特集
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06/15 12:00
「行動ファイナンス」で疑問を解決!第1回「買ったばかりの株が急落…」
※画像はイメージです。 野村證券金融工学研究センターの大庭昭彦が、皆さまの投資に関するお悩みを行動ファイナンスの観点から分析、解決法を探っていきます。第1回では、保有株の株価急落を心配する投資家の方の悩みにお答えします。 お悩み数年後の成長を見据えてある企業の株を買い付けましたが、買った途端に経営者が保有株を売却したことに市場が反応して株価が急落してしまいました。経営の中身では特に新しい情報はないので証券会社などのアナリストらの予想は強気のままなのですが、「何かあるのでは」と気になってしまって夜も眠れません。どうすればよいでしょうか。(Aさん、40代、会社員) 回答:「投げ売り」に気を付けて まず、せっかく考え抜いて投資した銘柄の株価が買ったとたんに急落してしまい、大変不安なことと思います。 こうした時に「普通の人」が反射的にやってしまいがちなのは、投げ売りしてしまうことです。不安の元が投資していることだとすれば、投資をやめれば不安もなくなるかもしれません。でも本当に「下落したから」という理由で売ってしまって良いのでしょうか。 ここでイメージすべきなのは、よくメディアで紹介されるような「投資で失敗した人」です。さまざまな失敗例がありますが、典型的なのは「将来のためを考えて投資を始めたのに、急落したので投げ売りした。投資しなければ良かった」と言う人です。 この例を冷静に見直せばわかるように、失敗は「投資したこと」ではなく「投げ売りしたこと」です。合理的に考えれば、長期保有を想定していて、その想定は全く変わっていないのに、相場の短期的な変化に反応して売却することは間違っています。逆に「投資で成功している人」は投げ売りしなかった人に限られますね。 しかし、雑誌やネットのメディアで「投資で失敗した人」が取り上げられる時には「投げ売りが失敗だった」というストーリーではなく、「投資そのものが失敗だった」というストーリーになっていることが大半です。また、投げ売りした人たち自身も「売却が失敗だった」とはあまり言わないようです。これには理由がありそうです。 人は何らかの行動をした後で「この行動は失敗だった」と認めることはとても嫌なものです。これを行動ファイナンスでは「認知的不協和」の状態にあるといいます。そして、その不協和を解消するために、行動を見直すのではなく、行動の前提を変えようとしがちです。具体的には、売却が間違いではないという「根拠」を探して回るか、それが難しければ、投資したこと自体を忘れたい気持ちになることが多いようです。(参考:基礎から学べる行動ファイナンス 第5回「すっぱいブドウのバイアス」) 焦る気持ちを抑えましょう Aさんにとって良かったことの一つは、すぐに投げ売りをしていないことです。下落からある程度時間が経過していることも良いですね。そもそも脳の判断についての「2重過程モデル」では、人はすぐに働く「直感脳」とゆっくりと働く「熟慮脳」の2種類の脳で別々の判断をしている、と説明されます。そして、判断のタイミングや状況に応じて、総合的に1つの判断を採用しているようです。 投げ売りは直感脳により間を置かずにやってしまいがちな行動です。投げ売りを抑制でき、時間が経過して熟慮脳に判断が移れば、考えは変わります。 熟慮脳によって、そもそも数年後の成長を見据えていたこと、経営者の行動は特に企業の成長性の判断と関係がないこと、短期的な下落は想定内だったことなどを思い起こせば「下落したことだけを理由にして売るべきではない」という理性的な判断ができるかもしれません。 「何かあるのでは」と気になってしまうとのことですが、実際に「何かあったのに情報公開前に経営者が株式を売却すること」はインサイダー取引として刑事罰の対象となるほど重大な「事件」であり、めったに起こりません。これが、たまたま自分が買った銘柄で、買ったばかりのタイミングで起こる確率はかなり低いことを思い起こすのも有用かもしれません。(参考:基礎から学べる行動ファイナンス 第7回「『思い込み』の問題」) 自力で直感脳を抑制できる方は問題ありません。しかし、自力で抑制するのは難しいという方も多いのではないでしょうか。この場合は事前に自分の将来の行動に制約をかける「コミットメント」ができるよう工夫することや、必要に応じてご家族や信頼できる知人などの力を借りることが、「投資で失敗した人」にならないために役立つでしょう。(参考:基礎から学べる行動ファイナンス 第9回 「自分の未来にも約束させる」) 大庭 昭彦野村證券株式会社金融工学研究センター エグゼクティブディレクター、CMA、証券アナリストジャーナル編集委員、慶應義塾大学客員研究員、投資信託協会研究会客員。東京大学計数工学科にて、脳の数理理論「ニューラルネットワーク」研究の世界的権威である甘利俊一教授に師事し、修士課程では「ネットワーク理論」を研究。大学卒業後、1991年に株式会社野村総合研究所へ入社。米国サンフランシスコの投資工学研究所などを経て、1998年に野村證券株式会社金融経済研究所に転籍、現在に至るまで、主にファイナンスに関わる著作を継続して執筆している。2000年、証券アナリストジャーナル賞受賞。 ご投資にあたっての注意点
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06/15 09:00
【オピニオン】米国政策金利の着地点(ターミナルレート)は?
