場、悪材料一巡後はさらなる評価が進むか
(注)画像はイメージです。 企業業績の成長が株価上昇の中核 トランプ政権の関税が強化され、その影響はこれから出てくるものもあるとみられます。一方、2025年8月に、日経平均株価は1年1ヶ月ぶりに史上最高値を更新しました。米国S&P500指数は、史上最高値の更新を続けています。我々は、リスクの所在が明確化し、主要国・地域の経済や企業活動などへの悪影響は克服可能/限定的となれば、企業業績の復調や拡大と共に株式市場への信頼感は回復してゆくとみており、この見方は現在も不変です。 FRBの利下げ期待が高まる 米国ではトランプ政権による相互関税の追加の課税が発動し、8月7日の船積み、10月5日以降の通関以降の適用が開始されました。インドやブラジルなどの主要新興国に対して高関税が課され、半導体など重要品目に対しては自国産業の保護に向け、更なる関税実施が宣言されています。一方、貿易や小売り、物価などの統計に大きな変調は見られず、企業が負担を一部肩代わりしている可能性があります。雇用に減速がみられ、市場では利下げ観測が高まっています。2026年5月で任期満了となるパウエルFRB議長の後任人事の議論が進みますが、FRBの独立性や信認が揺らぐ場合、市場では金利上昇や米ドル安に進む可能性があります。 テクノロジー分野は米国の成長の中核 米国企業業績は、関税政策の影響を受けるセクターは厳しい状況にありますが、その影響を受けにくく、政権が成長を支援するテクノロジーセクターは業績の拡大が続いています。AIサービスや関連するデータセンターなどの分野に対する投資が加速しています。今後も、AIを中心とするテクノロジー分野は、米国経済や企業業績の中核であり続けるとみられます。 中国の景気対策への期待 ユーロ圏は米国との関税交渉も大筋決着し、インフレ率や景況感も落ち着き始めており、利下げ局面は終了したとみられます。中国は米国との事実上の関税交渉の期限が11月10日まで延長されましたが、具体的な交渉の進捗は聞こえていません。不動産市況を中心に国内経済が弱含む中、有効な景気対策が打ち出されるかどうか、今後の政治日程が注目されます。 日本の企業業績は2026年度に再拡大へ 日本は米国との関税合意後、実務上不利な措置が採られたままで、米国に対して早期の是正を求めています。修正は早くて9月中旬までかかるとの見方があります。一方、主要企業を中心に関税への対応は進められており、在庫水準は抑制されています。国内経済は、実質賃金上昇率が低迷しており、生活に密着した食料などの体感物価は厳しい状況です。日本銀行は、米国との関税合意などで局面が変化したことから、経済・物価情勢の改善に応じて追加の利上げを行う姿勢を見せ始めています。物価高への配慮から、経済対策の実現に向け、与野党間の議論が進められています。このようなインフレや国債増発への思惑から、国債利回りは償還期限の長い超長期債を中心に上昇が続いています。2025年度の企業業績は減益が予想されています。ただし、為替は現状の水準であれば、企業業績への影響は大きくありません。足元の企業業績の方向感には底打ちの兆しがみられ、2026年度は2桁増益が見込まれています。野村證券は2025年末の日経平均株価の予想レンジ上限を45,000円とみます。 投資戦略については、トランプ政権の関税政策や日米政治情勢の不透明さから、株式市場のボラティリティー(変動率)が高まる場面はあるとみます。しかし、関税の影響を受けにくく、成長が続くテクノロジーやサービスなどの業種を基軸とする見方は変えません。悪材料の一巡と共に企業業績が復調に向かうならば、株式市場の評価は進むとみます。 ※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 9月号」(発行日:2025年8月25日)「投資戦略の概要」より 野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト 小髙 貴久 1999年野村総合研究所入社、2004年に野村證券転籍。日本の経済・財政・金融動向、内外資本フローなどの経済・為替に関する調査を経て、2009年より投資情報部で各国経済や為替、金利などをオール・ラウンドに調査。現在は日本株に軸足を置いた分析を行う。2013年よりNomura21Global編集長を務める。 Nomura21Global参考銘柄について ご投資にあたっての注意点
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08/30 09:00
【オピニオン】FRBの金融政策とパウエル議長の後任人事
