特集
457件
-
2024/11/20 08:35
【野村の朝解説】ウクライナを巡る地政学リスクでNYダウ続落(11/20)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 19日の欧米の金融市場では、ウクライナ軍によるロシアの軍事施設へのミサイル攻撃を契機に地政学的な緊張が高まり、株式などリスク資産から安全資産へと資金を移す「質への逃避」の動きが見られました。欧州市場では独国債が買われ、欧州株は下落しました。米国市場でも米10年物国債利回りが一時4.33%台まで低下し、NYダウは一時下げ幅を450ドルまで広げました。その後、ウクライナを巡る緊張の緩和や、寄り前発表の米小売大手ウォルマート(WMT)の好決算が好感されたことを受けて株価は切り返し、20日に決算発表を迎えるエヌビディア(NVDA)などテクノロジー株の上昇も相場の支えとなりました。NYダウの終値は前日比0.27%安となりましたが、テクノロジー株比率が高いナスダック総合は続伸となりました。為替市場でもリスク回避の動きが強まり、一時1ドル=153円台前半まで円高となりましたが、その後154円台後半まで値を戻しました。 相場の注目点 ウクライナ軍は19日(ウクライナ侵攻開始から1000日目に相当)、米国から供与された長距離地対地ミサイル「ATACMS」でロシア西部の軍事施設を攻撃しました。同ミサイルによるロシア領内への攻撃は初めてです。これに対してロシアのプーチン大統領が通常兵器による大規模攻撃に対する核の使用を可能にする大統領令に署名したと伝わり、緊張が高まりました。その後、ロシアのラブロフ外相が「核戦争が起きないというのがロシアの立場だ」と発言し、核戦争の勃発を阻止する意向を示したことで、緊張が緩和しました。なお、ユーラシアグループの報道によればロシアが戦術核兵器を使用する可能性は非常に低いとしています。今後もウクライナを巡る地政学リスクには注意が必要です。その他には、AI向け半導体大手のエヌビディアが20日、決算発表を行います。AIビジネスの現状と持続可能性の観点から注目されます。 (野村證券 投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2024年11月20日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
-
2024/11/19 16:42
【野村の夕解説】日経平均株価小幅反発、193円高 (11/19)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は前日比175円高の38,396円で始まりました。昨日の米国ハイテク株高の流れを引き継ぎ、値がさの半導体関連株が上昇し相場をけん引しました。また、今週は主要な経済指標の発表が予定されていないなか、好決算を発表した企業が改めて注目され、上昇しました。取引時間中には前日比339円高となる場面もありましたが、20日(水)に米半導体大手エヌビディアの決算発表を控えていることから、次第に様子見の姿勢が広がり、終値は前日比193円高の38,414円と小幅反発となりました。 昨日は日銀植田総裁による講演が行われ、市場では早期の利上げを示唆するものではなかったと受け止められました。ただ本日は場中に円安が進行したことから、利上げ圧力の高まりが再度意識され、日本の長期金利が上昇するとの思惑から、業種別では銀行株が上昇しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では本日、10月住宅着工・建設許可件数、21日(木)に11月中古販売件数と住宅関連指標の発表が予定されています。9月中旬以降、米国景気の堅調推移を受けて長期金利が再上昇し、住宅ローンへと波及していることからその影響が注目されます。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
-
2024/11/19 08:26
【野村の朝解説】規制緩和期待で米テクノロジー株が上昇(11/19)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 18日の米国株式市場では、ナスダック総合指数が反発した一方、NYダウは続落しました。FRBによる利下げ期待の後退が相場を下押ししていますが、次期トランプ政権による規制緩和への期待がテクノロジー株の一部の上昇につながり、全体を押し上げました。個別銘柄では、次期政権が自動運転に関する規制の整備を計画していると伝わったことを受けてテスラ(TSLA)が上昇しました。一方、次世代AI半導体「ブラックウェル」を搭載したサーバーに放熱の問題があったと伝わったエヌビディア(NVDA)は、新製品の投入の遅れが懸念され下落しました。為替市場では、前日の講演で日銀の植田総裁が12月会合で利上げを行うかのヒントを示さなかったことが円安ドル高につながり、一時は1ドル=155円を突破しましたが、その後154円台後半に値を戻しました。 相場の注目点 米国株は、20日発表のAI向け半導体大手のエヌビディアの決算待ちの状況です。AIビジネスの現状と持続可能性の観点から注目されます。同社の業績やガイダンスに加え、投入の遅延が懸念される新型のAI向け半導体に関する発言に注目です。