特集
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01/19 09:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅢ:第5回 変化率も有効な算出方法に
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 今回は主に、変化率に注目したメドの探り方について、説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
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01/18 19:00
【来週の米国株】いよいよトランプ新大統領就任式、何に警戒すべきか(1/18)
※執筆時点 日本時間1月17日(金)12:00 今週の振り返り ※1月10日(金)- 1月16日(木)4営業日の騰落 15日(水)に発表された12月CPI(消費者物価指数)でコア指数が前月比+0.2%と市場予想の同+0.3%を下回ったことから、インフレ懸念が後退して利下げ幅縮小懸念が弱まり、今週の米国株主要3指数は揃って上昇しました。しかし、20日(月)のトランプ氏の大統領就任日を控える中、トランプ氏や政府高官の新たな発言に対する様子見姿勢が強まり、株価の上値は限定的でした。 安心感広がるも、インフレ鈍化は一時的か 12月CPIのコアインフレ率は前月比+0.225%となり、2024年7月以来初めて同+0.25%を下回りました。野村の予想(0.27%)に対する下振れは、家電製品やパーソナルケア製品の急落、住居費の伸び悩み、ホテル宿泊料金の下落が要因でした。中古車価格の高止まりや航空運賃の回復が見られたものの、全体としてはインフレ鈍化を印象付ける内容でした。ただ、足元では消費支出が底堅いことからインフレ鈍化は一時的となる可能性もあります。また、ロサンゼルス周辺で続く大規模な山火事が家賃や宿泊費、中古車価格等を短中期的に押し上げる可能性もあります。野村ではトランプ氏が掲げる関税政策の影響で、2025年度を通じてインフレ傾向が上振れしやすいとの見方を維持しています。 金融セクター決算も好材料 2024年10-12月期決算発表の幕開けとなる金融株は総じて好調なスタートを切りました。15日(水)に発表されたJPモルガン・チェース(JPM)、ゴールドマン・サックス(GS)、シティグループ(C)、ウェルズファーゴ(WFC)の一株当たり利益(EPS、調整後)は全て市場予想を上回りました。純金利収入やトレーディング収入が各社の業績を牽引しました。 半導体セクターにも一旦安堵感 16日(木)に台湾のTSMC(米国預託証券(ADR)を上場しており、ティッカーはTSM)の2024年10-12月期決算が発表されました。当社は半導体受託生産の世界最大手であり、近年ではエヌビディア(NVDA)などから最先端のAI関連の半導体を受託していることで高い関心を集めています。2025年1-3月期の売上高の会社計画は254億ドル(レンジの中間値)でと市場予想(244億ドル)を上回りました。特に「AIアクセラレーター関連売上高」は2024年に前年比3倍以上になったと見込まれ、全社売上901億ドルの10%半ばを占めることが示唆されました。設備投資計画も400億ドルと市場予想(351億ドル)を上回り、特に最先端半導体分野の製造装置株や素材株への安堵感が広がる内容でした。 来週①:トランプ新大統領就任式と追加関税の想定 トランプ新大統領の就任式関連のイベントは、米国東部時間で1月18日(土)から21日(火)にかけて行われ、就任式自体は20日(月)、宣誓が同日正午に行われる予定です。 第2次トランプ政権の政策には株式市場にプラスとなるもの(減税政策など)とマイナスとなるもの(関税政策など)が混在しています。ただし、スケジュールを考えると、議会を通さずに大統領令で実行可能な関税政策の影響が早く出やすいと考えられます。そのため、市場では就任式直後の「デイ1」から追加関税などを実施するリスクへの警戒が見られます。 追加関税を阻むものは? トランプ新大統領は引き続き追加関税の導入について前向きな発言を続けており、就任式を経て具体的な方針を発表または実施に踏み切る高い可能性があると考えられます。しかし、第2次トランプ政権は、大統領選前よりは追加関税に対して慎重になっている面もあります。大統領選の前には、トランプ新大統領は対中国で60%、その他全世界には10~20%の関税を課す意向を示していましたが、SNSでは対中国について10%にとどまり、従来の主張よりも小幅な追加関税率しか示されていませんでした。 