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11/09 19:00
【来週の米国株】トランプ氏再選&インフレ再燃で株価下落はあるか(11/9)
※執筆時点 日本時間11月8日(金)12:00 今週:トランプ氏再選でリスクオンムード ※11月1日(金)- 11月7日(木)4営業日の騰落 トランプ氏再選で株は大幅高 5日(火)、米国では大統領・議会選挙の投開票が行われ、大統領選挙では共和党トランプ前大統領の再選が確定的となりました。上院でも共和党が過半数を奪還、下院も共和党が優勢の模様です。 トランプ氏の優勢が伝えられた翌6日(水)の米国株式市場ではS&P500が前日比2.5%高、中小型株指数であるラッセル2000が同5.8%高となるなど、主要株価指数は大幅高となりました。 (注)大統領選挙日は、2016年11月8日、2020年11月3日、2024年11月5日。棒グラフの色は、当選した大統領の政党のイメージカラー(共和党は赤、民主党は青)。全ての業種・指数を網羅している訳ではない。 (出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 セクターの騰落でみると、従来から民主党が規制強化を主張したのに対して、共和党は規制緩和を公約に掲げたエネルギーや金融、法人税減税などの恩恵が期待される資本財の上昇が目立ちました。金利上昇から電力などの公益セクターは下落しました。共和党トランプ前大統領の再選に反応した、いわゆる「トランプトレード」とも解釈されますが、2020年の民主党バイデン氏の勝利の際もエネルギー、金融、資本財セクターの上昇が目立ちました。一方で、ディフェンシブ性の強い電力などの公益セクターは、過去3回とも大統領選挙後に下落しました。 選挙後の政策に対する不透明感から敬遠されていた、株式、中でも大統領選挙の論点に関連するセクターに投資資金が回帰したという点で、過去2回と同様の反応だったと言えます。 インフレ再燃→株価下押しの実現度は トランプ氏の大統領選勝利が伝わると、米長期金利(10年国債利回り)は4.2%台から4.4%台まで一時上昇しましたが、その後4.3%を挟んで落ち着いています。一般的にはトランプ氏の公約である財政出動と輸入関税の引き上げによるインフレ再加速が懸念されているとされますが、金利が一方的な動きとならない背景には、その後のFRB(米連邦準備理事会)の方針によって2つの金利シナリオが想定されることがあります。 ①FOMCが利下げに積極的な姿勢を継続する場合 目先FOMC(米連邦公開市場委員会)が利下げに積極的な姿勢を続けるなら、景気持ち直しが続き、トランプ政権は公約通り大幅な追加関税の賦課が容易となり、インフレが大きく上昇する可能性があります。結果的に利下げ停止、ないしは再利上げのリスクの可能性も否定できません。この場合、利下げ打ち止めとともに米金利は大幅上昇すると見込まれ、株価には下押し圧力となります。 ②FOMCが利下げに慎重姿勢へ転換する場合 これに対して、FOMCが即座に利下げに慎重姿勢に転じるなら、株価下落など金融環境の引き締まりにより景気は減速、トランプ政権は小幅な追加関税しか行うことができなくなると想定されます。この場合、インフレ再燃のリスクが相対的に低下しやすく、利下げ見送りが一時的なものとなり、利下げ再開とともに米金利は低下傾向をたどり、金利を経由した株価の下押し圧力が弱まると考えられます。 パウエル議長は7日(木)に開かれたFOMC(結果は0.25%ポイント利下げで市場予想通り)で、米大統領選に関連する質問について、当面の金融政策決定に「何ら影響しない」と回答し、財政政策が変わる可能性について、その時期や内容を理解するには時期尚早だと指摘しました。 大統領選の裏側で進む決算、焦点は「資本財」 2024年7-9月期の決算は全体として見れば市場予想対比やや弱めとなりました。これを受け、2024年通年のEPS(一株当たり利益)に対する市場予想では緩やかに下方修正が進みました。もっとも、EPS予想は年を通じて下方修正される傾向があり、過去の平均的な動きと比べれば底堅く推移しています。 セクター別には、引き続き情報技術・コミュニケーション・ヘルスケアセクターがEPSを下支えする構図です。 マグニフィセント7のうち決算を公表した6社の業績は、一部の銘柄では先行きに対する不透明感を嫌気した株価下落の反応も見らたものの、実績自体は旺盛なAI需要を背景に堅調でした。一方、米国ISM製造業景気指数などマクロ指標と関連の強い資本財セクターの業績は、品質問題・ストライキの悪影響があったボーイングを除いても、大統領選に向けた不透明感から設備投資が手控えられていることにより、やや軟調となりました。 今後の株式相場は、短期的には政治要因により上下に振れる可能性はあるものの、資本財の回復等により企業業績の底堅さが増せば株価の上昇要因として寄与すると見込まれます。 