※画像はイメージです。 FRB(米連邦準備理事会)は2024年6月11-12日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を開催し、大方の事前予想通り政策金利の据え置きを決定しました。注目された政策金利見通し(中央値)は、1回当たりの政策金利の変更幅を0.25%ポイントとした場合、24年中の利下げ回数は前回(24年3月)時点の3回から1回へ減少した一方、25年に関しては前回の3回から4回へ増加する見通しが示されました。直前のブルームバーグの調査では、24年中の利下げ回数見通しは「2回」と「1回あるいは利下げなし」との見方に2分されていたことから、市場にとって大きなサプライズではなかったと見られます。 声明文ではインフレに関する文言が、「(ここ数ヶ月に)委員会が目指す2%のインフレ目標に向けては緩慢なる一段の進展が見られた」と、利下げに向けて判断が一歩前進したことを示しました。また、会合後の記者会見でパウエル議長は「インフレ率が持続的に2%に向かっているという確信を強めるには、良好なデータをさらに目にする必要がある」と従来と同様、利下げに向け慎重に判断する姿勢を改めて示しました。 26年末の政策金利見通しを見ると、ほとんどのFOMCメンバーが26年中も利下げを継続する意向であること、過半のメンバーは3.0%前後への利下げを想定していることが確認できます。では、今回の利下げ局面における政策金利の着地点(ターミナルレート)はどの辺りが目安となるのでしょうか。 FRBが米国経済のソフトランディング(軟着陸)を予想する中で、景気にとって緩和的でも引き締め的でもない中立金利まで政策金利を引き下げることを想定しているとした場合、目安となるのは「長期(Longer run)」です。 FRBの「長期」政策金利(中央値)は、19年6月会合以降2.5%以下と見られてきましたが、前回は2.5-2.625%、今回は2.75%へ上方シフトしました。背景には5%超の水準まで急速に利上げしてきたにもかかわらず、想定以上に米国景気が堅調に推移していることから、中立金利がコロナ禍以前よりも上昇しているのではないかとの見方が高まっていることがあります。 理論的な中立金利の目安は、実質金利(≒潜在成長率(1.8%程度))とインフレ期待(インフレ目標の2.0%)を足し合わせた3.8%程度です。このため今後も米国景気が堅調に推移する場合は、「長期」政策金利が上方修正される余地があると言えます。 ご投資にあたっての注意点
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06/15 07:00
【来週の予定】注目度の高い米住宅関連統計で、利上げの影響を確認
来週の注目点:主要国の6月PMI速報値と日米中のハードデータ 6月に入って続いてきた主要中央銀行の金融政策決定会合もようやく一山超えました。ECB(欧州中央銀行)、BOC(カナダ中央銀行)は利下げを実施した一方、FRB(米連邦準備理事会)、日本銀行は政策金利を据え置きました。注目されていたFRBの政策金利見通し(中央値)は、24年中の利下げが前回3月時点の3回から1回へ修正されました。市場ではFRBの見通し変更に大きなサプライズはなく、同日公表された5月コア消費者物価指数(CPI)の減速が好感され、株高、金利低下、ドル安で反応しました。 今週、米国では18日(火)に5月小売売上高、5月鉱工業生産、20日(木)に5月住宅着工・建設許可件数、21日(金)に5月中古住宅販売件数と注目度の高いハードデータ(実際の経済活動を表すデータ)の発表が予定されています。米国では24年に入って、特に個人消費関連で利上げの影響を示す経済指標が散見され始めました。この点では、住宅関連統計の結果が注目されます。また、目先の景気動向を見極めるうえでは、6月のNY連銀(17日(月))やフィラデルフィア連銀(20日(木))の製造業景気指数、21日(金)発表の米国を含む、主要国の6月PMI速報値が市場の関心を集めると見られます。 日本では17日(月)の4月機械受注、19日(水)の5月訪日外国人客数、21日(金)の5月全国消費者物価指数が注目度の高い指標として挙げられます。19日(水)の4月日銀金融政策決定会合議事要旨では、円安への懸念や利上げ以外の政策オプションに対する議論の状況が注目点として挙げられます。 中国では17日(月)に5月小売売上高、鉱工業生産、1-5月固定資産投資・不動産投資と、重要なハードデータの発表が予定されています。中国経済の本格的な復調には不動産市況の改善が必要条件だと見られるため、最も市場の関心を集めるのは不動産投資の行方だと思われます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年6月14日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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06/14 16:23
