特集
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2024/12/18 08:34
【野村の朝解説】FOMCを控え、警戒感から米国株は下落(12/18)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 17日の米国株式市場では、NY主要3指数が揃って下落しました。NYダウは1978年2月以来の9営業日の続落となりました。FOMCの結果発表を翌日に控えて警戒感が広がり、株価の重石となりました。FRBが12月会合での0.25%ポイントの利下げをするとの見方が依然優勢ですが、朝方発表された11月米小売売上高が消費の堅調さを示唆する内容だったことから、2025年の利下げ回数が少なくなるとの見方が相場を下押ししました。個別では、米医療保険大手ユナイテッド・ヘルス・グループ(UNH)が続落し、連日で上場来高値を更新していた米半導体のブロードコム(AVGO)も反落しました。為替市場では、米国債利回りの上昇が一服する中、1ドル=153円台半ばまで円高方向に値を戻しました。 相場の注目点 日米の金融政策に引き続き注目です。市場では12月FOMCでの0.25%ポイントの利下げを概ね織り込んだ状況にあるため、焦点はパウエルFRB議長の記者会見や、FOMC参加者の政策金利見通し(ドット・チャート)です。仮に、今会合で政策金利見通しが引き上げられ、25年中の利下げ回数の減少が示された場合には、米金利の上昇とドル高要因となります。ただし、来年以降の市場の利下げ観測は後退しつつあり、25年中の利下げ幅が0.5%ポイントを下回る可能性を織り込みつつあります。また、トランプ次期政権の政策を踏まえて、パウエル議長は今後の金融政策について柔軟な姿勢を示さざるを得ないと考えられます。そのため、市場の反応は限定的になると野村ではみています。他方、本日から明日19日まで開催される日銀の12月会合では、利上げ見送りがコンセンサスです。FOMC後の円安ドル高の勢いが限定された場合には、日銀は利上げを見送りするとの見方が一段と強まり、足元のドル円はレンジ内での動きになりやすいとみています。 (野村證券 投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2024年12月18日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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2024/12/17 16:52
【野村の夕解説】日米中銀の会合を前に 引き続き小動き (12/17)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 日本時間16日(月)夜、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長がトランプ次期米大統領と会談し、今後4年間で米国で1,000億米ドルの投資を行う旨を発表しました。また、昨日ナスダック総合指数は史上最高値を更新しました。 本日の日経平均株価は前日比132円高の39,589円と反発し始まり、ソフトバンクグループの大幅な上昇が日経平均を押し上げました。米国金利の上昇(価格は下落)による円安米ドル高も追い風となり、一時前日比338円高となりました。上昇一服後は、値がさの半導体株であるアドバンテストの大幅安が重石となり、後場に入ってからは下げに転じました。今後の注目イベントを控えて値動きは限定的となり、終値は前日比92円安と、3営業日続落となりました。ソフトバンクグループは前日比4.41%高となり、1銘柄で日経平均株価を82円押し上げた一方、アドバンテストは同9.35%安となり、 1銘柄で日経平均株価を235円押し下げました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では本日から18日(水)までFOMCが、日本では18日(水)~19日(木)にかけて日銀金融政策決定会合が開催されます。また、18日(水)はキオクシアホールディングスが東証プライム市場に上場予定です。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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2024/12/17 08:27
【野村の朝解説】ナスダックは最高値を更新、ダウは続落(12/17)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 16日の米国株式市場は高安まちまちとなりました。NYダウは朝方に上昇する場面もみられましたが、週内にFOMCを控えるなかで方向感は乏しく、前週末の終値近辺でのもみ合い推移となりました。一方、S&P500は3営業日ぶりに反発し、ナスダック総合指数は11日に付けた史上最高値を更新しました。 この日発表された12月のNY連銀製造業景気指数や同月の製造業PMI速報値は、トランプ次期政権の関税政策への警戒感などもありいずれも悪化しました。もっとも、米国ではサービス業を中心に景況感が堅調であり、同月のサービス業PMI速報値は2021年10月以来の高水準を記録しました。25年以降の利下げペース減速が意識される中、米10年国債利回りは4.4%台に上昇し、ドル円は154円台を回復しました。 相場の注目点 米国では今晩からFOMCが開催されますが(17-18日)、市場はすでに0.25%ポイントの利下げをほぼ織り込んだ状況です。トランプ次期政権の政策を巡り不透明感が高まるなか、足元では25年以降にいったん利下げを打ち止めとの見方も浮上しており、今回の焦点はパウエルFRB議長の記者会見に加えて、FOMC参加者の政策金利見通し(ドット・チャート)です。25年の利下げ幅については、9月FOMC時点で1.0%ポイントと想定されていましたが、今回のFOMCで見通しは上方修正される公算が大きいとみられます。米国株式市場では、米長期金利の上昇が株価の重石となる一方で、米経済の軟着陸期待が支えとなってきましたが、長期金利の上昇が続くとこれまでの上昇にブレーキがかかる可能性もあり、先行きの利下げペースについて、どのような見解が示されるのか注目されます。 (野村證券 投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2024年12月17日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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2024/12/16 18:00
