特集
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01/06 08:43
【野村の朝解説】日本休場中の米国株式市場は小幅に下落(1/6)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 先週の米国株式市場(2024年12月30日~2025年1月3日)の株価騰落率は、NYダウが1週間で-0.60%(-260.08ドル)の42,732.13ドルとなり、S&P500は同-0.48%、ナスダック総合は同-0.51%と、小幅に下落しました。騰落は、主要3指数ともに12月30日~1月2日にかけて下げた後、1月3日は反発となりました。米ドル円相場は1ドル=157円20銭台(日本時間6日7時時点)と、2024年12月30日の15:30時点の157円90銭台からはわずかに円高です。1月3日の日経平均先物CME終値は39,595円となりました。日経平均株価の年末の終値(39,894円)を約300円下回る水準です。 相場の注目点 東京市場が年末年始の休場の間、NYダウなど米国株下落の影響を織り込み、大発会は下落しての取引開始が見込まれます。その後は特段の材料も見当たらず方向感に欠く展開を想定しますが、値ごろ感に着目した買いに支えられ、底堅い展開となるか、2025年最初の市場動向が注目されます。 本日のイベント 本日米国では、11月製造業受注が発表されます。また、世界最大の家電見本市「CES 2025」がラスベガスにて、7日(火)開催されます。6日に行われる前夜祭でのエヌビディアCEOジェンスン・ファンの基調講演に注目が集まります。 (野村證券 投資情報部 神谷 和男) (注)データは日本時間2025年1月6日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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01/05 18:00
【新春特集】2025年は期待リターン並みの株高を文字通り期待(日本株式市場)
内外政治は不透明だが、「値上げ×数量×市場規律」効果で増益・株高を展望2025年末のTOPIXは3,000、日経平均は4万2,000円と予想中長期投資の視点でも日本株の期待リターンは年+6~7%でインフレを上回る 野村證券では、2025年の日本株を考える上での論点として、以下5つを考えています。 (1)政治に関する予想は困難で市場反応も想定外が多いため、政治予想はほどほどに。景気・業績が重要 (2)日米とも「名目GDP成長率-名目長期金利」(G-R)は当面プラスで株式が債券よりも優位 (3)日本の企業業績は数量増と値上げで増益が継続。米景気が堅調な際の円高のマイナス効果は限定的 (4)日銀追加利上げに伴って多少の円高も見込まれるが、財政政策の緊縮は当面回避 (5)日本企業のガバナンス改革は継続し、高水準の自社株買いが継続。東証要請や物言う株主の存在感の高まりとともに割安企業の底上げが続く可能性が高い 24年11月の米大統領選でのトランプ氏勝利に、米金融市場は11月前半は株高・金利上昇で反応し、高リスク・高リターン型のリスクオン・イベントとして消化しました。11月後半以降は米長期金利上昇も一服し、極端なマクロ政策の変更はないとの見方も台頭しています。 当面は米国トランプ次期政権を見定めする局面ですが、関税等の影響に関しては様々なシナリオがあり、幅をもって見る必要があります。関税対象が絞られるのであれば、減税・規制緩和メリットが意識されやすいと考えられます。2017~19年の関税発動は日本の経済や業績に特段大きな影響を与えるものではなかったと言えます(図表1)。米国トランプ次期政権のもとでは、米国の同盟国を中心に先進国株が新興国株よりも優位との見方が共有されやすい可能性があります。 図表1: 第1次トランプ政権時の関税発動イベントにおける主要国株価指数の傾向 (注)関税イベントであった2017/8/14、2018/3/22、2018/4/3、2018/7/10、2018/12/1、2019/5/3、2019/8/1を基点に前後のS&P500、TOPIXの平均的な動きを算出。(出所)S&P、STOXX、MSCI、JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成 日米ともに「名目GDP成長率>名目金利」が当面予想され、こうした局面では株式が債券よりも優位と意識されやすいでしょう。今後のFRBによる利下げの休止に伴う緩和期待の剥落の懸念、日銀による追加利上げに伴う円高進展懸念などはありますが、米日中銀がよほどの悪手を打たない限り、影響は限定的と考えられます。日本では、政策不確実性の低さが米欧や中国と比べると際立ち、金融環境は依然緩和的です。 日本株の需給環境については、2025年も自社株買いが持ち合い解消の売りを上回り、事業法人が日本株の最大の買い手となる見込みです。個人のNISA等を通じた押し目買い意欲も注目できます。24年は海外勢が売り越しでも日本株は上昇しましたが、海外勢が売り越さなくなるだけでも需給環境は改善すると言えます。 