来週:FRBの姿勢&8-10月期決算が重要 FRB高官発言に注目 米国では、12日(火)~14日(木)にパウエルFRB議長を含む複数のFRB幹部による講演が予定されており、選挙戦後の金融政策を占う上で注目されます。米国の経済指標では、13日(水)に10月のCPI(消費者物価指数)、14日(木)にPPI(生産者物価指数)、15日(金)に11月NY連銀製造業景気指数、10月小売売上高、10月鉱工業生産など重要統計の発表が相次ぎます。ただし、市場の関心はトランプ大統領誕生後のインフレや景気への影響に移っており、足元の経済指標よりもトランプ氏の発言などに株価が左右される展開も想定されます。 8-10月期決算スタート 米国の個別企業では、早くも8-10月期決算発表がスタートします。12日(火)はホームセンター大手のホーム・デポ、13日(水)はIT大手のシスコ・システムズに注目が集まります。20日(水)に決算発表を予定しているエヌビディア等テクノロジーの集中週である再来週以降に向けて、決算動向に変調がないか確認したいと考えます。 (編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課) ご投資にあたっての注意点 要約編集元アナリストレポートについて 野村オリジナル記事の配信スケジュール
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11/09 12:00
【オピニオン】あなたは配当と自社株買い どちらが好きですか?
※画像はイメージです。 2023年3月の東京証券取引所による、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請から1年半強が経過しました。要請は、株主還元の充実や、政策保有株の見直し、資産効率の向上など多岐にわたる企業行動を促すものですが、中でも企業がコントロールしやすい配当や自社株買いなど株主還元の拡充が特に活発に行われているようです。 実際、現時点で70%近い企業が前年度実績に対し増配すると見込まれており、この比率は下期にさらに上積みされることは確実です。また、自社株買いも2024年9月末段階で10.4兆円となっており、すでにこれまでの年度で過去最高であった2023年度(9.9兆円)の実績を大きく上回っています。 このように積極姿勢に転じた日本企業の株主還元ですが、国際的な水準には達していません。2023年度の日本企業の総還元性向は50%台半ばに留まり、主要国・地域平均の74.6%に比べ劣後しています。野村證券では2024年度には日本企業の総還元性向は60%程度まで高まると予想していますが、それでも国際標準には及びません。当面、日本企業の株主還元強化の流れは続きそうです。 さて、その際企業は、配当と自社株買いのどちらを優先するべきでしょうか?実は総還元性向とPBRの関係は意外に曖昧です(下左図)。総還元性向が高くても、すべての国・地域が高PBRとなっているわけではなく、また最も総還元性向の高い英国のPBRは日本と大差ありません。「無理して株主還元を増額しても意味ないのでは」という声が聞こえてきそうですが、総還元性向とPBRの関係が曖昧な理由の一つに、総還元性向に占める配当の比率とPBRの関係が意外に強固であることが考えられます(下右図)。 同じ株主還元でも、自社株買いと異なり、配当は自己資本の積み上がりは抑制できても、自己資本の圧縮には(多くの場合)つながりません。洋の東西を問わず、自社株であっても割安な資産に投資する、外部に有利な投資先が見つかれば(一時的に自社株買いを減らしてでも)資金を振り向ける、企業のアニマルスピリットを株式市場ではPBRという形で評価しているのでしょう。 東証が促している、「ROEの向上とそれに伴うPBRの上昇」に的を絞れば、配当よりは自社株買いのほうを投資家は望んでいる、と言えそうです。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)MSCI World 指数を構成する時価総額(2024年9月末時点)10億ドル以上の各国・地域企業が対象。総還元性向、および総還元に占める配当の比率は過去5会計年度の合計値から算出している。(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成 MSCIデータの利用に関する注意事項本資料中に含まれるMSCIから得た情報はMSCI Inc.(「MSCI」)の独占的財産です。MSCIによる事前の書面での許可がない限り、当該情報および他のMSCIの知的財産の複製、再配布あるいは指数などのいかなる金融商品の作成における利用は認められません。当該情報は現状の形で提供されています。利用者は当該情報の利用に関わるすべてのリスクを負います。これにより、MSCI、その関連会社または当該情報の計算あるいは編集に関与あるいは関係する第三者は当該情報のすべての部分について、独創性、正確性、完全性、譲渡可能性、特定の目的に対する適性に関する保証を明確に放棄いたします。前述の内容に限定することなく、MSCI、その関連会社、または当該情報の計算あるいは編集に関与あるいは関係する第三者はいかなる種類の損失に対する責任をいかなる場合にも一切負いません。MSCIおよびMSCI指数はMSCIおよびその関連会社のサービス商標です。 ご投資にあたっての注意点