【速報・解説】日銀、国債購入の減額方針を決定
日銀は金融政策を据え置き、国債購入の減額方針決定も具体策は次回会合 日本銀行は2024年6月13-14日に金融政策決定会合を開催し、事前予想通り政策金利の据え置きを決定しました。注目された長期国債の購入額は、月間6兆円程度のペースを維持することを決定しました。その上で、「長期金利がより自由な形で形成されるよう」、市場参加者の意見を確認したうえで、次回の決定会合で今後1~2年程度の具体的な減額計画を決定することを明らかにしました。市場では長期国債買い入れ額の減額予想が高まる一方で、具体的な枠組みが見えないことが嫌気され、米10年国債利回りが低下する中でも、日本の長期国債利回りは上昇(価格は下落)基調にありました。日銀が、①事前に債券市場参加者の意見を聴取すること、②最低でも1~2年の時間をかけて減額する意向であること、➂次回会合で計画を明らかにすること、を示したことで、国債市場における不透明感が後退することが期待されます。 日銀の発表を受けて10年国債利回りは0.94%、同じく20年国債利回りも1.71%程度と、発表前と比べて約0.3~0.4%ポイント低下、日経平均は前場引け値から190円程度上昇して後場の取引が開始されています。一方、ドル円レートは1ドル=157円20銭前後から158円目前までドル高円安が進行しました。 現在、日銀の金融政策ツールは無担保コール翌日物金利であり、長期国債の買い入れは政策ツールではありません。市場では次回7月会合での利上げ予想が高まっていますが、声明文から日銀が利上げに対して更に前向きになっている様子は確認できません。ただし、今後更に円安が加速する事態になれば、早期利上げ観測が高まることが予想されます。一方、長期国債購入額に関しては、為替動向と絡めた市場の思惑は鎮静化することが想定されます。日銀の国債保有額は約598兆円(6月10日時点)と、国債発行残高の半分弱を占めています。国債市場への無用なストレスを回避するため、日銀が国債購入額の減額に関して柔軟な枠組みを設定した場合、実際の運営に関して不透明感を残す結果となる点には注意が必要です。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)データは日次で、直近値は2024年6月13日。 (出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) ご投資にあたっての注意点
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06/14 15:59
【野村の夕解説】日経平均株価94円高、日銀会合の結果を受け反発(6/14)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は前日比132円安の38,587円で取引を開始しました。その後前日の終値を挟んで一進一退の動きが続きました。注目されていた日銀の金融決定会合の結果は後場寄り付き前に発表されました。今回の会合では追加利上げを見送った一方、当面の長期国債買い入れを減額していく方針としました。新発10年物国債の利回りは、12時台に前日比0.03%ポイント低下(価格は上昇)の0.915%を付けました。外国為替市場では、国債減額の計画について具体的な発表がなかったことなどから日米で金利差が拡大した状況はしばらく続くとの見方が進み、一時1米ドル=158.10円台とおよそ1か月半ぶりの円安水準となりました。日経平均株価は金利低下と円安を背景に後場から上昇に転じ、一時前日比305円高となりました。その後、心理的節目である39,000円台に乗せると利益確定の売りのような動きも見られ、また大引け後の日銀の植田総裁の記者会見を見極めたい思惑もあり上げ幅を縮小させました。大引けは前日比94円高の38,814円となり、3日ぶりに反発し本日の取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 日本では、本日引け後に行われる植田日銀総裁の記者会見に注目が集まります。また、米国では14日(金)に6月ミシガン大学消費者マインド調査速報値が発表されます。 ご投資にあたっての注意点