トランプ新政権が大統領選の前に比べて追加関税に対して慎重化している背景には、①株式市場への影響が不透明であること、②最終解決を先送りし根強いインフレへの対応のような問題から国民の目を逸らさせ、米国内の支持率を維持しようとしていること、③関税対象国がある程度交渉に応じる姿勢を見せていることなどが挙げられます。 予想される選択肢 米国株の下落を回避する観点(①)からは追加関税を小規模なものにとどめることが望ましいと考えている模様です。一方、支持率を高止まりさせる観点(②)では、対外強硬姿勢を継続的に示すことが望ましいため、少なくとも即時には極端に大規模な追加関税を決定することについて慎重になると予想されます。それに加え、移民規制のうち大統領令で実施可能な施策を追加関税と合わせて決定すると考えられます。 特に追加関税については就任式後に、対中国では既に関税が実施されている品目について10%の追加関税を即日実施し、それ以外の品目については10%の追加関税を検討する可能性が高いでしょう。また、対メキシコ・カナダでは25%の関税を、その他全世界に対しては10%の追加関税を検討する考えられますが、追加関税については当初2~5%前後の段階的な引き上げも検討されるでしょう。 一方で、最終的な関税率が示されないまま、毎月2~5%の関税率引き上げ方針が示されることも考えられます。この場合、政権発足初期にはこれまでのトランプ氏による言及と比べて実際の追加関税が小幅との見方が生じますが、引き上げが繰り返されるにつれ、大規模していくとの懸念が高まりそうです。 市場の織り込みはあまり進んでいない インフレスワップ市場で取引されている1年先のCPI(消費者物価指数)は前年比+2.6%前後で、12月のCPI(前年同月比+2.9%)に近い水準が今後も継続と市場では想定しています。当社の米国拠点は、トランプ新大統領が大統領選前に主張していた対中で60%、その他全世界で10%の追加関税が課されることによるCPIへの影響を+1%ポイントと推計しており、2025年末のCPIは前年比で+3%台半ばに上昇すると予想しています。これに対し、同市場での織り込みは進んでいないと考えられます。また、株式市場でも、トランプ政権の1期目において追加関税を受け大きく下落した銘柄が、現在大幅下落しているわけではありません。 20日の就任式以降にトランプ新大統領が追加関税の方針を公表・実施すれば、市場が反応する余地が残されていると想定されます。なお、大統領選以降に対ドルで人民元安が急速に進むなど、対中関税の織り込みは相対的に進展していると考えられます。このため、対中関税よりも中国以外の国々への関税政策への警戒が必要です。 来週②:決算本格化、消費の先行きのヒントを探る FRB幹部は28日(火)から29日(水)にかけて開催される1月FOMCを前に沈黙期間に入り、講演などの予定はなく目立った経済指標もありません。こうした中、本格化する2024年10-12月期決算に注目が集まります。 16日(木)に発表された12月の小売売上高(合計)の前年同月比は+3.9%となり、11月改定値の同+4.1%から伸び率が鈍化し、市場予想も下回りました。業種別に見ると、自動車・同部品が前年同月比+8.4%、家具が同+8.4%、無店舗販売が同+6.0%、電気製品が同+5.8%と好調でしたが、建設資材・ガーデニング用品が同-1.8%、百貨店が同-1.8%、ガソリンスタンドが同-1.2%と低調でした。 多くの業種で売上高が増加していることは好材料ですが、消費拡大の一つの要因として、トランプ次期政権が打ち出す政策に消費者が防衛的に反応している可能性には注意が必要です。例えば、海外からの商品に対する新たな関税による価格上昇を見越して、高額商品を今のうちに購入していることが考えられます。また、自動車・同部品の売上高が前年比で+8.4%となったのは、トランプ次期大統領がEV販売に対する税控除の廃止を掲げていることへの駆け込み需要によるものかもしれません。 こうした要因を確認するためにも、今週は個別企業の決算実績や見通し、コメントが重要となります。住宅大手のDRホートン(DHI、21日)、運輸業界では鉄道大手のCSX(CSX、23日)、航空大手のユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス(UAL、21日)、アメリカン・エアラインズ・グループ(AAL、23日)、クレジットカード大手のアメリカン・エクスプレス(AXP、24日)に消費動向を見通すヒントがないか、注目したいと思います。 (投資情報部 デジタル・コンテンツ課) ご投資にあたっての注意点 要約編集元アナリストレポートについて 野村オリジナル記事の配信スケジュール