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11/09 09:00
【注目トピック】ドル円相場のチャート分析、二番天井形成に向けた動きか
※画像はイメージです。 ドル円相場のチャート分析 再び円安ドル高が進行中 2024年9月中旬から円安ドル高が急速に進行しています。米国景気に対する過度な懸念が和らぎ、市場での米国の大幅利下げ観測が後退したことに加え、米大統領選での共和党トランプ氏優勢との見方(いわゆるトランプ・トレード)が円安ドル高進行に拍車を掛けた模様です。 チャート面から見ると、ドル円相場は24年7月3日に1ドル=161.94円の高値を形成後に急落し、9月17日には140.34円まで下値を切り下げましたが、その後は反発に転じ、10月下旬には7~9月の下落幅の半値戻し水準(151.14円)や52週移動平均線(11月6日:150.40円)、22年10月高値(150.48円)や23年11月高値(151.80円)など多くのフシが集中する150~152円の価格帯を上抜けてきました(図表1、2)。強固な上値の壁と見られた同水準を難なく突破したことは、足元の円安(ドル高)圧力の強さを物語るものと言えそうです。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2024年11月6日時点。数値は日銀公表値で東京市場、取引時間中ベース。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。(出所)日本銀行より野村證券投資情報部作成 (注1)直近値は2024年11月6日。 数値は日銀公表値で東京市場、取引時間中ベース。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本銀行より野村證券投資情報部作成 二番天井形成に向けた動きか 一方、長期チャートを見ると、ドル円相場はこれまで7~9年ごとに天井(円安のピーク)を形成してきたサイクル高値を、24年7月高値(161.94円)で付けた可能性があることには注意が必要です。前回のサイクル高値となった2015年6月高値(125.66円)から24年7月高値までで、すでに約9年(110ヶ月)が経過しています。1970年代以降から続く相場のリズムに従えば、さらなる日柄延長は考えにくい時間帯に入っています(図表3)。その場合、今回の9月中旬以降の円安ドル高の動きは、24年7月高値(=天井)に次ぐ二番天井の形成に向けた動きと捉えることが妥当となります。今回の米国大統領・議会選挙の結果はドル高要因と捉えられますが、チャート面からは、ドル円相場がこの先24年7月高値(161.94円)を更新して円安進行に歯止めが掛からなくなる、という円安加速シナリオの実現性は高くないと見ています。 (注1)直近値は2024年11月6日。 数値は日銀公表値で東京市場、取引時間中ベース。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端含み。(出所)日本銀行、日本相互証券、FRB、Wall Street Journalより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 山内 正一郎) ご投資にあたっての注意点
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11/09 07:00
【来週の予定】「トランプトレード」はしばらく継続するか
来週の注目点:米中の主要経済指標、FRB高官発言 前週の米国では、大統領・議会選挙で共和党のトランプ氏の再選が確実となり、上院でも共和党が過半数を奪還、下院も共和党が優勢の状況です。次期政権による減税等への期待から米国株は上昇、米国債市場では長期金利を中心に上昇し、為替市場でもドルは主要通貨に対して全面高となりました。 このような「トランプ・トレード」はしばらく継続すると見られますが、次第に、次期政権における期待とリスクを足元の経済環境と金融政策に織り込む相場展開に移行すると見ています。次期政権が志向する減税や規制緩和は景気を後押しする一方、関税引き上げなどの通商政策、移民規制はいずれもインフレ圧力を高め、かえって経済成長を下押しする可能性もあります。また、トランプ氏は金融政策への介入を強める意向で、FRBの独立性を揺るがす恐れがあります。 