企業業績では、25年度にかけては値上げ効果に加えて、数量効果が円高に伴う収益押し下げ効果を相殺する形で増益が達成可能と予想しています。24年は日本の鉱工業生産が自然災害や自動車の不正問題で低迷しましたが、25年は正常化するだけで高い伸び率となると試算されます。自社株買いに伴うEPS(1株当たり利益)押し上げも継続する見込みです。 TOPIXのEPSは24年度+9.5%、25年度+7.9%の増益を見込んでおり、25年中にもTOPIXの12ヶ月先EPSは200に達しそうです。TOPIXのPERは現状並みの15倍前後が妥当と考えていますが、EPS拡大を主因にTOPIXは25年末に3,000に達すると予想しています(日経平均は25年末に42,000円と予想)。これは期待リターン(=資本コスト、配当込みで+6~7%、指数では4~5%)と整合的です。日本株に過度な期待も悲観もせずに臨むことが中長期投資にとっては重要で、この期待リターンがインフレを十分に上回ると考えています。中長期投資家の投資レーダーの中に日本株が入る可能性が高いでしょう。 図表2: 国内株式の4局面とTOPIXのEPS (1株当たり利益) (注)TOPIXを12ヶ月先予想PERとEPSに分解して、PER主導で株価が上昇した局面を「流動性相場」、EPS主導で株価が上昇した局面を「業績相場」、PER主導で株価が下落した局面を「逆流動性相場」、EPS主導で株価が下落した局面を「逆業績相場」と4局面に分類。12ヶ月先予想PERとEPSはブルームバーグコンセンサス。2024年12月以降は、野村のトップダウン予想を基にした各月時点のTOPIX 12ヶ月先予想EPS(2024年度178、2025年度193、2026年度204)。(出所)JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成 25年度の期初計画段階(4~5月時点)では、会社予想は例年通り保守的なものが見込まれます。その後、四半期決算で期を追うごとに1桁台後半の増益への確信度が高まる展開を想定し、年後半の株高を見込んでいます。また、25年前半はトランプ米次期政権による関税発動やFRBの利下げ停止が懸念を誘う場面が多い一方、年後半に法人減税の確度が高まるとともに楽観論が優勢になるというシナリオも念頭に置いています。25年12月末までの予想レンジはTOPIXが2,650~3,200、日経平均が37,750~45,000円です。 セクター判断については、外需では25年度も2桁増益予想の電機・精密、機械を選好し、成長期待が乏しい自動車を回避し、内需では25年度の増益の確度が高い銀行と情報通信・サービス、建設・資材を選好し、食品、小売を回避します。ファクターでは、緩やかな金利上昇が見込まれる点、東証要請が引き続き割安企業の底上げに主眼を置く点、物言う株主の存在感の高まりなどからもバリュー株に注目しています。 (野村證券市場戦略リサーチ部 北岡 智哉) ※野村週報 2025年新春特別号「日本株式市場」より ※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/05 12:00
【新春特集】円の復権はなるか(外国為替市場)
2024年の為替市場を席巻した円キャリー取引は25年は盛り上がらず海外中銀利下げの中での逆行的な日銀利上げ、需給改善が円相場の支えにトランプ政権2.0の経済政策はドル高に作用、ただし対円でのドル高は限定的に 2024年の為替市場は、米景気軟着陸期待から年前半はキャリー取引が席巻、夏場にかけて米景気への警戒からキャリー取引が巻き戻される展開となりました。低金利通貨である円は年前半に最弱通貨となった後、年後半は買い戻されています。24年後半に見られた円高はポジション調整による色彩が強いと言えますが、この間に生じたファンダメンタルズ面での変化、1)海外主要中銀が利下げに踏み切る中での逆行的な日銀利上げ、2)円需給の緩やかな改善、も重要です。 図表1: 主要通貨の対米ドル騰落率 (24年下期) (注) 6月末から12月11日まで。(出所)ブルームバーグ等より野村證券市場戦略リサーチ部作成 FRBは24年9月に50bp利下げを実施、ECBは6月に25bp利下げを開始とそれぞれ利下げサイクル入りしています。米大統領選でのトランプ前大統領の勝利を受け、インフレ懸念を背景に25年中の米利下げは緩やかなものとなりそうです。野村證券では25年3月に25bpの利下げを予想しています。 一方、日本では24年3月にマイナス金利が解除され、7月には0.25%まで政策金利が引き上げられています。日銀は「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」との基本姿勢を維持しており、25年に向けて利上げ継続がメインシナリオと言えそうです。米日5年金利差は徐々に縮小していく公算が大きく、緩やかな円高ドル安が予想されます。 図表2: 米日5年金利差とドル円相場 (出所)ブルームバーグ等より野村證券市場戦略リサーチ部作成 日銀はリスク材料として、米経済や金融市場の動向を重視しており、米指標の上振れ時や円安圧力台頭時には利上げを前倒しする可能性も高そうです。結果的に、24年前半のような大幅な円売りポジションの蓄積の可能性は低下し、円安の行き過ぎには歯止めが掛かると見ています。 