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(12月第2週)
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2024年12月第2週(2024年12月6日~12月13日) 2024年12月月間(2024年11月29日~12月13日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年12月13日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年12月13日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2024年12月第2週(2024年12月6日~12月13日) 2024年12月月間(2024年11月29日~12月13日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年12月13日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年12月13日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2024年12月13日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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2024/12/16 16:23
【野村の夕解説】日米中銀の会合を前に上値は重く、日経平均は12円安(12/16)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は前週末比80円高の39,551円で取引を開始しました。米国で12日(木)引け後に好決算を発表したブロードコムを含む、主要半導体企業で構成されるフィラデルフィア半導体株指数が13日(金)に大幅上昇しました。これを受けて、国内半導体関連銘柄が上昇し、日経平均株価を押し上げ、一時上げ幅は161円まで拡がりました。 外国為替市場では、日銀の追加利上げ観測の後退を受けて円安米ドル高が進んでおり、本日11:30頃には、一時153.9円台になりました。しかし、円安進行は株式市場にとって追い風とはならず、日経平均株価は40,000円を前に上値は重く、徐々に上げ幅を縮小しました。今週17-18日の12月FOMC、18-19日の日銀金融政策決定会合を前にした様子見姿勢の強まりも重石となったとみられます。引けにかけて前週末終値近辺での値動きを続け、大引けは前週末比12円安の39,457円で取引を終えました。東証プライム市場の売買代金は、3兆3,314億円と、10月25日以来の低調な水準でした。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、米国では12月ニューヨーク連銀製造業景気指数が発表されます。12月FOMCを前に、米国景気の動向を確認するうえで、注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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2024/12/16 08:12
【野村の朝解説】FOMCを控え米株は動意を欠く展開(12/16)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 13日の米国株式市場は動意を欠く展開となり、S&P500は前日比横ばい、ナスダック総合も小幅高で引けています。米国では17-18日にFOMCを控える中で、先週は11月消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)と注目度の高いインフレ統計が発表されました。CPIは事前予想通り、PPIは予想比で小幅上振れましたが、市場では今週の利下げ判断を妨げるものではないと評価され、0.25%ポイントの利下げを概ね織り込んでいます。この日注目されたのは円安です。円は一時1ドル153円80銭まで売られ、日中としては11月26日以来の安値を付けました。先週のブルームバーグに続き共同通信が「日銀が金融政策の据え置きを検討している」と報道したことで、市場の利上げ観測が後退し、円安につながっています。 相場の注目点 市場は今週のFOMCでの利下げを概ね織り込む一方で、25年末の政策金利見通しはむしろ上昇しています。結果、米国債市場では長期金利を中心に金利は上昇しています。足元の利下げ観測の後退は景気堅調を織り込んだ「良い金利上昇」の面が大きく、米株は堅調に推移しています。ただし、10年国債利回りが4.5%を明確に上回る展開になれば、トランプ次期政権の誕生など、不透明感の高い中での金利上昇が米国株式市場で嫌気される可能性があり、注意が必要です。 先週発表された日銀短観は、景況感は堅調、企業の設備投資計画も予想に反して上方修正されるなど、日銀の利上げを後押しする結果であったと評価できます。日銀は今週の会合で利上げを見送るとの観測報道が増えていますが、足元で進行している円安に対する日銀の評価が注目されます。ドル円相場が155円を超える際には口先介入の再開なども想定されることから、日銀が円安阻止に向けて政府と足並みを揃える可能性もあります。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2024年12月16日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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2024/12/15 09:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅡ:第9回 チャート分析の古典:グランビルの法則