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01/18 09:00
【オピニオン】米ドル円レートは円高へ?「日米実質金利差縮小」シナリオの可能性
※画像はイメージです。 米国の10年国債利回りは25年1月14日に一時、4.806%まで上昇しました。23年10月下旬以来の高い水準です(なお、08年のリーマンショックの前年である07年8月以降の最も高い水準は23年10月23日の5.018%)。24年10-11月の米国の消費者物価が再加速したことや、次期トランプ政権による関税引き上げ、減税等の政策によりインフレが再加速するのではとの懸念等が背景にあります。25年1月のミシガン大学消費者期待インフレ率は5-10年先が24年12月の3.0%から3.3%に、同1年先は2.8%から3.3%にそれぞれ上昇しました。期待インフレも含めて全般的にインフレ再加速、金利上昇の可能性に市場は敏感になっています。 米ドル円レートは日米金利差の影響を大きく受けますが、米国インフレ上昇→米国名目金利上昇→日米名目金利差拡大→米ドル円上昇、とのプロセス自体は勿論、有効ですが、「名目」よりも「実質」と置き換えた方がより説明力が増すと思われます。 下図は米ドル円レートと日米名目、及び実質金利差をプロットしたものです。「名目」よりも「実質」の方が説明力が高いように思われます。この前提に従えば、米国のインフレ(期待も含む)上昇→米国名目金利上昇・米国の実質金利低下→日米実質金利差縮小→米ドル安・円高、との想定が成り立ちます。この場合、米国の名目金利の上昇幅がインフレ加速分以下にとどまるという前提ですが、こうしたケースは十分に考えられます。FRBはバランスシート縮小(QT)の終了時期については示していませんが、野村證券は25年6月末に終了すると予想していますし、そもそも米ドル建てである米国債には基軸通貨としてのプレミアムがあるという需給面での金利上昇抑制機能が市場で働くと判断されます。 (注)データは月次で、直近値は2025年1月(日米5年国債実質利回り差は24年11月)。実質利回りは5年国債利回り-消費者物価の前年比上昇率。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 勿論、日本サイドのインフレ加速→実質金利低下との要因も考慮すべきですが、緩やかなペースとは言え、日銀は金融政策の正常化に向かっており、既に国債も含めて市場金利は上昇基調に転じています。25年1月15日に、日本の10年国債利回りは1.255%まで上昇し、2011年4月以来、13年9ヶ月ぶりの高い水準となっています。とすれば、「日米実質金利差が拡大」とのシナリオよりも「日米実質金利差縮小」のシナリオの実現可能性の方が高い、と言えるでしょう。 目先は勢い、名目金利上昇で米ドル高で反応しやすい材料が多いですが、緩やかながらも米ドル円レートは円高方向へ向かうとの見方をメインシナリオとして良いのではないでしょうか。 ご投資にあたっての注意点
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01/18 07:00
【来週の予定】トランプ氏が大統領就任へ、初日から大統領令連発か
来週の注目点:米大統領就任式と大統領令、日銀の政策判断 2025年の金融市場の行方に影響する最も重要な要素の一つが米国の次期政権の政策です。1月20日にトランプ次期大統領及びバンス次期副大統領が就任します。トランプ次期大統領は、議会で就任演説を行うとともに、公約実現のために就任初日から様々な大統領令を出すと見られています。関税、移民制限、バイデン政権のエネルギー政策の転換など、大統領令での実行が可能な政策が先行することが予想されます。 他方、米国の金融政策については、1月28日(火)-29日(水)のFOMCを控えて、18日(土)からブラックアウト期間(金融政策に対する公的な発言を自粛する期間)入りしています。米経済指標の発表も24日(金)の25年1月S&PグローバルPMI速報値、24年12月中古住宅販売件数などに限られます。市場の関心はトランプ次期政権の動向、米主要企業の24年10-12月期決算発表に集まります。 日本では、23日(木)-24日(金)に日本銀行の金融政策決定会合が開催され、24日に結果発表と植田日銀総裁の記者会見が行われます。1月会合の判断については、14日の氷見野日銀副総裁に続いて15日には植田日銀総裁が「米新政権の政策や春闘の賃金動向などを精査し、追加利上げを行うかどうか判断」する旨を明言しました。20日の就任式前後に金融市場が不安定化した場合には、日銀が利上げを見送る可能性はあるものの、市場では利上げ予想が高まっています。