需給の観点では、海外との政策金利差の縮小により、本邦投資家にとっての為替ヘッジコストが低下に転じたことが重要です。24年9月末時点の主要生保9社の為替ヘッジ比率は小幅ながら約3年ぶりに上昇に転じており、25年に向けて円相場の支えになりそうです。貿易収支の緩やかな改善傾向も続くと予想され、経常収支と直接投資収支を通じた基調的な円安圧力緩和につながると考えられます。 図表3: 基礎的収支に基づく円需給推計とドル円 (注) 24-26年の経常収支は野村見通しに基づく。直接投資収支は横ばいと仮定。所得収支及び直接投資収支の為替インパクトは実際の収支の50%と仮定。(出所)財務省、ブルームバーグ等より野村證券市場戦略リサーチ部作成 25年を展望する上では、1月20日発足の米国トランプ新政権の政策が為替市場に及ぼす影響を考えることも重要となります。トランプ前大統領が選挙戦を通じて主張してきた政策姿勢については、ドル高的な要素とドル安的な要素が混在していますが、政策の優先順位や実現可能性などを考慮すれば、市場ではインフレ懸念が先行しやすく、25年前半にかけて米金利上昇圧力に伴うドル高圧力が顕在化しそうです。実際、大統領選でのトランプ候補勝利を受けて、為替市場ではドル全面高が進みました。 もっとも、対円でのドル高の勢いは16年のトランプ候補勝利時と比較してかなり弱いことが特徴的です。16年当時と比較し、1)グローバルなリフレ期待上昇が限られること、2)米ターミナルレート(利下げの最終到達点)の変化が限定的なこと、3)日本当局の政策姿勢が異なること、などが円安圧力を限定していると考えられます。また、トランプ政権1.0対比で早いタイミングで関税発動に向かう可能性が高いと見ていますが、18-19年に米中貿易戦争が激化した際には、元安が進む中で円は逆行的に上昇しています。対中関税が早期発動に向かうと見られる25年前半には、対人民元や対ユーロなどでの円高材料となりそうです。 図表4: 2016年と2024年の米大統領選前後のドル指数とドル円 (注)投開票日を基準とした変化率。(出所)ブルームバーグ等より野村證券市場戦略リサーチ部作成 総じて、25年のドル円相場は、トランプ関税2.0の影響に注目が集まる1-3月期にかけては1ドル=150円前後での高止まりが続くと予想されます。その後、海外中銀の利下げに逆行した日銀の利上げにより、140円台前半に向けて緩やかな円高ドル安が進みそうです。年前半には対ユーロや対人民元などのクロス円での円高圧力が強まりやすく、ユーロ円は1ユーロ=150円割れ、人民元円は1人民元=20円割れに向けて調整すると予想しますが、年後半にはドル円などで押し目買いの機会がありそうです。 (野村證券市場戦略リサーチ部 後藤 祐二朗) ※野村週報 2025年新春特別号「外国為替市場」より ※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/05 07:00
【新春特集】新興国通貨は明暗の分かれる展開に(新興国為替市場)
米国のトランプ次期政権の政策に対する不確実性が新興国通貨の重石ファンダメンタルズ、トランプ次期政権の政策による悪影響の度合いに注目新興国通貨の中では東南アジア通貨やインドルピーが対ドルで底堅く推移する見込み 2024年の新興国金融市場を振り返ると、株式は好調、国債の対米スプレッド(ドルベース)は概ねレンジ圏、通貨は対ドルで軟調でした。新興国中銀の利下げとキャリー取引需要の巻き戻しなどが重石になり、11月の米国大統領選挙でトランプ氏の再選が決まると、新興国通貨は一段と下落しました。個別通貨の対ドル騰落率は、マレーシアリンギット、南アランド、タイバーツがアウトパフォームし、ブラジルレアル、トルコリラ、メキシコペソがアンダーパフォームしました。傾向として低金利のアジア通貨が好調、高金利の中南米通貨が軟調でした。 図表1: 新興国金融市場 (注)新興国通貨はブルームバーグ新興国通貨指数、新興国株価指数はMSCIエマージングマーケット指数、新興国国債の対米国債スプレッドはJP Morgan EMBI Global インデックスの対米国債スプレッド(米ドルベース)。データは日次で、直近値は202年12月12日。(出所)ブルームバーグ資料より、野村證券市場戦略リサーチ部作成 25年には新興国株や債券への資金流入は持ち直しが続くものの、緩慢なペースになると見込まれます。新興国への株式・債券フローは、①FRBの金融政策、②新興国と先進国の成長率格差、③グローバルのリスクセンチメント、などの影響を受けると考えられます。③の悪化が回避されたとしても、野村予想と市場コンセンサスに基づけば、②は25年はほぼ横ばいで推移すると想定されます。野村では③についてはFRBが25年3月に25bp利下げし、一旦様子見に転じると想定しています。 図表2: 新興国への証券投資フローの要因分解と見通し (注1)野村予想を基にFRBは25年3月に25bpの利下げを実施して25年末まで金融政策を据え置くことを前提とした。 (注2)先行きの成長率格差はブルームバーグ集計の市場予想を前提とした。 (注3)先行きのEMBIグローバルスプレッドは一定とした。 (注4)新興国は韓国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ロシア、ポーランド、ハンガリー、チェコ、南ア、トルコ、ブラジル、メキシコ、チリ、アルゼンチン。 (注5)証券投資は株式投資、証券投資の合計で後方4四半期合計値。 (注6)シャドーレートはサンフランシスコ連銀による推計値であり、米国債金利や住宅ローン金利など12の金融変数を基に量的緩和政策やフォワードガイダンスなどの効果をフェデラル・ファンド金利に換算したもの。(出所)IMF、ブルームバーグ資料より、野村證券市場戦略リサーチ部作成 また、24年後半にキャリー取引需要の弱まりが高金利の中南米通貨への逆風となりましたが、25年もキャリー取引は盛り上がりを欠く展開となるでしょう。トランプ米次期政権の関税引き上げなどの政策は不確実性が高く、市場ボラティリティは高止まると想定されます。インフレ率の鈍化傾向が続く中、基本シナリオとしてほとんどの新興国中銀が利下げを継続すると予想されることも、キャリー取引の妙味を低下させると考えられます。 投資家はキャリー取引需要だけではなく、新興国投資においては財政収支、経常収支、インフレ動向などのファンダメンタルズ要因も重視します。各国の対外ファイナンス、財政リスク、インフレリスクを考慮して脆弱性指数を作成すると、ファンダメンタルズは相対的に南ア、ブラジル、中国で悪化しており、チェコ、韓国で良好です。傾向としては、中南米に比べて東欧や東南アジアにファンダメンタルズの良好な国が多く見受けられます。 図表3: 主要新興国の脆弱性指数 (注1)経常収支GDP比、政府債務残高GDP比、消費者物価上昇率はIMFによる25年の予測値、民間部門向け銀行信用残高増加率(3年前比)は24年6月末値、短期対外債務GDP比は23年末値、外貨準備適正評価(ARA)はIMFによる24年の予測値。 (注2)外貨準備適正評価(ARA)は輸出、マネーサプライ、短期対外債務などを基にIMFが外貨準備の適正値を推計したもの。 (注3)脆弱性指数は各項目について野村がZスコアを計算して合算した。 (注4)脆弱性指数の作成はFRBの分析(2015年4月)を参考にした。(出所)IMF、BIS、FRB資料より、野村證券市場戦略リサーチ部作成 一方、25年の新興国通貨を占う上で、米国のトランプ次期政権の政策による影響も注目されます。トランプ氏の政策は、新興国の中では中国とともにメキシコへの悪影響が大きいと考えられます。トランプ氏は24年11月25日、中国からの輸入品に10%の追加関税を課し、麻薬や不法移民の取り締まり次第でカナダとメキシコからの全ての輸入品に25%の関税を課す意向を示しました。不法移民対策の強化は移民送金に依存するメキシコの打撃となる恐れがあり、26年の米国・カナダ・メキシコ協定(USMCA)の見直しへの懸念も企業のメキシコ投資を躊躇させる材料となるでしょう。ただし、メキシコへの関税引き上げはメキシコや中国だけではなく、米国にも悪影響を及ぼすと想定されるため、米国が実際に関税を引き上げるかは不透明です。 トランプ氏は中国以外の国からの輸入品に一律で10~20%の関税を課す方針も示しています。市場への悪影響を考慮して一律の関税引き上げではなく部分的な引き上げにとどまる可能性もありますが、新興市場の中では米国の貿易収支赤字国・地域として中国、メキシコ、ベトナム、台湾、韓国などが標的とされやすいと考えられます。対照的にインドなどはGDPに占める内需の比率が高いため、トランプ氏による関税引き上げの悪影響は相対的に小さいでしょう。ブラジルも大豆などで中国向け輸出を拡大し、米中摩擦の恩恵を受ける可能性があります。 図表4: 米国・中国向け財輸出のGDP比率 (2023年) (出所)IMF資料より、野村證券市場戦略リサーチ部作成 なお、新興国では25年に大きな政治イベントは予定されていません。25年5月のフィリピン議会選挙、ポーランド大統領選挙、10月のチェコ総選挙、11月のチリ大統領選・議会選挙、シンガポール総選挙などがありますが、いずれも相場を大きく動かすほどの材料にはならないでしょう。政治面においては新興国各国と米国のトランプ大統領との関係が注目されます。 25年の新興国通貨は対ドルで軟調推移を続けそうです。新興国への株や債券資金は緩やかな持ち直しとなり、キャリー需要の本格的な回復も期待できないでしょう。新興国通貨ごとの強弱においては、ファンダメンタルズの動向やトランプ次期政権の政策による悪影響の度合いが重要になると見ています。新興国通貨の中ではマレーシアリンギット、インドネシアルピア、インドルピーなどがアウトパフォームし、トルコリラ、メキシコペソ、ブラジルレアルなどがアンダーパフォームする展開を見込んでいます。 (野村證券市場戦略リサーチ部 春井 真也) ※野村週報 2025年新春特別号「新興国為替市場」より ※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/04 18:00
【新春特集】2025年相場大展望 – テクニカル編 (解説:岩本)