※画像はイメージです。 注目されたジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演は、次回9月16-17日のFOMC会合での利下げの可能性を示唆する内容でした。 パウエル議長は、雇用下振れリスクが高まっているとの見解を示したうえで、政策が景気抑制的な領域にある現状では、「政策スタンスの調整を正当化する可能性がある」との考えを明らかにしました。 市場ではこの発言をハト派的(利下げに積極的)と受け止め、FF(フェデラル・ファンド)金利先物は25年中に2回の利下げを完全に織り込みました(1回当たりの利下げ幅を0.25%ポイントと想定)。また、26年末までに累計5回の利下げが実施され、政策金利の誘導目標は3.00-3.25%へ低下するとの見方を織り込んでいます。 米国の政策金利見通し (注)データは日次で、直近値は長期均衡金利は2025年6月18日、それ以外は2025年8月25日。政策金利はFF(フェデラル・ファンド)金利翌日物のレンジの中央値。FF金先はFF金利先物。長期均衡金利は25年6月19日以降は横ばいとして延長。(出所)FRB、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 一方、野村證券では、FRBは25年9月、12月、26年3月と3回の利下げを行い、政策金利を3.50-3.75%へ引き下げると予想しています。25年中に2回、26年に1回の利下げとの見通しは、25年6月FOMC時点のFRBの見通しと一致しています。 26年以降の利下げペースや政策金利の着地点を予想する上で、市場ではパウエル議長の後任候補を含む、FRB理事の人事が注目を集めています。特に、市場が織り込む3.0%の政策金利水準は、FRBが想定する長期均衡金利であるだけではなく、ベッセント財務長官がありうべき政策金利水準として言及した水準でもあります。 FRBの政策決定では、議長、副議長を含む7名の理事とニューヨーク連銀総裁に加え、輪番制で4名の地区連銀総裁が投票権を有しており、多数決によって議決されます。パウエル氏の任期は議長としては26年5月ですが、理事としては28年1月まであります。近年は議長としての任期満了とともに、理事も辞任することが慣例となっていますが、パウエル氏は進退を明らかにしていません。また、25年8月8日にクグラー理事が辞任、8月25日にはトランプ大統領がクック理事を解任する意向を示しました。 直近7月FOMCで利下げを主張した参加者は、トランプ政権下で任命されたボウマン副議長とウォラー理事の2名だけでしたが、仮にパウエル議長が理事を辞任した場合、トランプ大統領の意を汲んだ政策判断を行う可能性がある理事は、議長を含み最大5名となる可能性があります。 市場ではFRBの独立性が脅かされれば、米国への信認低下から株安・債券安・米ドル安のトリプル安を招くとの警戒感もあります。トランプ大統領は具体的な手法は不明ながら、理事会だけではなく地区連銀総裁人事にも関与する意向を示しており、これらの点には注意が必要です。 ご投資にあたっての注意点
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08/30 07:00
【来週の予定】米国の経済指標、中国の景況感
ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演(8月22日)では2025年9月FOMCでの利下げの可能性を示唆したものの、関税によりインフレには上振れのリスクがあるとして警戒感を示しました。また、今後の利下げの道筋はデータ次第であるとの従来からの姿勢を維持したことから、改めて経済指標に注目が集まります。米国では9月2日(火)に8月ISM製造業景気指数、3日(水)に地区連銀経済報告(ベージュブック)、4日(木)に8月ADP全米雇用レポート、7月貿易統計、8月ISMサービス業景気指数、5日(金)に8月雇用統計と重要統計の発表が続きます。 日本では、9月2日(火)に氷見野日銀副総裁の発言機会が予定されています。また、5日(金)に7月毎月勤労統計が発表されます。野村證券では、7月の現金給与総額(1人当たり名目賃金)は前年比+3.0%と、6月(同+3.1%)から減速したと予想します。また、CPI(消費者物価指数)の減速を受けて、実質賃金は同-0.6%と、前月(同-0.8%)からマイナス幅が縮小したと予想します。 中国では、8月31日(日)に8月政府版PMI、9月1日(月)に8月RatingDog製造業PMI、3日(水)に8月RatingDogサービス業PMIなどの景気指数が発表されます。野村證券では、公務員等に対して5月から実施している豪華な宴会等を禁止する「倹約令」が、飲食店の売上や酒類販売などの消費を下押ししたと予想します。また、7月から政府が実施している低価格競争や過剰生産を抑制する規制強化が生産を下押しした可能性があります。さらに、消費財下取り制度による需要の反動減なども見込まれ、年後半の中国景気には下押し圧力が強まると野村證券では予想します。 欧州では、9月2日(火)にユーロ圏の8月HICP(消費者物価指数)が発表されます。25年後半にはユーロ圏の実質GDP成長率が加速する中でもインフレ率が政策目標の2%程度で留まり、ECBの利下げ局面は終了したと野村證券では予想します。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年8月29日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点