米国では、12日(火)~14日(木)にパウエルFRB議長を含む複数のFRB幹部による講演が予定されており、今後の金融政策を占う上で注目されます。米国の経済指標では、13日(水)に10月CPI(消費者物価指数)、14日(木)に10月PPI(生産者物価指数)、15日(金)に11月NY連銀製造業景気指数、10月小売売上高、10月鉱工業生産など重要統計の発表が相次ぎます。 日本では、11日(月)に10月日銀金融政策決定会合における主な意見、10月景気ウォッチャー調査、15日(金)に7-9月期実質GDP(1次速報値)が発表されます。7-9月期実質GDP成長率は前期比年率-0.5%(市場予想は同+0.6%)と、2四半期ぶりのマイナス成長に転じると野村では予想します。 ユーロ圏では、12日(火)にドイツの11月ZEW景況感調査が発表されます。ドイツの景況感に底打ちの兆しが見えれば相場の下支えとなります。 中国では、15日(金)に10月小売売上高、鉱工業生産、1-10月固定資産投資、不動産投資などの主要月次経済統計が発表されます。野村では、景気刺激策の効果による消費者心理の改善が消費の押し上げに寄与したと見ています。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年11月8日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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11/08 16:30
【野村の夕解説】米利下げで円高が進み、日経平均は小幅高に留まる(11/8)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前日の米国株式市場では、5日に行われた米大統領選で勝利したトランプ氏による規制緩和への期待が継続し、ハイテク株を中心に上昇しました。また、一昨日から開かれていたFOMCでの利下げ決定を織り込んだ米国金利の低下も追い風となり、S&P500指数とNASDAQ総合指数は史上最高値を更新しました。米国株高を受けて、本日の日経平均株価は前日比402円高の39783円で取引を始めました。しかし、米国金利の低下を受けて、ニューヨーク為替市場で円高米ドル安が進み、東京為替市場でもこの流れが続いたことから、日経平均株価は徐々に上げ幅を縮小し、一時は下落に転じる場面もありました。前日終値から上昇は確保したものの、朝方の勢いを失った日経平均株価は、前日比118円高の39,500円で本日の取引を終えました。個別銘柄では、円高進行を受けてトヨタ自動車が前日比-3.60%となったほか、前日引け後に決算を発表し、通期業績予想を下方修正した太陽誘電が前日比-15.96%と下落が目立ちました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、米国で11月ミシガン大学消費者マインド指数の速報値が発表されます。米国の消費動向を見る上で注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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11/08 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価、米大統領選挙後に大幅上昇、再び4万円台が視野に
※画像はイメージです。 ※2024年11月7日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日柄調整をこなし、年末にかけて戻し相場入りが期待される 今週の日経平均株価は、6日の場中に米大統領選挙でトランプ氏優勢との報道を受け、大幅上昇となりました。ただ、7日は伸び悩む展開となりました。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、10月27日の衆議院選挙後はイベント通過による買い戻しが広がり、30日高値(39,417円)にかけて値を戻しました。 その後、一旦押しを入れましたが、11月6日に大統領選挙でトランプ氏優勢が伝えられる中、株価は大幅上昇となり、25日移動平均線(11月7日:38,852円)を奪回して、10月30日高値(39,417円)も上回りました。 各種テクニカル指標面に過熱感はなく、今後10月15日高値(40,257円)を目指す展開が期待されます。同高値を上放れとなれば、9月下旬以降の保ち合い上限を上抜けることになるため、上昇に弾みがつくと考えられます。 一方、目先の上値が重く再度25日線を割り込んで調整となる場合は、200日線(11月7日:38,437円)や75日線(同:37,909円)などが下値メドになると期待されます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2024年11月7日。 (注2)日柄は両端を含む。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 8月に急落した日経平均株価は、9月・10月も振れ幅の大きい動きがみられていますが、10月高値までの上昇で底入れパターンであるダブルボトムが完成し、さらに8月5日の安値から約3ヶ月が経過し日柄調整も十分となっています(図2)。今後徐々に落ち着きを取り戻し、年末にかけて本格的な戻し相場入りとなることが期待されます。 (注1)直近値は2024年11月7日時点。 (注2)下落局面はすべてを網羅しているわけではない。(注3)ブラックマンデーや、コロナショック時や今回の下落局面は、直前の高値を起点とした。リーマンショックは2008年9月15日であり、その前営業日を起点とした。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 米大統領選トランプ氏勝利、NYダウは史上最高値へ 米国大統領選挙においてトランプ氏が勝利宣言をしました。選挙結果を織り込む過程で、米株高、米長期金利上昇、円安・ドル高へ振れており、金融市場で投資家がリスクをとる姿勢を示す、いわゆる「リスクオン」の様相を呈しています。 NYダウは、11月6日に前日比で1,508ドル高の大幅上昇となり、史上最高値を更新しました(図3)。トランプ氏の掲げる、法人税減税や規制緩和期待が株式市場から評価されている模様です。今回は、NYダウの先行きについて、チャート面から考えてみてみましょう。 (注1)直近値は2024年11月6日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)ブルームバーグ、S&P ダウジョーンズ・インデックス社より野村證券投資情報部作成 まず、過去3回の大統領選挙とNYダウの中長期トレンドについてみてみましょう(図4)。2012年、16年、20年の米大統領選挙のケースでは、株価は選挙日までは直前の高値前後での推移でしたが、選挙後にはそれらの水準を明確に上放れし、中長期上昇トレンド入りとなりました。 今回は既に中長期上昇トレンド入りとなっていますが、今後上昇に弾みがつき、中長期上昇トレンドが一層明確となることが期待されます。 次に、上昇余地を考える上で、過去のNYダウの中長期上昇局面をみてみましょう。2009年安値形成後に5回(図4中①~⑤)の上昇局面がありましたが、コロナショックで高値形成となった局面(同:④)を除けば、株価は安値から1.7~2.0倍となっています。 仮に上昇倍率1.7倍を2022年9月安値に当てはめて計算した場合、48,832ドルと試算され、今後も上昇の余地があると考えられます。 (注1)直近値は2024年11月6日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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11/08 08:45
【速報】FRBが追加利下げを決定、トランプ氏再選後の野村の金融政策見通しは?
FRBは予想通り0.25%ポイントの利下げを実施 FRBは2024年11月6-7日にFOMCを開催し、大方の予想通り0.25%ポイントの利下げを決定し、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を4.50-4.75%に引き下げました。会合後の記者会見でパウエル議長は「今回の政策スタンスのさらなる調整は、経済と労働市場の強さを維持する一助となる」との考えを示しました。また、大統領選挙の結果は当面の金融政策決定に「何ら影響しない」と利下げ姿勢の継続を示唆しました。 米大統領・議会選挙の結果を受けて金融政策見通しを改定 2024年11月5日に行われた大統領・議会選挙では、トランプ氏の再選が確定的となりました。上院でも共和党が過半数を奪還、下院も共和党が優勢の模様です。この結果を受けて野村證券では米国の金融政策見通しを改定しました。1回当たりの利下げ幅を0.25%ポイントとして、2024年中は1回(12月)との見通しを据え置く一方、25年は、従来の3月から3ヶ月毎に4回の利下げ予想を3月1回のみへと変更しました。26年に関しては1-3月期、4-6月期に各1回ずつの利下げを予想します。結果、政策金利の誘導目標は24年末が4.25-4.50%、25年末が4.00-4.25%、26年末は3.50-3.75%になります。併せて、政策金利の着地点に関しても3.00-3.25%から3.50-3.75%へ上方修正しました。 米国の金融政策に対する野村證券の見通し (出所)ノムラ・セキュリテーズ・インターナショナル(NSI)より野村證券投資情報部作成 見通し変更の主因はトランプ氏が掲げる輸入関税の引き上げです。減税などの財政政策は議会での承認が必要になりますが、輸入関税の引き上げは大統領令で可能なことから、新政権発足後、早々に実施されることが予想されます。野村證券では25年半ばに対中輸入関税を60%、その他の輸入関税を10%へ引き上げると想定し、コアPCE(食品・エネルギーを除く個人消費支出)デフレーターの見通しを、25年は前年比+3.2%、26年は同+2.7%(修正前は同+2.3%、同+2.1%)へ上方修正し、それに伴って金融政策見通しを改定しました。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) ご投資にあたっての注意点