日経平均株価は、2024年2月に34年ぶりに史上最高値更新という歴史的な瞬間を経験しました。しかし8月には、前日比で過去最大の急落という逆風に直面し、波乱の一年となりました。一方で、米国株は大統領選挙後も史上最高値の更新が続いています。 チャート分析の解説でおなじみの岩本が2025年の見通しをわかりやすく解説します 。 (約35分)。 ※動画の終盤に言及している、「アンケート」について、当記事ではご回答いただけません。ご了承ください。 ~ 講師紹介~ 岩本 竜太郎 投資情報部 ストラテジスト 2008年から投資情報部にてテクニカル分析を担当。「マーケット解説動画」でもおなじみで、「週刊チャート展望」も執筆。株式・為替等のチャート分析を中心として、幅広く情報提供をおこなう。日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ Q.2025年にチャレンジしてみたいことは? A.テクニカル分析を通じて相場の真理に一歩でも近づくこと。100㎞マラソン完走。 Q.最近読んだ本や影響を受けた映画やドラマは? A.「思春期のトリセツ」、ドラマ版「沈黙の艦隊」(子供と改めて日本の平和について考えるきっかに)。 Q.1日の仕事の中で「これだけは譲れない」と思う自分だけの時間やルーティンは? A.チャートをチェックし、指標を書き込む時間。 Q.子供のころはどんなお子さんでしたか?子供のころの夢は? A.人見知り。自転車競技に打ち込み、ロードレースが主戦場でした。夢はツール・ド・フランスに出ることでした。 Q.小さい頃の自分に話しかけるなら、伝えたいことは? A.謙虚に、感謝の心を忘れずに暮らしていきましょう。 ご投資にあたっての注意点
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01/04 12:00
【新春特集】企業業績拡大にけん引され高値更新へ(米国株式市場)
米国株式市場は上昇が続き、割安感は乏しくなりつつあるAIの普及などをけん引役に、米企業業績は過去最高益更新が続く見込み2025年は、23年や24年ほどの上昇率は期待しづらいものの高値更新へ 米国株式市場は上昇が続き、割安感は乏しくなりつつあります。米国株式市場全体の動きを示すS&P500指数は、2023年に年間で24.2%上昇しました。24年は、一時的に足踏み状態となった局面もありますが、24年12月13日までに26.9%上昇し、2年連続で20%超の上昇となっています。 24年11月の大統領選挙後には一段と上昇し、NYダウやナスダック総合指数を含め、米国の主要株価指数は、軒並み史上最高値を更新しました。 上昇が続いた結果、24年12月13日終値でのS&P500指数の12カ月先予想PER(株価収益率)は22.2倍と、1986年以降の平均15.9倍を大きく上回る水準となっています。 図表1: S&P500指数の予想PER(株価収益率)推移 (注)データは週次で、直近値は2024年12月13日。PERの基となる1株当たり利益はLSEG集計による12ヶ月先予想ベース。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 過去平均と比較すると割高と言われる一方、高いPERは長期的な金利水準の低下を反映しているという指摘もあります。 そこで、金利も含めた「イールドスプレッド」という手法で見てみます。イールドスプレッドは、EPS(1株当たり利益)÷株価で求められる株式益利回りと、金利との差で株式の割安/割高をみます。 図表2: S&P500指数の株式益利回りと米長期金利の推移 (注)米長期金利は米10年国債利回り。S&P500株式益利回りの基となる1株当たり利益はLSEG集計による12ヶ月先予想ベース。データは週次で、直近値は2024年12月13日。イールドスプレッドは債券利回りと比較した株式のバリュエーション手法の一つで、プラスの場合は株式は割高、マイナスの場合は割安と判断される。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 2000年代半ば以降、S&P500指数の株式益利回りは5%超で推移した一方、世界的な金融危機やコロナ禍に伴う金融緩和などで、米長期金利(米10年国債利回り)は4%を下回って推移したことから、同手法で見て株式は、長らく割安な状態が続いていました。 しかし、24年12月13日時点では、株価上昇に伴い株式益利回りは4.498%まで低下した一方、米長期金利は4.398%と、両者にほとんど差がない状態となっています。今後もし、米長期金利が株式益利回りを上回れば、2000年頃の「ITバブル」期以来となります。 米企業業績は過去最高益更新が続く見込みです。米国企業の利益成長の要因は、一つには独自の技術力やビジネスモデルにより、新商品・サービスが普及し、経済の成長率を上回るペースで利益が拡大する有力企業が多いことが挙げられます。もう一つは、グローバルに競争力を発揮し、米国以外でも業容を拡大していることが挙げられます。 24年12月13日時点でのLSEGの集計では、S&P500指数構成企業のEPSは、25年は前年比+12.9%、26年は同+12.8%と予想されています。引き続きAIインフラへの投資が関連企業の業績を押し上げ、今後はAIの普及により、多くの企業が業務効率の改善などを享受する段階へと入っていくことへの期待が高いとみられます。 