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06/14 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価、上値抵抗の75日平均線を突破なるか注目
※画像はイメージです。 ※2024年6月13日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日経平均株価、史上最高値更新も視野に 今週の日経平均株価は、週初に終値で5月23日以来の3万9,000円台を回復して始まりました。その後、米FOMC等の重要イベントを無難に通過しましたが、週後半は上値の重い動きとなりました。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、5月30日に一時37,617円まで下落しましたが、昨年10月以降の上昇トレンドライン上で下ヒゲを引き反発しました。ただ、戻り高値は75日移動平均線(6月13日:39,021円)に上値を抑えられ、狭いレンジでの横ばいとなっており、この先同線を上放れできるか注目されます。 さらに、5月20日高値(39,437円)を超えることができれば、4月19日安値と5月30日安値によるダブルボトムが完成しチャートが好転することとなります。その場合、まずは4月12日戻り高値(39,774円)や、心理的フシの4万円の水準へ向けた動きとなると考えられ、先行きは史上最高値(41,087円)更新が視野に入ってくるとみられます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2024年6月13日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 一方で、この先再度調整となり38,000円台を割り込む場合は、5月30日安値(37,617円)や、4月19日安値(36,733円)の水準が下値メドとして挙げられます。今年4月安値までの下落率(9.3%)は、波動分析上の参考局面である昨年10月安値までの下落率(9.6%)と比較し、値幅調整は概ね十分と捉えられます(図2)。この先、調整再開となった場合も、その調整規模は限定的に留まる可能性が高いと考えられます。 (注1)直近値は2024年6月12日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 米国10年債利回り、本格的な利回り低下局面入りか 米FRBは高い水準の政策金利(5.25~5.50%)を1年近く維持していますが、インフレは一様に鈍化せず、米国10年債利回りは高水準での推移が続いています。ただ、今年4月以降はインフレ鈍化の兆しがみられる中、10年債利回りのトレンド(方向性)に変化がみられます。 まずはトレンドラインの観点(図3)でみると、①2023年10月ピーク(5.018%)形成後に、それまでの上昇トレンドラインを割り込み、一時4%を下回りました。その後、②再び上昇傾向となり今年4月に4.7%台まで再上昇したものの、5月中旬から6月初旬にかけての調整で上昇トレンドラインを割り込みました。 さらに、6月12日に発表された5月米消費者物価指数が市場予想を下回ったことで、6月ボトム(4.248%)を更新しました。段階的に上昇トレンドラインを割り込んでおり、これまでのトレンドに変化がみられます。 (注1)直近値は2024年6月12日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 次に月足チャート(図4)をみれば、2020年3月ボトム(0.313%)形成後の利回り上昇局面で概ね下支えとなってきた12ヶ月移動平均線(6月12日:4.302%)を、今年6月に一時下回りました。この先、12ヶ月線を完全に下放れとなれば、2020年のボトムから続いた利回り上昇トレンドが終了したと捉えられます。 過去の利回りの動きをみると、天井形成後に横ばいトレンド入りとなるケースは少なく、1年を超える利回り低下トレンド入りとなっていました。今回についても利回り上昇トレンドが終了した後は、本格的な利回り低下トレンドへ移行する可能性が高いと考えられます。 (注1)直近値は2024年6月12日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端を含む。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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06/14 08:35