内容次第では、国内の半導体関連銘柄への影響を通じて、相場全体が大きく振れる可能性があります。他方、日本では、決算発表が一巡し、日米共に市場を動意づけるような経済指標の発表が予定されていない中、引き続きトランプ次期政権の閣僚人事や、日米の金融政策に注目が集まります。前日の日銀植田総裁による講演では12月会合に向けた利上げの明確な地ならしは行われませんでしたが、日米の経済指標や金融市場に大きな変調がなければ、日銀は12月会合で利上げを実施すると野村では見ています。植田総裁は21日にも講演を予定しており、注目です。 (野村證券 投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2024年11月19日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
-
2024/11/18 19:00
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(11月第3週)
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2024年11月第3週(2024年11月8日~11月15日) 2024年11月月間(2024年10月31日~11月15日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年11月15日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年11月15日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2024年11月第3週(2024年11月8日~11月15日) 2024年11月月間(2024年10月31日~11月15日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年11月15日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年11月15日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2024年11月15日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
2024/11/18 16:45
【野村の夕解説】米国ハイテク株安を引き継ぎ、日経平均株価422円安(11/18)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前週末の米国市場では、相次ぐ好調な経済指標の発表を受け、FRBによる利下げの鈍化懸念が浮上しました。米国長期金利は高止まりとなり、半導体株をはじめハイテク株の下落が重石となり主要3指数は揃って下落しました。その流れを引き継ぎ、本日の日経平均株価は前週末比383円安の38,259円で取引を開始しました。東京エレクトロンなどのハイテク株の下落や一時1米ドル=153円台まで進行する円高が重石となりました。10時過ぎに、植田日銀総裁が講演で今後の金融政策は「先行きの経済、物価、金融情勢次第だ」とコメントした事が伝わりました。12月の金融政策決定会合での追加利上げへの警戒が和らぎ、日経平均株価は下げ幅を縮小する場面もありました。しかし、その後は材料難で概ね38,200円台で膠着状態となり、前週末比422円安の38,220円で取引を終了しました。トランプ次期米大統領が厚生長官にロバート・ケネディ・ジュニア氏を起用すると発表したことで、米国保険行政への不透明感が高まり、世界的に医薬品株が下落しました。東証33業種別では、医薬品が前週末比ー3.64%と下落率のトップとなりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、米国でシカゴ連銀グールズビー総裁の講演予定があります。米国金融政策についての発言が注目されます。 (野村證券投資情報部 神谷 和男) ご投資にあたっての注意点
-
2024/11/18 08:22
【野村の朝解説】ハイテク関連株中心に米国株は続落(11/18)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 15日の米国株式市場では、主要3指数が揃って続落しました。米国株は大統領・議会選挙の結果を受けて上昇基調を辿り、主要3指数は11日に最高値を記録しましたが、その後は冴えない展開が続いています。NYダウ、S&P500は12日以降、4営業日中3営業日で下落、ナスダック総合は4営業日連続で下落しています。パウエルFRB議長が14日の講演で「利下げを急ぐ必要はない」と発言したことを受けて、市場の利下げ観測が後退したことが足元で米国株の重石となっています。ただし、パウエル議長は米国景気の堅調推移を根拠に挙げていることから、市場では選挙結果を受けた「行き過ぎた期待の巻き戻し」との見方もあるようです。ドルは過半のG10通貨に対して下落し、対円では日本時間には156円台半ばで取引されていましたが、米国市場では一時154円近辺まで下落し、154円半ばまで戻して引けました。 