図表3: S&P500指数構成企業の1株当たり利益(EPS)の推移 (注)予想はLSEG集計による2024年12月13日時点の市場予想平均。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 米長期金利は、24年12月13日時点では4.398%です。FRBは24年9月以降、利下げに転じていることもあり、野村證券では、米長期金利は26年央にかけて、4%台前半で推移すると予想しています。 米長期金利が大きく上昇せず、米企業業績の拡大が続くのであれば、イールドスプレッドでみた割安感は乏しいものの、株式市場の上昇は続く可能性が高いと予想されます。 なお、24年11月の大統領選挙で選ばれたトランプ氏が、25年1月20日に大統領に就任した後には、同氏が掲げた政策の実現の状況を見極めていきたいと考えます。直近の米国株式市場は、同氏が選挙期間中や選挙後に掲げた法人税減税や規制緩和などの政策を先取りする形で上昇しています。行き過ぎた期待には反動もあり得ることから、留意が必要です。 インフレ動向にも注意が必要です。トランプ新政権の政策は拡張的な財政政策や関税強化、移民規制など、インフレを加速させるものが多くなっています。インフレ再燃懸念で、現在は利下げサイクルにあるFRBが政策見直しに迫られる可能性が意識される事態となれば、株式市場にはネガティブとなり得ます。 図表4: S&P500指数の年間騰落率の推移 (注)図中の数字は各年の年間騰落率。2024年は12月13日までの年初来騰落率。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 上記のようなリスクを抱えながらも、米企業業績の拡大が続くのであれば、下落局面はありながらも、 25年も年間を通せば、米国株式市場は上昇継続が期待できると考えます。 (野村證券投資情報部 村山 誠) ※野村週報 2025年新春特別号「米国株式市場」より ※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/04 07:00
【新春特集】2025年のキーワードは「中庸」(ESG)
2025年のESGの潮流を一言で予想するとすれば、「中庸」環境(E)、社会(S)の取組みは企業価値向上との両立を意識して中庸をとる形で推進ガバナンス(G)の取組みは、欧米基準での「中庸」に達することを目指して進展する 儒教には「中庸」という思想があります。儒教の開祖である孔子の『論語』の中には、「中庸の徳たるや、それ至れるかな(中庸の徳はこの上なく素晴らしいものだ)」という言葉があり、極端に走ることなく適切な調和を保つ「中庸」の重要性が述べられています。 2025年のESGの潮流を一言で予想するとすれば、「中庸」という言葉がふさわしいと考えます。 ESGについて、極端な推進派と反対派に世論が割れるなかで、日本における環境(E)、社会(S)に関する取組みは、企業価値向上(経済成長)との両立を意識しながら、極端な推進派と反対派の中庸をとる形で推進することになると予想します。 気候変動の領域でいえば、グリーン経済とブラウン経済の中庸にあるトランジション経済の実現を目指して歩みを進めることになると考えます。世界初の政府によるトランジション・ボンドとして「クライメート・トランジション・ボンド」を24年2月に発行したことにも、その姿勢が現れていると考えています。 従来、グリーン経済への移行を主張してきた欧州でも、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)の見直しの議論などが進むなかで、「グリーン」から「トランジション」への移行を強調する流れが生じ始めています。 ダイバーシティの領域でも、米国では役員報酬制度からダイバーシティに関する指標を除外する動きが起きています。極端なダイバーシティ推進派と、ダイバーシティの偏重が公平性の優先順位を下げているという反対派の中庸をとる形で、多くの人が納得できる施策や取組みが日本政府や企業には求められると考えます。 一方、コーポレートガバナンス(G)の側面では、欧米の先進国と比較して、日本は未だに遅れている状況にあります。独立社外取締役の登用、政策保有株の縮減を始めとするキャピタルアロケーションの再考は進み始めていますが、欧米では過半数の独立社外取締役の登用や成長ステージに合わせた株主還元の浸透など、一歩進んだ状態にあります。 25年も欧米基準での「中庸」に達することを目指して、日本におけるコーポレートガバナンス改革は進展すると予想します。スチュワードシップ・コードの改訂や25年3月に経済産業省が公表する予定の「コーポレートガバナンス改革の在り方に関する取りまとめ」にも注目しています。 また、EやSに関する取組みのなかでも、人的資本に関する取組みのように諸外国と比較して「中庸」から遅れをとっていると推測される領域や、生物多様性のように開示や取組みが始まったばかりの領域については、25年も開示や取組みに進展がみられると予想します。 併せて、24年3月に金融庁から「インパクト投資(インパクトファイナンス)に関する基本的指針」が公表されました。