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 シーズンⅡ「相場の見方の強い味方、移動平均線」最終回の今回は、チャート分析の古典と言われる「グランビルの法則」について解説しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
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2024/12/14 19:00
【来週の米国株】堅調なテック株、よくみると明暗/FOMCの注目点は(12/13)
※執筆時点 日本時間12月13日(金)12:00 今週:米CPI無事通過&テック決算明暗 ※12月6日(金)- 12月12日(木)4営業日の騰落 11月の米CPI(消費者物価指数)の内容が概ね市場予想通りとなったことから先物金利は2024年12月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げをほぼ完全に織り込み、市場金利が低下しました。これを受けて金利に敏感な情報技術関連株が上昇し、ナスダック総合指数は一時、史上初の20,000ポイント台を付けました。 注目決算はまちまちの内容 ただ、情報技術株のファンダメンタルズは必ずしもポジティブなものばかりではありませんでした。注目されたソフトウェア大手2社、アドビ(ADBE)とオラクル(ORCL)の2024年9-11月期決算発表では、いずれも2024年12月-2025年2月期のEPS(一株当たり利益)会社見通しが市場予想を下回りました。アドビは生成AI需要増による画像編集ソフトウェアの業績拡大が、オラクルは生成AI向けを中心としたクラウドサーバー需要増による業績拡大がそれぞれ期待されていただけに、決算発表日翌日にはどちらの株価も下落しました。 一方、通信向け半導体及びソフトウェア大手のブロードコム(AVGO)の2024年11月-2025年1月期のEPS会社見通しは市場予想を上回りました。アップル(AAPL)がAI用半導体を自社開発すると伝わり業績懸念もありましたが、ブロードコムは決算発表の際にアップルとのAI半導体開発が複数年契約になるとコメントし、安心感が広がりました。 同社は、2024年8月-10月期決算で部門別売上高も開示しましたが、インフラストラクチャーソフトウェア部門が市場予想を下回り、半導体部門が市場予想を上回っています。なお、インフラストラクチャーソフトウェア部門の売上急増は買収効果に起因しています。 (ご参考)ブロードコム決算 個社の決算内容だけでセクター全体を判断することに注意は必要ですが、前述の3社を見る限り生成AIの活用によるソフトウェアセクターの業績上振れシナリオにはまだ注意が必要と考えられます。まずは、設備投資などで堅調なハード(特に半導体)が情報技術セクターのけん引役であることに注目すべきでしょう。 AI関連の成長は終わっていないが、それ以外にも目を 野村では、AI関連産業を引き続き強気にみていますが、2025年後半からAIの投資テーマが変化する可能性が高いことから、局面変化に応じ柔軟に投資対象を選抜すべきだと考えています。指標として注目されるのは、クラウド事業者の設備投資計画とAIサーバーメーカーの在庫です。向こう6~9ヶ月間の短期については、エヌビディア(NVDA)のGB200の納入が2025年のAIサイクルの上昇局面を維持するカギになるでしょう。ただし、エヌビディアが公表しているロードマップによると、次のAIシステム性能の大幅な向上は2027-2028年との見通しが示されており、2027年前半頃までに設備投資が鈍化する可能性があります。足元ではGB200自体が米国の大手クラウド事業者の設備投資を一段と高めますが、2年後頃から不透明感が出てくると想定されます。また、足元ではビットコイン採掘の需要も想定されますが、これまでの歴史から考えるとAIサーバーメーカーにおける過剰在庫はAI半導体にとっても良くない兆候とされており、その動向を確認していきたいと考えます。 AI関連以外の情報技術銘柄について、仕様アップグレード(特にオンデバイスAI)とバリュエーションの割安感を踏まえ、L字型サイクルの底から脱しつつあるなかで選択肢の一つであると考えています。 来週:FOMCでは「見通し」の上振れに注意 17日(火)~18日(水)に米国でFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。FRB(米連邦準備理事会)の政策判断を見極める上で注目された11月CPI(消費者物価指数)は食品・エネルギーを除くコア指数の前月比上昇率が市場予想に一致したことから、市場では今回のFOMCにおける利下げをほぼ織り込んでいます。 ただし、コアCPIは4ヶ月連続で前月比+0.3%と、年率換算でインフレ目標である2.0%を上回る上昇率を続けていること、11月PPI(生産者物価指数)は市場予想を上回ったこと、トランプ次期政権が関税の引き上げを公言していること等から、「FRBは早晩、様子見に転じるのではないか」との見方が高まっています。今回の会合では経済・政策金利見通しが公表されることから、FRBが次期政権の政策をどの程度経済見通しに織り込んでいるかを含めて注目が集まります。 株価に水を差す「長期金利上昇」をどこまでとみるか? 足元では米長期金利(10年国債利回り)がやや上昇し、4.3%台で推移しています。米長期金利上昇は株価への下押し圧力となりますが、野村ではインフレ再燃リスクが台頭しても米長期金利が5%超へ上昇することは見込み難いと考えています。