相場の注目点 15日もボストン連銀のコリンズ総裁が「いずれ利下げペースを減速させる必要がある」と発言するなど、利下げペース減速に関してはFRB内でもコンセンサスが形成されつつある様子がうかがわれます。このため、12月のFOMCでは利下げ実施の有無と同時にFRBの政策金利見通しが注目を集めそうです。問題は、現時点ではトランプ政権の掲げる政策の影響を織り込むことができない点です。トランプ政権の政策は多分にインフレ的な要素を含んでいることから、市場では早晩利下げは打ち止めととの見方も浮上しています。この点を踏まえると、12月FOMCで思い切った見通し変更は示されない可能性が高いと考えられます。日本では与党と国民民主党の政策論議の行方が注目されます。国民民主党に対してどの程度譲歩するのかを含め、今後の政局の行方を占う上で石破首相の政権運営が市場の関心を集めそうです。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2024年11月18日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
-
2024/11/17 12:00
【銘柄特集】2024年10月IPO銘柄のパフォーマンスと11月IPO銘柄の紹介
2024年10月のIPO銘柄のパフォーマンスと、今後のIPOの予定を紹介します。 10月IPO銘柄のパフォーマンス 10月1日 上場シマダヤ(250A)市場区分:スタンダード事業内容:麺類及び関連食料品の製造及び販売 10月8日 上場ケイ・ウノ(259A)市場区分:名証ネクスト事業内容:ジュエリー・時計の製造販売、オーダーメイド、リフォーム、修理 10月11日 上場オルツ(260A)市場区分:グロース事業内容:デジタルクローンP.A.I.の開発を最終目的とした要素技術の研究開発とそれらを応用した製品群(Communication Intelligence「AI GIJIROKU」等)の展開、AIソリューションの提供 10月16日 上場日水コン(261A)市場区分:スタンダード事業内容:上下水道を中心とした水に関する建設コンサルティング 10月18日 上場インターメスティック(262A)市場区分:プライム事業内容:眼鏡レンズ、眼鏡フレーム、サングラス等の製造販売及び輸出入眼鏡・コンタクトレンズのケース、クリーナーその他の眼鏡・コンタクトレンズ付属品の製造販売及び輸出入 10月21日 上場伸和ホールディングス(7118)市場区分:札証アンビシャス事業内容:飲食事業として「炭火居酒屋炎」、物販事業としてお持ち帰り専門店「美唄焼鳥・惣菜炎」の展開、冷凍加工食品の卸売 10月22日 上場Schoo(264A)市場区分:グロース事業内容:個人・法人向けオンライン動画学習サービスの提供 10月23日 上場東京地下鉄(9023)市場区分:プライム事業内容:1. 旅客鉄道事業の運営 2. 都市・生活創造事業の運営(・ 流通事業(駅構内店舗、商業施設の運営等)・ 不動産事業(オフィスビルの賃貸等)・ 情報通信事業(光ファイバーケーブルの賃貸等)) 10月25日 上場リガク・ホールディングス(268A)市場区分:プライム事業内容:X線技術等を用いた理科学機器の製造・販売 10月28日 上場Hmcomm(265A)市場区分:グロース事業内容:音声認識処理、異音検知・自然言語解析処理を用いたプロダクトの提供等 10月29日 上場Sapeet(269A)市場区分:グロース 事業内容:Expert AI を活用したAI プロダクト及びAI ソリューションの提供 (注)初値及び直近月末終値が公開価格に対して上回っているものは赤、下回っているものは青で表示。(出所)日本取引所グループのウェブサイト、各新規上場会社の有価証券届出書等公表情報を基に野村證券作成 11月IPO銘柄の紹介 11月22日 上場ガーデン(274A)市場区分:スタンダード事業内容:M&Aを活用した「壱角家」や「山下本気うどん」などの飲食事業 11月28日 上場ククレブ・アドバイザーズ(276A)市場区分:グロース事業内容:AIを活用したCRE(企業不動産)に関するソリューションの提供及び不動産テックシステムの開発・販売 2024年11月29日から12月5日のいずれかの日(上場日の4営業日前までに決定予定)グロービング(277A)市場区分:グロース事業内容:コンサルティングサービスを提供するコンサルティング事業及び各種SaaSを提供するクラウドプロダクト事業 11月29日 上場Terra Drone(278A)市場区分:グロース事業内容:測量・点検・農業等におけるドローンを含むハード・ソフトの開発及びサービスの提供、安全かつ効率的なドローンや空飛ぶクルマの運航を管理するためのシステム(UTM)の開発・提供 (注1)TOKYO PRO Marketの新規上場会社は含まれない。(注2)全てを網羅しているわけではない。(注3)11月のIPO銘柄は、11月5日時点での予定。(出所)日本取引所グループのウェブサイト、各新規上場会社の有価証券届出書等公表情報をもとに野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
2024/11/17 09:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅡ:第5回 そもそもクロスはなぜ起きる?