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11/08 08:37
【野村の朝解説】ハイテク株中心に上昇 FRBは追加利下げ(11/8)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 7日の米国株式市場でNYダウは3営業日ぶりに小反落しました。米大統領選挙で共和党候補のトランプ前大統領が勝利を確実にし、次期政権による減税や規制緩和が進むとの期待から、前日に史上最高値を更新したこともあり、主力株を中心に売りが優勢となりました。一方、FOMCでFRBが利下げを決定したことを受け、米10年国債利回りが低下したことなどから、成長期待の高いハイテク株比率の高いナスダック総合指数は続伸し、史上最高値を更新しました。 相場の注目点 FRBは7日、予想通り0.25%ポイントの利下げを決定しました。利下げの決定は、前回の9月に続き2会合連続となりますが、9月の0.5%ポイントからの利下げペースは減速しました。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で、「中立金利への引き下げを急ぐ必要はない」とした一方、今回の利下げ後も「政策は依然景気に抑制的」、「FOMCはより中立的な姿勢に向かう軌道にある」と発言しており、利下げ継続の姿勢が示唆されました。また、大統領選挙の結果について「短期的には我々の政策決定に影響を与えない」と述べました。野村證券では、米国の金融政策について、FRBは2024年12月に0.25%の利下げ、2025年は1回の利下げ(3月に0.25%ポイント)を決定する、と予想しています。 本日のイベント 米国大統領選挙、FOMCと重要イベントを通過し、市場の焦点はピークを迎える日本企業の決算発表へ移るとみられます。本日は、機械や不動産などの主力企業を中心に500社を超える企業が決算発表を予定しています。 (野村證券 投資情報部 澤田 麻希) (注)データは日本時間2024年11月8日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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11/07 08:10
【速報】トランプ氏再選で米株大幅高、政策実現への期待が高まる
米大統領・議会選挙はトランプ氏が再選、上院も共和党が過半数を奪還 2024年11月5日、米国では大統領・議会選挙の投開票が行われ、大統領選挙ではトランプ前大統領の再選が確定的となりました。上院でも共和党が過半数を奪還、下院も共和党が優勢の模様です。この結果を受けて11月6日の米国株式市場ではNYダウが前日比1,500ドル超の上昇をするなど、主要3指数は大幅高となりました。米国債市場では長期金利を中心に利回り曲線全域にわたって金利が上昇し、10年国債利回りは4.43%で引けています。為替市場でもドルは主要通貨に対して全面高となり、開票前に1ドル=151円台半ばで推移していたドル円相場は、足元では154円台半ばまで上昇しています。 今回も拡張財政、対中関税引き上げ、移民規制強化などインフレ的な政策が並ぶ 金融市場では「トランプトレード」の様相を呈しています。その背景にあるトランプ氏が掲げた主要政策を確認すると、法人減税や個人所得減税の延長などの拡張財政政策、関税引き上げを中心とした通商政策、大規模な不法移民の強制送還などの移民規制など、前回のトランプ政権時と共通した政策が並んでいます。これらの政策はいずれも米国内のインフレ圧力を高めることが予想されることから、米国では金利上昇とドル高につながったと見られます。株式市場にとっては、プラスマイナス両面がありますが、減税や規制緩和への期待が株高につながったと見られます。ただし、減税などの財政政策は議会での承認が必要な一方で、輸入関税の引き上げや移民規制強化は大統領令で実施可能だとみられることから、2025年の新政権発足後は、株価に対してネガティブな影響が先行して顕在化する可能性もあります。 新旧トランプ政権下での主要政策の比較 (注)全てを網羅している訳ではない。(出所)各種報道より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) ご投資にあたっての注意点