米長期金利は、利下げ到達点の市場期待を示す3年先1ヶ月金利と相関が高いことが知られています。過去の相関に基づけば5%超となるのは、 3年先1ヶ月金利が4.5%前後以上となるような場合と想定されます。ただ、12月FOMCで0.25%ポイントの利下げが実施され政策金利が4.25%~4.50%となれば、 3年先1ヶ月金利が4.5%以上となるシナリオは再利上げが視野に入るケースに該当することになります。景気・インフレは1~2年のようなスパンで見れば減速傾向を辿っているため、金融政策は引き締め的と推察され、再利上げはあくまでリスクシナリオの位置づけです。インフレ再燃時に米10年長期金利が4%台後半まで上昇した場合の株価への下押し圧力は想定しなければなりませんが、仮に5%が近づけば行き過ぎと考えることができます。 堅調な景気は続くかを年末商戦でチェック そのほか、11月小売売上高(17日)では、業種別の売上動向等から、年末商戦の個人消費動向を確認したいと考えます。FRBが重視する11月コアPCEデフレーター(20日)は、FOMC直後でもあり、相場に与える影響は限定的とはみられますが、足元のインフレの状況を把握する上で、確認が必要です。 ご投資にあたっての注意点 要約編集元アナリストレポートについて 野村オリジナル記事の配信スケジュール
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2024/12/14 12:00
【注目トピック】半導体製造装置市場は2026年にかけて拡大へ、業界団体が市場予測を発表
※画像はイメージです。 SEMIの2024年末世界半導体市場予測 2024年・2025年とも上方修正 米国時間12月9日にSEMI(国際半導体製造装置材料協会)は、半導体製造装置の2024年末市場予測を発表しました。 2024年7月時点の予測と比較すると、2024年は上方修正されていますが、2025年については、下方修正されています。ただし、前年比マイナス成長となった2023年に対し、2024年には拡大に転じ、2025年も拡大が続くという方向に変わりはありません。また、今回新たに示された2026年予測については、一段の拡大が予想されています。 中国とAI関連需要がけん引 発表資料の中でSEMIは、2024年7月の予測以来、2024年の半導体製造装置販売額の見通しは明るくなっており、特に中国およびAI関連分野からの投資が予想を上回っていると述べています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)灰色は実績、薄い赤色は2024年7月時点、赤色は2024年12月時点のSEMI(国際半導体製造装置材料協会)による予測。(出所)SEMI、LSEGより野村證券投資情報部作成 半導体製造装置販売額の内訳で一番大きな前工程(半導体材料であるシリコンウエハー等を処理する工程)のウエハーファブ装置について、2024年の上方修正は、AIコンピューティングからの需要にけん引されたDRAMおよびHBM(広帯域メモリー)への好調な設備投資の継続を主に反映しているとしています。加えて、中国の投資も引き続き、ウエハーファブ装置市場の拡大に大きく貢献しているとしています。そして、先端ロジックとメモリー・アプリケーションの需要増加により、2025年、2026年と拡大が続くとしています。 後工程(処理されたシリコンウエハー等を半導体製品として組み立てる工程)装置分野は、過去2年連続して減少したものの、2024年は特に下半期において力強く回復したとしています。2025年以降の後工程分野の成長を支えるのは、ハイパフォーマンス・コンピューティング用半導体デバイスの複雑化、モバイル、車載、産業用の需要が増加するためとしています。 地域別動向 地域別では、中国、台湾、韓国が、2026年まで装置購入額のトップ3を維持し、中国は景気減速が予測されているにもかかわらず、装置購入が引き続き底堅いことから、今回の予測期間中はトップの座を維持する見込みと予想しています。中国への装置出荷額は、2024年に過去最高の490億米ドルに達するとのことです。 なお、ほとんどの地域で設備投資額は2024年に減少し、中国以外の地域では2025年に回復することが予想されるものの、中国は2022~2024年の3年間の大規模投資を受けて、2025年は縮小する見込みとのことです。2026年には、すべての地域で増加することが予測されるとしています。 今後の注目点 半導体製造装置メーカーであるアプライド・マテリアルズ、KLA、ラムリサーチ、ASMLホールディングなどの株価は、2024年夏以降、軟調に推移しています。半導体製造装置の需要が、AI向けは好調なものの、自動車など他の分野の需要が弱いことなどが各社の決算発表などの機会で示され、株価の重石となっていました。 (注)データは日時で2024年初=100とする指数。直近値は2024年12月10日。ASMLホールディングはADR(米国預託証券)の価格の推移。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 このような状況を踏まえると、今回のSEMIの予測は、概ね想定の範囲内と考えます。 とはいえ、2025年の予想は下方修正されたものの、2024年には拡大に転じて2025年も拡大が続くという方向に変わりはなく、今回新たに示された2026年には一段の拡大が予想されているという点は、ポジティブに受け止めてよいと判断します。 今後も、半導体業界に関する報道や、半導体製造装置メーカー及び半導体メーカーの決算発表などの機会を通し、半導体製造装置市場の動向を確認していきたいと考えます。 12月18日には、半導体メモリー大手のマイクロン・テクノロジーが、2024年9-11月期(2025年8月期・第1四半期)決算を発表する予定です。マイクロン・テクノロジーは、自社で半導体を製造する垂直統合型の半導体メーカーで、半導体製造装置を購入する企業であり、同社の設備投資計画などを確認したいと思います。 (野村證券投資情報部 村山 誠) ご投資にあたっての注意点