野村では日銀の金融政策に関するシナリオを変更し、利上げ予想を25年3月会合から、1月会合に前倒ししました。 日本の経済指標では、20日(月)に24年11月機械受注、24日(金)に12月全国消費者物価指数(CPI)、25年1月auじぶん銀行PMI速報値が発表されます。野村では12月の生鮮食品を除くコアCPIインフレ率は前年同月比+2.9%と、24年11月(同+2.7%)から伸び率が加速すると予想します。政府による電気代・ガス代抑制策の終了がエネルギー価格の加速につながったと見られます。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年1月17日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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01/17 16:26
【野村の夕解説】米大統領就任式と日銀会合控え日経平均は反落(1/17)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 16日に一部報道機関が、トランプ米次期大統領の就任時に市場が混乱しなければ、日銀は追加利上げを決める公算が大きいと報じました。日銀の利上げ期待が高まり、外国為替市場では本日9時ごろに1米ドル=155.40円前後まで円高が進行しました。本日の日経平均株価は前日比118円安の38,454円で始まり、円高進行や来週の米大統領就任式を控え警戒感が高まり、株価は一時前日比516円安となりました。業種別では昨日までに発表された米大手金融の24年10-12月期の良好な決算を受け、国内の証券会社の一角が上昇し相場を下支えしました。下げ一服後は徐々に持ち直し、終値は前日比121円安の38,451円と小幅に反落して取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 来週は、20日(月)に米国でトランプ次期大統領及びバンス次期副大統領が就任します。トランプ次期大統領は「Day 1(就任初日)」として、様々な大統領令を出すと明言しています。関税やエネルギー政策の転換など、大統領令での実行が可能な政策が先行することが予想され、市場は波乱含みの展開となる可能性があります。 日本では、23日(木)-24日(金)に日銀の金融政策決定会合が開催されます。24日(金)には結果発表と植田総裁の記者会見が行われ、市場では利上げ予想が高まっています。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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01/17 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価、騰落レシオは売られすぎ水準に接近、底入れなるか
※画像はイメージです。 ※2025年1月16日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日経平均株価、12月安値水準で下げ止まるか注目 今週の日経平均株価は、日本の長期金利上昇や円高・ドル安の進展などが嫌気され、約3週間ぶりに3万9,000円台を割り込みました。16日は米国株高を受けて反発となったものの、上値の重い動きとなりました。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、12月27日に一時40,398円まで上昇しましたが、1月10日に25日移動平均線(1月16日:39,298円)を下回り、連休明けの14日には75日線(同:38,945円)や200日線(同:38,672円)を終値で割り込む水準まで調整しました。 14日の取引時間中に12月19日安値(38,355円)を一時下回る水準まで下押す場面もあり、まずは同水準で下げ止まるか注目されます。同水準を割り込んで下げが続く場合は、9月下旬から続く保ち合い(37,700円前後~40,000円前後)の下限である昨年11月28日安値(37,801円)や昨年10月24日安値(37,712円)などが下値のメドと考えられます。 一方で、騰落レシオ(1月16日:83.98%)等の一部テクニカル指標は短期的な売られ過ぎ水準に接近しており、この先底入れ反発となる場合は、まずは25日移動平均線(同:39,298円)を早期に奪回できるか注目されます(図1、図2)。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2025年1月16日。 (注2)日柄は両端を含む。 (注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 (注1)直近値は2025年1月16日時点。 (注2)東証プライム騰落レシオの主なボトムと、その前後の日経平均株価を赤丸囲みで示した。 (注3)東証プライム騰落レシオが70~80%の箇所を赤色網掛けしている。(出所)日本経済新聞社、東京証券取引所より野村證券投資情報部作成 米国長期金利上昇、この先の上昇は限定的とみる 米国10年債利回りは、昨年9月に一時3.5%台をつけましたが、その後上昇に転じ、今年1月には一時4.8%台にのせました。次期トランプ政権が掲げる関税強化によるインフレ再燃への警戒感が根強いことに加え、12月の雇用統計が市場予想を上回るなど、景気の堅調さを示す統計が相次ぎ、足元の景気が想定以上に強いとの見方が広がり、長期金利が上昇傾向となりました。チャート上の主要なメドである心理的フシの5%や、2023年10月ピーク(5.018%)の水準が徐々に近づいてきました(図3)。 (注1)直近値は2025年1月14日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ただし、中長期トレンドの観点から見ると、さらなる上昇の可能性は限定的であり、今後は天井形成へ向けた動きとなる可能性が高いと考えられます(図4)。 2020年3月のボトム(0.313%)から2023年10月のピーク(5.018%)にかけての上昇は、上昇幅(5%を超える幅)や上昇期間(約3年半)の観点から十分であり、中長期的な上昇局面は終了したとみられます。 その後、2024年9月には一時3.5%台まで低下したものの、それまでの低下幅は上昇幅の1/3にも満たず、またその期間もピークから約1年に留まっています。2023年10月ピーク形成後の中長期低下局面が終了したと見るには、低下幅や期間がやや不足していると言えます。新たな中長期上昇トレンドに入っているとは考えづらく、この先の利回り上昇は限定的であると予想されます。 仮に天井形成後に金利低下となる場合、まずは2023年10月のピークまで中長期上昇局面で下支えとなってきた12ヶ月移動平均線(1月15日:4.296%)の水準を再度下回るかどうかが注目されます。 (注1)直近値は2025年1月14日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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01/17 08:24
【野村の朝解説】米国株下落、日銀利上げ観測で円はじり高(1/17)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 16日の米国株式市場では、主要3指数が揃って下落しました。16日発表の米経済指標は、24年12月小売売上高が市場予想を下回った一方、1月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が予想外に改善するなど、まちまちの内容でした。個別では、中華圏でのスマートフォンの販売苦戦が伝わったアップル(AAPL)が下落しました。一方、株高によるトレーディング収益の好調に伴って24年10-12月期の業績が市場予想を上回ったモルガン・スタンレー(MS)は、株価が上昇しました。24年10-12月期決算は金融セクターを中心に好調なスタートを切っています。他方、前日発表の米12月消費者物価指数が過度なインフレ懸念を和らげる内容であったことや、ウォラーFRB理事の講演でのハト派的(金融緩和に前向き)な発言を受けて、米10年国債利回りが4.60%前後まで低下し、為替市場では1ドル=155円台前半まで円高が進みました。 相場の注目点 2025年の金融市場の行方に影響する最も重要な要素の一つが米国の次期政権の政策です。1月20日にトランプ次期大統領が就任します。議会で就任演説を行うとともに、公約実現のために就任初日から様々な大統領令を出すと見られています。米国の金融政策については、1月28-29日のFOMCを控えて、18日からブラックアウト期間(金融政策に対する公的な発言を自粛する期間)入りします。また、来週の米国では目立った経済指標の発表が無く、市場の関心はトランプ次期政権の動向、米主要企業の24年10-12月期決算発表に集まりそうです。日本では、23-24日に日本銀行の金融政策決定会合が開催され、24日に結果発表と植田日銀総裁の記者会見が行われます。20日の米大統領就任式前後に金融市場が不安定化した場合には、利上げを見送る可能性はあるものの、日銀の利上げがコンセンサスです。しばらくは、日銀の利上げ観測と日米の金利差縮小による円高圧力が継続しそうです。 (野村證券 投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2025年1月17日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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01/16 16:21