厚生労働省も24年11月、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による社会課題の解決と収益性の両立を図る「インパクト投資」の実行が可能との見解を示しています。 25年は、国内においてインパクト投資に関する手法などについても議論が進展すると考えます。 25年における重要度が高いESGトピックについて、野村證券エクイティ・リサーチ部に所属する各セクターのアナリストに企業の事例と共に考察してもらいました。 ESGの「E」にあたる環境面においては、温室効果ガス排出量削減に向けてさらなる開示の充実や、削減目標の設定、削減期限の前倒しの動きも生じています。 企業によっては、グリーン製品・サービスの普及を通じ、企業が社会全体の排出削減にどれだけ貢献したかという「削減貢献量」に関する情報開示に積極的に取り組む企業もみられました。削減貢献量については、一般的に温室効果ガス排出量の計測で用いられているScope1、Scope2、Scope3の概念では捉えられない情報です。23年3月にWBCSD(World Business Council for Sustainable Development)がガイドラインを公表するなど、標準化に向けた動きも生じ始めています。 また、生物多様性の領域では、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に沿った情報開示も進んでいます。長期視点では、自然資本や生物多様性の保全に早期から取り組む企業は、規制対応などによる利益の縮減の回避と共に、新たな成長機会を見出す可能性もあると考えます。 ESGの「S」にあたる社会面では、人的資本に関する新たな取組みや情報開示が進展しています。 新たな取組みや情報開示が進んでいる大きな理由の1つとして、有価証券報告書における人的資本に関する開示の義務化が挙げられます。加えて、24年4月、国際サスティナビリティ基準審議会(ISSB)は人的資本について、リスクと機会に関する開示を調査するリサーチプロジェクトの開始を公表しました。言い換えれば、人的資本はISSBが次に開示基準の策定に取り組む有力な候補であることを示しています。例えば、人材ポートフォリオの可視化や人的資本に関するKPIの設定、また人的資本レポートを発刊する企業もみられています。 ESGの「G」に当たるガバナンス面においては、政策保有株の縮減や取締役会の実効性強化に向けた企業の取組みが進展しています。また、東京証券取引所の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を受けて、ROICなどの資本収益性に関する目標値や自社の資本コストに関する開示を進める動きも起きています。 具体的には、政策保有株の残高について期限を決めて縮減する方針を打ち出す企業や、現状の資本コストの数値と低減に向けた目標値の両方を示す企業が現れています。また、取締役会の実効性強化に向けてCxO体制への移行や業績連動報酬にESGへの取組みを反映している事例もみられます。総じて、企業ではESGのどの領域でも前向きな取組みが確認できています。 図表1: ESGに関する企業の取組み事例 (出所)野村證券投資情報部作成 (野村證券エクイティ・リサーチ部 中川 和哉) ※野村週報 2025年新春特別号「ESG」より ※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/03 18:00
【新春特集】2025年相場大展望 – 米国株編 (解説:村山)
生成AIの普及、米企業業績拡大、FRBの利下げ開始などから、米国株式市場は2024年後半にかけて上昇しました。その結果、足元では米国株式は割安感が乏しくなったとの見方もあります。いよいよ第二次トランプ政権が始動する2025年、米国株はどのような展開を迎えるのでしょうか?米国株の解説でおなじみの村山が解説します。 (約26分)。 ※ 動画の終盤に言及している、「アンケート」について、当記事ではご回答いただけません。ご了承ください 。 ~ 講師紹介~ 村山 誠 シニア・ストラテジスト 1990年野村総合研究所入社、1998年に野村證券転籍。エクイティアナリスト、クレジットアナリストとして勤務。2011年6月より投資情報部で米国株ストラテジー担当。投資環境の分析、個別株の投資アイデアを提供。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ Q.2024年に新しくチャレンジしたことは? A.生成AIなどを利用した新しい情報収集。体を柔軟にすること。 Q.2025年にチャレンジしてみたいことは? A.2025年も新しい情報技術が出てくると予想されるので、それらの理解と活用。 Q.1日の仕事の中で「これだけは譲れない」と思う自分だけの時間やルーティンは? A.その日の米国株式市場の動向をまとめること。データの収集に加え、コメントも記述する。 Q.今の仕事を目指したきっかけは? A.高校生の時に読んだ経済学史の書籍。 ご投資にあたっての注意点
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01/03 07:00
【新春特集】2025年政治イベント・リスクの注目点(内外政治)