【野村の朝解説】PPIは鈍化、ナスダックは高値更新(6/14)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 13日の米国株式市場は、まちまちな展開でした。NYダウが3日続落した一方で、ナスダック総合とS&P500は4日続伸し史上最高値を更新しました。前日引け後にAI需要を背景に好決算を発表した半導体設計・ソフトウエアを手掛けるブロードコムの株価が上昇したことなどを受け情報技術指数が堅調だった一方、コミュニケーション・サービスやエネルギーなどの指数は下落しました。13日引け後に決算を発表した画像ソフトウエア大手のアドビはAI製品への需要を背景に好決算を発表し、AIの業績への貢献が半導体からソフトウエアへ広がっていることを示唆しました。経済指標では、5月米PPI(生産者物価指数)が前月比-0.2%と市場予想の同+0.1%に反しマイナスとなり、食品とエネルギーを除くコアPPIも前月比変わらずと市場予想の同+0.3%を下回りました。また、週間新規失業保険申請件数は24.2万件と市場予想の22.5万件を上回り、労働市場のひっ迫による賃金インフレに対する懸念が和らぎました。インフレの低下が意識され、米10年国債利回りは低下しました。 相場の注目点 日本では本日、日銀の金融政策決定会合(6月13・14日開催)の結果が発表されます。注目点は、①国債買い入れの減額や、②植田総裁の会見です。国債買い入れ減額については、新聞の観測記事などにより減額の方向性自体は市場はある程度織り込んだと考えられる一方、声明文で具体的な金額や開始時期が示されるかが注目されます。植田総裁の会見では、市場の利上げ期待を維持するようなコミュニケーションが見られるか、また、為替に関する質疑応答が注目されます。 米国では14日に、6月ミシガン大学消費者調査速報値が発表されます。総合指数は5月の69.1から72.1へ上昇すると予想されています。また、1年、5年先のインフレ見通しが今後の物価や個人消費の観点から注目されます。 (投資情報部 竹綱 宏行) (注)データは日本時間2024年6月14日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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06/13 19:00
【野村の動画】新しいNISAでさらに注目「高配当株」選びのポイント
経済情報に対する疑問を解決するため、野村證券社内の専門家に経済や投資について聞き、真相を深堀りしていきます。今回は新しいNISA(少額投資非課税制度)がスタートし、注目される株式の「配当金」、そして企業の配当性向と配当利回りの高い銘柄の選び方について、日本株専門の投資情報部ストラテジスト・大坂隼矢に聞きました。 ご投資にあたっての注意点
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06/13 16:08
【野村の夕解説】日経平均株価は続落、日銀政策決定会合への警戒が重石(6/13)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は、前日比305円高の39,182円で取引を開始しました。前日、米国で発表された5月米消費者物価指数は市場予想を下回り、前月から鈍化しました。また、注目のFOMCは24年中の利下げ回数が1回に留まる可能性が示された一方、25年中、及び26年中の利下げ回数は4回と前回3月から1回増加し(それぞれ1回当たりの利下げ幅が0.25%ポイントとして)、利下げ方針自体は堅持されました。これを受けて、ハイテク株の上昇が目立ち、ナスダック総合株価指数やS&P500指数が過去最高値を更新したことが国内株式市場への追い風となりました。 一方、13日から14日にかけて、日銀の金融政策決定会合が開催され、日銀が行っている国債の買い入れについて、減額を決定する可能性に対し警戒が広がったことが、国内株式市場への重石となりました。また、香港や韓国、台湾といったアジア株式市場は概ね堅調だったものの、引けにかけて日経平均株価が下落幅を広げる展開は変わらず、前日比156円安の38,720円で本日の取引を終了しました。米半導体株の上昇を受けて、寄り付きは堅調だった東京エレクトロンが前日比-1.66%と下落に転じており、日経平均株価の下押し要因となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点