【野村の夕解説】日経平均株価、上値重く伸び悩むも6営業日ぶりの反発(1/16)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前日の米国市場で、振れ幅の大きなエネルギーと食品を除く12月コアCPI(消費者物価指数)の伸び率が市場予想を下回ったことを受け、長期金利は低下し、米国株主要3指数は揃って上昇しました。米国株高を受けて、本日の日経平均株価は前日比288円高の38,732円で取引を開始しました。米国市場でハイテク株や金融株が大幅上昇となった流れを受けて、東京エレクトロンやアドバンテストなど値がさの半導体株や証券株の上昇が指数を押し上げ、日経平均株価は寄り付き後も上げ幅を広げました。一時前日比487円高の38,932円と、心理的節目の39,000円に接近する場面もありました。一方、外為市場では、日銀の利上げ観測の強まりを背景に一時155円台前半まで円高米ドル安が進行しました。円高が重石となり、日経平均株価は勢いを失い、午後に入ると下げに転じる場面もありました。引けにかけては、台湾半導体受託製造大手のTSMCが決算発表で巨額の設備投資計画を示した事を受け、半導体関連株が急騰し、日経平均株価は前日比+128円の38,572円と6営業日ぶりに反発して取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、12月ECB金融政策理事会議事要旨が公表されます。米国では、12月小売売上高が発表されます。 (野村證券投資情報部 神谷 和男) ご投資にあたっての注意点
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01/16 08:26
【野村の朝解説】米CPIをうけNYダウ一時800ドル超高(1/16)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 15日の米国株式市場で主要3指数は揃って上昇しました。米国時間の朝方発表された米12月消費者物価(CPI)は、総合指数は概ね市場予想通りだったものの、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数が前年比+3.2%と、伸びが前月の同+3.3%から小幅に鈍化し、市場予想も下回りました。FRBによる年内の利下げ期待が維持されたことから、米10年国債利回りは4.7%割れへと急低下し、NYダウは大幅続伸でのスタートとなりました。大手金融機関の第4四半期決算の内容が概ね良好だったことも相場の押し上げ要因となり、その後も上げ幅を拡大する展開となりました。 相場の注目点 市場の関心は今月20日の米大統領就任式と23-24日の日銀の金融政策決定会合、そして翌週28-29日のFOMCに集中しています。トランプ次期大統領は減税や移民規制、追加関税などの政策に強い意欲を示しており、特に追加関税については就任式直後にも方針公表・実施の運びとなる可能性が意識されています。もっとも、関税引き上げが段階的に実施されるとの期待から懸念は和らいでおり、また米PPIやCPIの下振れを受けて金利上昇圧力が一旦落ち着いたことからリスクオフは一服、VIX指数は続落しています。一方、15日の植田日銀総裁の発言を踏まえ、野村は次回利上げ予想を従来の25年3月会合から同年1月会合に変更しました。植田総裁は「来週の会合で利上げを行うか判断」、「(日銀)支店長会議では春闘について前向きな兆しが多かった」など、前日の氷見野副総裁と同趣旨の説明をしており、市場の1月利上げの織り込み度合いは7割強まで上昇しています。トランプ氏の大統領就任式前後の市場動向が安定していることを確認したうえでとなるものの、日銀が来週会合で利上げに踏み切る公算は高まっているとみられます。 (野村證券 投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2025年1月16日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点