2024年に続き25年も政治の混乱が続く公算大米国で発足するトランプ次期政権の経済政策に注目ドイツの解散総選挙、国内の参議院選挙にも注意 2024年は、インフレに政治が振り回された1年でした。中低所得者の不満を解消できず、選挙で与党・現職が敗北、退陣するケースが多く、独裁政権の崩壊も生じています。25年も同様の状況が続くと見られます。新政権は、財政拡張、関税引き上げ、外国人労働者排除などの主張が目立ちます。本来インフレを抑えるなら、真逆の政策が有効ですが、不人気政策の実行は困難です。主張通りの政策ではインフレ鎮静化が遅れ、結果的に有権者の支持を失うリスクがあります。 地政学リスクとして、中東、ウクライナ、米中関係が引き続き注目を集めるでしょう。中東については、トランプ次期米政権が、イスラエルを支持し、対イラン金融制裁を続け、イラン孤立を試みると見られます。一方、パレスチナとイスラエルの戦いが続く限り、サウジアラビアなどイスラム教国がイスラエルと国交を結ぶ可能性は低いでしょう。そこで、イランは、パレスチナ自治区ガザ地区のハマス、イエメンのイスラム教ザイード派組織フーシ派、イラクのイスラム教シーア派の各組織など、代理勢力に戦いを続けるよう促すだろうと考えられます。イランとイスラエルの全面戦争こそ起こらないものの、24年4月、10月に見られたようなミサイルやドローン(無人機)による攻撃の応酬が、再び発生するリスクには注意が必要でしょう。アサド政権が崩壊したシリア情勢の混乱と相俟って中東情勢は安定しないと見られます。 トランプ次期米大統領は、ウクライナ紛争の停戦を目指しています。しかし、ロシアのウクライナ領占領を黙認し、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟を認めない停戦案になる可能性があります。こうしたウクライナが受け入れられない内容の場合、停戦は困難でしょう。ウクライナが停戦を拒んだとしてトランプ次期米大統領がウクライナへの軍事支援を停止する反面、欧州が支援を継続、対ロ制裁を強化すると見込まれます。 米中関係は、軍事衝突の可能性は低いと見られますが、通商上の対立が続き、改善は難しいでしょう。 次に先進国の政治状況を見てみます。 2024年11月に行われた米国の大統領・議会選挙では、トランプ候補(共和党)が当選し、上下院で共和党が過半数を獲得しました。しかし、トランプ次期大統領の得票率を踏まえると、政権発足当初から大統領支持率が低いことが見込まれます。トランプ次期政権が、早期に実績を示さなければ、26年の中間選挙(上下院選挙)では、共和党が上下両院で過半数を維持することは難しいでしょう。現在、下院での共和党議席数の民主党議席数に対するリードは5議席と僅差で、上院でも民主党の議事妨害を阻止出来るまでの議席数はありません。議会で実現できる経済政策には限りがあり、減税は、所得税減税の延長に留まる可能性があります。実績を早く示すために、トランプ次期政権は、議会を通さず、早期実現が見込める、対中関税の引き上げ、外国人労働者規制、バイデン政権の環境政策の撤回から着手するでしょう。このうち、関税引き上げや外国人労働者規制は、景気を押し上げない一方、インフレ圧力になりかねません。 ドイツでは25年2月23日に解散総選挙が行われ、政権交代する可能性が高いと見られます。第1党は中道右派のキリスト教民主同盟/キリスト教社会同盟(CDU/CSU)になると見込まれます。CDU/CSUは、社会民主党(SPD、中道左派)や自由民主党(FDP、中道派)と連立を形成すると見られ、財政規律の回復を図ろうとするでしょう。同盟90/緑の党(中道左派)は連立に参加しない見込みです。次期政権の下で、環境政策の見直しが図られ、エネルギーコストの抑制や自動車産業の立て直しを図ると見られます。 フランスでは、バルニエ内閣の不信任を受け、マクロン大統領が、新たにバイル首相を指名しました。しかし、与党が下院で少数である以上、主導権を握ることは困難でしょう。右派ないし左派はEU懐疑派で、財政拡張を主張しています。バイル首相が財政再建を主張すれば、バルニエ内閣と同様に不信任決議案によって退陣させられます。政権延命を目指せば、財政拡張を受け入れざるを得ません。今後も、フランスの財政再建は困難と見られます。 国内政治については、予算、税制、政治資金関連の法改正などを踏まえると、通常国会会期末の25年6月までは、与野党の議論が行われることから、第2次石破政権が続く可能性が高いと考えられます。同年7月の参議院選挙での石破首相、与党の目標は、与党過半数維持が目標と見られます。仮に、過半数割れとなった場合、石破首相が退陣し、国会運営の混乱が見込まれます。混乱回避のため、次期自民党総裁は野党との連立を目指すでしょう。野党の政策を受け入れる中で次期政権は財政拡張的になると見られます。一方、参議院で与党が過半数を維持する場合には、与党自らが解散総選挙を仕掛け、過半数奪還を目指すことになるでしょう。 図表1: 主要政治日程 (2025年) (出所)各種資料、各種報道より野村證券経済調査部作成 (野村證券経済調査部 吉本 元) ※野村週報 2025年新春特別号「内外政治」より ※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点