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 今回は、クロスが起きる理由について説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
-
2024/11/16 12:00
【注目トピック】日本株決算レビュー、踊り場から再加速の可能性を探る
※画像はイメージです。 日本:2024年7-9月期決算レビュー 2024年7-9月期の方向性がほぼ定まる 2024年7-9月期決算がほぼ固まりました。ラッセル野村Large Cap(除く金融)では、売上高が前年同期比+3.8%、営業利益は同+7.0%となった模様です。事前のコンセンサス予想である、売上高で同+3.6%、営業利益で同+3.2%をいずれも上回って着地しました。 7-9月期は生産活動が踊り場であったことに加え、為替も円高気味で推移したことから、増収率は前四半期より低下しました。ただ、前年度より引き続き、コスト増を自らの製品・サービス価格に転嫁する動きは続いており、増収率に比べて比較的高い営業増益率を確保することができました。 ただ、経常利益は同-9.2%と減益となりました。ラッセル野村Large Cap(除く金融)の経常利益が減益となるのは、2022年10-12月期以来となります。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の四半期・増収率および営業増益率、経常増益率の推移。(注2)2024年4-6月期までは実績値、2024年7-9月期は、2024年11月12日までに決算発表を終えた企業を対象にしている。(注3)2022年7-9月期以降はソフトバンクグループを集計から除外している。2024年1-3月期以降はさらに公益セクターに属する企業を除外している。(出所)QUICKなどより野村證券投資情報部作成 業績は製造業中心に踊り場感が 業種レベルでは、2024年7-9月期は決算シーズン入り前には(下図、上)、①中国のデフレ輸出の影響から素材業種で減益となるものの、②生成AIやスマホの回復などから機械や電機・精密が業績をけん引する。③コスト増の影響が大きい内需・サービス業種はやや苦しい、展開が見込まれていました。 実際には、①素材業種では中国のデフレ輸出の影響は意外に軽微であったものの、②自動車が型式認証不正や米国でのインセンティブ増加の影響などから大幅な減益要因となりました。一方、③内需・サービス業種では想定以上に価格転嫁が順調に進んだ結果、薄く広く全体の営業増益に寄与しました(下図、下)。 2023年年央以降、我が国の業績のモメンタムは、製造業/非製造業問わずほぼ全業種で強く、業績のけん引役が一部業種に限られる欧米とは一線を画してきました。ただ、今回の決算では、主力製造業の業況観に格差が生じているとも見えることから今後の展開が気になるところです。 (注)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の2024年7-9月期営業利益の業種別増減益寄与額。上段は、2024年9月末時点の市場コンセンサス予想で、コンセンサス予想が存在している企業のみ集計している。下段は、実績値で、2024年11月12日までに決算発表を終えた企業を集計している。数値はいずれも、実際の営業利益およびその増減額を、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の前年同期営業利益総額を100として指数化している。(出所)野村證券投資情報部作成 製造業の今後の業績の方向性は? 製造業の2024年7-9月期が不本意な結果となった理由としては、製造業の業績に影響が大きい、為替と生産がともに業績ドライバーとして機能しなかったことに尽きるでしょう。7-9月期は、米ドル円レートが前年同期に対して1.5円/米ドル程度円高(期中平均)、鉱工業生産は前年同期比-1.3%となりました。 ただ、生産活動については今後2024年度下期以降、急速に回復感を強めてゆくことが予想されており、今回の決算を契機に製造業が業績のけん引役から滑り落ちる公算は小さいと考えられます。 (注1)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の営業増益率の四半期の推移。2024年4-6月期までは実績値、2024年7-9月期は、2024年11月12日までに決算発表を終えた企業を対象にしている。2024年10-12月期以降はマクロ前提による試算値で、為替は145円/米ドル、鉱工業生産は2024年10月9日時点の野村證券経済調査部による予想、その他の要因は考慮していない。(注2)積み上げグラフは、営業増益率を、生産要因、為替要因、その他(残差)に分解したもの。1%の生産増加で4%、1円/米ドルの円安で0.4%弱、営業利益が増加すると仮定している。その他(残差)には、マージンの改善、イレギュラーなコストの発生に伴う利益変動、などの要因が含まれる。(出所)野村證券投資情報部作成 なぜ経常減益となった? 2024年7-9月期は、ラッセル野村Large Cap(除く金融)で営業外収支が前年同期の+1.3兆円から、-0.7兆円へと悪化し、経常減益となりました。営業外収支悪化の主な要因は以下のとおりです。 【円高】‥米ドル円レート(期末値)が、前四半期比で19円/米ドル、前年同期比で6円/米ドル円高が進んだため、海外での取引や資産の比率が高い、自動車など主力製造業で為替にかかわる多額の評価損・差損が発生しました。小売りや、ソフトウエア、住宅・不動産でも海外での事業ウエイトが高い企業で同様の傾向が見られました。 【燃料費調整】‥公益産業で燃料費等調整制度の期ずれにより営業外収支が大きく悪化しました。 【構造改革】‥一部企業で構造改革やリストラにともなう損失が発生しています。 このように、営業外収支の悪化の要因は、そのほとんどがキャッシュ・アウトフローを伴うものではなく、同時に一過性のものと考えられます。特に為替にかかわる部分は、今後150円/米ドル程度で推移すれば、2024年度通期業績への影響はほぼ消滅すると考えられます。日本企業の業績モメンタムが大きく変質した可能性は低いと見られます。 (注)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の営業外収支を2023年7-9月期と2024年7-9月期とで比較し、その変化幅に対する業種ごとの寄与額を示している。2024年11月12日までに決算発表を終えた企業を対象にしている。(出所)野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ご投資にあたっての注意点